見出し画像

クリスマス前には 2025

最近はクリスマスが早い。いやクリスマスは日時が決まっているので大きなゆらぎは少ないけれど、世の中のクリスマスへの変化が早い。どこだったか細かく憶えていないが、十月末に街の一角でクリスマスセールの準備を始めている店舗があった。その時期には多少の違和感があったが、十一月に入れば当たり前になるのかもと思えば、十月末も多少違うだけで、あまり変わらないのかな、とも考えた。こういう人間の思考は面白いし、クリスマスというのも年々変化してして、日本でも日本ならではの儀式化しているようにも思える。それはそれでもうひとつの文化だな、と思った。私が子供の頃に、父親に必ずビンククロスビーさんのクリスマスアルバムを聞かされ楽しんでいたように、今の日本でもそれぞれの儀式が存在するのだろうと思う。そしてそれらは変化して続いてゆくのだろう。そんなことを思った。


I Won't Be Home For Christmas - blink-182

この曲は"乞う音楽"ではないけれど、人に教えてもらった曲で、単純で能天気なパンクポップというのが気に入っている。この曲の一番の魅力は歌詞だろう。私は英語が分からないので最初は単純な曲だとしか思えなかったが、歌詞を翻訳して面白いクリスマスソングだと思えた。それがパンクであろうと、ガキっぽくあろうと、どうでもいい事柄で、翻訳した歌詞を前提に聞けばそこに象徴的な事柄を見つけた。それは日本でよく聞くクリぼっちという言葉を思い出したが、この曲は逆で、自らをクリぼっちにさせてくれというような、反逆的な意思の結実だろう。恋人もいるしクリスマスも分かっている、しかしクリスマスの予定調和が嫌で、結果刑務所に入ったのでオレは家にいない、だから家に来るな、保釈金を払ってくれ、というアホな内容であり、それをさわやか君なポップパンクに乗せている。そのギャップがいい。

言語が分からずにただ聞けば、普通のポップロック風のクリスマスソングだが、その内容はやっぱり好きでいられる単純バカなのだ。基本的にはスリーピースバンドの音だが、それ自体はいい感じだし、演奏も悪くないと思っている。ベルの音などクリスマスを演出する細工もあるし、九十年代の懐かしいロック感、当時のオルタナ感が感じられていい。聞いていて何が残るわけではないが、このバカさ、爽快感だけで充分聞いていられる、そんな楽曲、まさかのクリスマスなのだ。


Twinkle Christmas - EPO

この曲を知ったのは随分前になるし、これは札幌の商業施設のノベルティソングだそうだが、全く知らなかった。もちろん北海道に住んだこともないし、札幌なんてもっての外だから仕方ないと思うのだが、他方ではEPOさんのヒットソングだけではなく、アルバムの様々な曲を繰り返し聞き、今に至った人間たがら知っていても不思議でもないハズでもある。だが知らずここまできた。それは私の音楽というアンテナの受信感度の鈍さを示しているのだろう。そしてこの曲を知った後にはもっと大きな衝撃があった。聞けばすぐに分かる。これはEPOさんの曲であり初期のPIZZICATO Vの音なのだ。

オードリーヘップバーンコンプレックスを細野さんつながりで偶然発売日に買い、ずっと聞き続けていた私にとってこういう楽曲もあったのかと衝撃だった。小西康陽さんが北海道出身というのは知っていたが、初期の頃にこのような仕事をしていたのは全く知らない。私のアンテナは腐っていた。

まあそれはいいとして、この曲はEPOさんの曲らしい部分も多く、その芯や骨に相当するものに小西康陽さんのアレンジで肉付けされているという印象。EPOさんのいつもの歌唱の中のひとつの軽快なボーカルの歌い方は、とてもわくわくさせ、聞いている人間にクリスマスを引き寄せる。そしてちりばめられる音はPIZZICATO Vのそれであり、EPOさんの音でもあったものだ。私の大好きな高浪慶太郎さんのコーラスもとてもいい。そしてこの融合がとてもいい。そうだ、楽しいクリスマスをここに持ってきてくれる、そういう曲だ。


Winter Wonderlan - Ringo Starr

この曲はビートルズのリンゴスターさんのクリスマスアルバムに収録されている曲で、有名なクリスマスソングで誰もが聞いたことのある歌のカバーということになる。私はリンゴさんのカバーは聞いたことはなかったが、ある時にジョージハリソンさんが好きで、リンゴさんのドラムをリスペクトしている高橋幸宏さんが「大人のようにしっとりしているわけではなく、子供のようにハッピーすぎるところもなく、遊び心があって、楽しいカヴァーです。」と紹介しているのを知って聞いた。

まずリンゴさんのボーカルがとてもいい。どこか落ち着ける歌唱で、力の抜けた飾らない歌だ。だがそれでいて雑多にも感じてしまう多様なコーラスの中でも、彼独特の存在感がある。雑多と書いたコーラスも実際は雑多ではなく、複雑にいろいろな音声が混じりビートルズを思い出させるようなものになっている。

そして一番はやはりドラムだろう。派手な何かがあるわけではないが、遊び心にあふれたドラムだと思うし、オーソドックスなロックの音と感じられて楽しい。象徴的に始まるピアノも曲中でのロカビリー風で、元の楽曲のスウィング調もあって、これもまた楽しい。そう、これは元から楽しい曲ではあるが、リンゴさんのこの楽曲はもっと楽しい要素があふれていて、どこかビートルズのサウンドも聞こえて、それでいてリンゴさん独自の遊び心が随所にある。そんな楽しいがあふれる楽曲だろう。

今回は手違いで、ビングクロスビーさんの曲を入れることができなかった。これは恒例にしたかったので残念だ。いや、修正して完成版を作るのもいいね、とも思っている

クリスマス前には 2024




いいなと思ったら応援しよう!