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5話 初めての給食当番★小学校、給食のルール 毎日の事だから大切! おかわりをしよう! 給食指導 先生の考え方 小学1年生の物語

アクセスして頂き、有り難うございます。

人生で初めての給食当番を担当する、小学1年生の物語です。

学校の先生達の給食指導も、少し取り入れています。

今回は5話です。

さぁ、残り半分!配りきれるか、フルーツポンチ 全集中!

1章★コウ君とサクラちゃん


僕は気合いを入れて、フルーツポンチを配る。

「あと10人だよ!残り7分!」

テツ君が 声をかけてくれた時、僕は心配になった。

フルーツが少ない・・。

ここからは、フルーツの量を減らして お皿に入れた。

少しずつフルーツポンチが減っていく。

「あと5人だよ!残り5分!」

ここで、最後の6班の生徒がやって来た。
最初に顔を見せたのは、コウ君。

「コウ君、さっきは ありがとう。」

「フルーツポンチ~ン!いいんだよ。
僕は お祭りが大好きだから。フルポンフェスなら、いつでも呼んでよ。」

そう言って笑うコウ君に、僕はフルーツポンチを渡した。
するとコウ君は、ピンク色の丸いゼリーを見つめた。

「ピンクのゼリーって、ジャンボタニシの卵みたいで可愛いね!」

コウ君が大きな声で言ったから、クラスのみんなが笑った。

「アハハ!ジャンボタニシって何~?」

「田んぼにいるんだよ!卵は毒があって危ないんだよ~!」

「そんなの食べたくないよ~!あはは!」

僕も、一緒に笑った。
コウ君は、みんなを笑わせるのが大好き。

コウ君にとっての お祭りは、 みんなを楽しませる事なんだね。
でも僕は、お祭りなのに自分が楽しめない事を嫌だと思ってた。

お祭りに出る人って、楽しんで貰う為に 頑張らなきゃいけないんだね。


そして、最後の残り2人になるとサクラちゃんと先生がやって来た。

「マサムネ君、頑張っているね!」
「うん!」

サクラちゃんの言葉は嬉しかったけど、この時には もうフルーツが無かった。

「今は、もう杏仁豆腐ばっかりなんだ。
僕のフルーツポンチと交換するよ。」

「いいよ。私は杏仁豆腐が好きだから。気にしないで。」

サクラちゃんは、いつも通り優しかった。

「相手を思いやる気持ちは、すごく良いことだね。」

先生が、僕達の間に入って言った。

サクラちゃんの優しさにキュンとなった僕は、この時 心の中で誓ったんだ。

(サクラちゃんをお嫁さんにした時は、どんぶりでフルーツポンチを ご馳走するからね!)


2章★フルポンフェス ファイナル

最後は先生だけになったから、6年生には お礼を言って帰ってもらった。

(先生は、杏仁豆腐だけでもいっか!)

そう思いながら、お皿に入れた。

「よく頑張ったね!お疲れ様!」

先生はニッコリ笑って、給食当番の みんなに声を掛けた。

あぁ~、疲れた~!
小食缶の中は、カラッポだ。
フルーツポンチは、余る事は無かった。

1人休みだから良かったけど、1杯の量が多かったんだ。もっと少なめにするべきだったな・・。

そんな事を思いながら、ヒロ君と一緒に着替えた。

「マサムネ君、大変だったでしょ?」

「ヒロ君だって、大変だったでしょ?」

「フフフフ。」

僕達は、顔を合わせて笑った。

すると、カスミちゃんが隣に来て帽子を脱いだ。

「マサムネ君、当番を代わってくれて有り難う。」

カスミちゃんの給食着には、スープが たくさん付いていた。

「カスミちゃんも、大変だったんだね。」

僕がそう言うと、アンナちゃんとアヤちゃんが駆け寄ってきた。

「カスミちゃん、頑張ったじゃん!」
「お椀を落とさなかったね!やったじゃん!」

「うん!」

カスミちゃんが笑って、みんなが笑顔になった。

すると三郎君は、オデコをテカテカに光らせながらハンカチを出した。

「いや~。大変でしたね~。ふうぅ~。」

ハンカチで汗を拭く三郎君は、レストランのお絞りで顔を拭く、僕のお父さんみたいだった。

僕もホッとした。
給食を最後まで配れて、本当に良かった。

僕が着替え終わると、先生は給食の量を少なくしたい子から ご飯を集めていた。

「僕は、フルーツポンチはいらない。」

ケンタ君の声が聞こえた。

「じゃあ、サクラちゃんにゼリーとフルーツをあげよう。」

先生の 言葉を聞いて、僕は嬉しくなった。

「ケンタ君、少しでいいからフルーツポンチも食べてね。」

先生にそう言われたけど、ケンタ君は黙っていた。

先生は、食べる量を減らす事はしてくれるけど、全て無くす事はしてくれないんだ。

「はい、給食当番も座って!【いただきます】をするよ!」

先生の声を聞いて、僕は急いでテツ君の所へ行った。

「ありがとう、テツ君!」

僕が声を掛けると、先生は僕達に気付いた。

「テツ君もマナちゃんも、よく頑張りました。ありがとう。」

そう言って、先生は みんなを見た。

「では、給食を食べましょう。いただきます!」


3章★初めて食べる学校給食


「いただきます!」

そう言い終わってから、僕はお箸を持った。

でも先生だけは、まだ黒板の前に立っている。

「食べながら、聞いて下さい。
早く食べようとするより、よく噛んで食べて下さい!
ゼリーも、そのまま飲み込むのではなく噛んで下さいね!
給食の時間は20分だけど、今日は5分多くします。
時計の長い針が、11のところへきたら【ごちそうさま】をしますよ。

給食に慣れるまでは、タイマーをセットします。5分ごとに音が鳴るので、5回鳴ったら食べる時間は終わりです。」

そう言い終わると、先生は僕達1班の所へやって来た。余っている机を並べて、僕達と一緒に食べるんだ。

先生が席に座ると、アヤちゃんは顔をニヤニヤさせた。

「私のお兄ちゃんが言ってたの。
藤原先生は、給食の事になると熱くなる先生で有名なんだって!あはは!」

「えっ、有名なの?
それは、参ったな!あははは!」

アヤちゃんに笑われて、先生も笑った。

「先生は、給食の事になると つい気合いが入ってしまうんだよね~。」

「なんで~?」

アヤちゃんが聞くと、先生はお箸を持った。

「実は、先生は子供の頃に給食当番で失敗をした事があるんだ。」

「えっ?どんな失敗?」

次は、アンナちゃんが聞いた。
僕も すごく気になった。

「先生は、小学一年生の時に食缶を落としてフルーツポンチを全て無駄にしてしまったんだ。その時、クラスの皆に攻められたよ。
あの時の事は、今でも忘れられない。」

「えぇ・・。」

僕は、ビックリした。
先生も子供の頃に、スリル・ショック・サスペンスを体験していたんだ。

すると、三郎君が暗い顔をした。

「お気持ち、察します。
僕も、お弁当を ひっくり返した事がありますから・・。」

三郎君は悔しそうに言ったけど、すぐにヒロ君が口を開いた。

「フルーツポンチを落とした時、担任の先生は助けてくれなかったんですか?」

「担任の先生は、他のクラスからフルーツポンチを集めるのに必死だったね。何も言われなかったよ。」

「へぇ~。」

みんなが悲しい顔をして、三郎君の弁当の話は流れた。

「だから学校で働くようになってからも、給食の事になると つい熱が入ってしまうんだ。
特に、一年生は心配でね。」

ピピッ!

その時、タイマーが鳴った。
「早く食べなさい!」って言われたみたいで、僕は慌てて魚のフライを口に入れた。

「一年生になったばかりで失敗したら、学校に行くのが嫌になるからね。
でも、当番を遊びだと思われると失敗する子が出てくるから、大切な役割を任されているという気持ちを持ってもらわないといけない。」

僕は よく噛んで食べながら、先生の話に耳を向ける。

「自分と同じ想いをさせたくはないから、先生は皆をしっかりと見守るよ。
でも、もし誰かが失敗した時は、先生はその子を全力で守る。
みんなで攻めるような事は許さないよ。」

すると先生は、箸を置いて僕達を見た。

「みんなを不安にさせたかった訳ではないんだ。」

そう言って、ニッコリと笑った。

「1班の みんなは先生の期待に応えてくれました。本当に、ありがとう。
これからも初めての事であっても、色々な事に挑戦してね。」

そう聞いて僕は、魚のフライを飲み込んだ。
初めての給食は、先生が一番心配だったのかもしれない。

「はい!手を動かして食べて!食べて!
カスミちゃんは、スプーンを落としそうだよ!」

「あっ、はい。」

僕もカスミちゃんも、慌てて手を動かした。

ピピッ!

3回目のタイマーが鳴った時には、先生は席を離れた。

「おかわりをしたい子は、集まって!」

先生が声を上げた。
おかわりタイムは、給食の時間が残り10分になってから始まる。

ゴリッキーだけでなく、女の子もやってきた。すると魚のフライは1つしかないから、ジャンケンが始まった。

「うわっ!負けた!」

ゴリッキーの残念そうな声が聞こえて、僕は少し嬉しくなっちゃった。

「スープと、お米が沢山残っているんだ。
食べられる子は、どんどん食べて!」

「食べます!」

先生の呼びかけに答えて、ゴリッキーは お米とスープをおかわりした。

「ゴウリキ君は、いい食べっぷりだね!」

「えへへ!これくらい、余裕!」

先生に誉められたゴリッキーは、嬉しそうに席に戻った。

「ケンタは、スープを食べていないじゃん!」

「じゃあ、ゴリッキーが食べてよ。」

ゴリッキーとケンタ君が大きな声を上げると、先生は2人に近寄った。

「食べ回しはしないで!
人が食べた物は、絶対に口に入れないでね。
感染症っていってね、バイキンが人から人へ移る事があるんた。」

「じゃあ、スープは 残す!まずい!」

ケンタ君は、嫌がる声を上げた。

僕も、スープを残したかった。
入っているネギが嫌いだから。
でも、お母さんに言われた事を思い出して、一口食べた。

スープの味は嫌いじゃないけど、ネギは やっぱり好きじゃない。頑張ってスープだけ飲んで、ネギは残した。


ピピッ!

4回目のタイマーの音が鳴った。

「給食の時間は、残り5分です。
お喋りよりも、食べる事に集中しましょう。食べたい物は、食べちゃってね。」

すると、みんながフルーツポンチを食べ始めた。

僕もフルーツポンチを食べた。すごく美味しかった。

ピピッ!

5回目のタイマーが鳴った。

「給食の時間は終わりです。
時間を気にするのは大変かもしれないけど、少しずつ慣れていってね。」

僕はスプーンを置いて、みんなと一緒に声を合わせた。

「ごちそうさまでした。」

給食を少し残したけど、僕は お腹いっぱいになった。

スープを残す子が多くて、大食缶には みんなが残したスープが たまっていった。

「結構多いね。もったいないなぁ。」

先生は、残念そうな顔を見せた。

食べ終わったら、歯磨きの時間だ。

でも、給食当番は食缶やプレートを給食センターへ戻さないといけない。

歯磨きを終わらせた子は 先に昼休みが始まるのに、面倒臭いな~。

そう思っていたら、また6年生がやって来た。

「手伝いに来ました!」

6年生にそう言われたら、面倒臭いなんて言えなくなった。

僕は、もう一度小食缶を持った。
軽いから、返しに行く時は楽チンだ。

カスミちゃんとスミネエは、また2人で大食缶を持つ。

「返す時も重いね。1年生は、あんまり食べられないの?」

スミネエがそう言うと、後ろから先生が顔を出した。

「そうなんだよね。小食な子が多いね。
給食は、残らないと良いんだけどなぁ。」

そう答えた先生は、プレートの入ったケースを持って生徒より前へ進んだ。

「最後まで頑張りましょう!
気を抜かないように、気をつけてね!」

先生に声を掛けられて、またみんなで一列になると給食センターへ向かった。


カタン!

僕は、食缶を元の場所へと戻した。

「良かった!これで、全部終わったね!」
ヒロ君と僕は、顔を見合わせて笑った。

「手伝って頂き、助かりました。
みんなで、お礼を言いましょう!」

「ありがとうございます!」

最後に栄養士さんと6年生にお礼を言って終わると、僕の体は軽くなった気分だ。

教室に戻ったら、片付け当番の子達のおかげで給食台は片づいていた。

「ドッジボールをしようよ!」

歯磨きを終わらせると、アンナちゃんが みんなを誘った。

でも、三郎君は すぐにイスに座った。

「僕は時代小説を読みますから、みなさんで楽しんできて下さい。」

そう言うと、銅像みたいに動かなくなった。

「漢字が いっぱいの本なのに、 よく読めるよね」

そんな事を言われながら、三郎君は教室に残った。

僕は校庭へ向かう。

はぁ~。やっと昼休みが始まった!


4章★給食のルール

キーンコーン カーンコーン

5時間目の、学級会が始まった。

先生は壁に貼られた紙を見ながら、もう一度給食のルールについてを話した。

「守れなかった事は、お喋りが多かった事ですね。手を洗ったら、すぐに教室に戻りましょう。」

そして、先生は1班の生徒を見た。

「当番の子は すぐに動いて、早く支度ができましたね。
初めての給食当番で疲れたかもしれないけど、最後までよく頑張りました。」

ニッコリと笑って先生が拍手をすると、みんなも拍手をしてくれた。僕は嬉しかった。

「これからも、時間を気にして動いて下さい。
給食の時間が長くなると、昼休みに遊ぶ時間が減ってしまいます。

いつまでも6年生に頼る事もできません。
みんなで協力して、頑張っていきましょう。」

次に先生は、給食の当番表の紙に指を向けた。

「クラスのルールは、そのクラスによって違うんだ。

2組の給食当番のやり方は、最初に ご飯を担当した人が、1年間ずっと ご飯を担当するんだよ。
そうする事で、ご飯をよそうのが上手になれるからね。」

「えっ?一年間、ずっと同じ当番なの?」

アヤちゃんが嫌そうな顔で呟いた。

「1つの当番だけではなく、色々な当番をやってみたいかどうかは、全員が給食当番を経験してから話し合いましょう。

みんなが学校生活に慣れてきたら、意見をどんどん聞いていきます。どんな事でも思った事を教えてね。
学級会は、自分の意見を言える時間なんだよ。」

すると、ゴリッキーが手を上げた。

「はい!言いたい事があります。」

「はい、どうぞ。ゴウリキ君の意見を言って下さい。」

「早く食べ終わった人から、おかわりができるというルールがいいです!
次の給食は、冷凍ミカンが出ます!僕は早く食べるので、おかわりをしたいです!」

「そうですね。おかわりのルールは、とても大切ですね。」

先生は、頷いた。

「ではもう一度、先生から守るべきルールを伝えます。

まず、おかわりをしたいからと言って早食いは禁止です。
早食いをして、パンを喉に詰まらせて死んでしまった子がいると、前に話しましたね。
これは、命に関わる事なので必ず守るルールです。」

「俺なら大丈夫だよ!」

ゴリッキーは、鼻の穴を広げて言った。

「大丈夫と思っている子が、一番危ないんだよ。だから、給食が終わる10分前が、おかわりができる時間です。

でも、食べ物が少ししか残っていなかったり、冷凍ミカンや牛乳のように分けられない食べ物はジャンケンで決めます。」

「友達から貰うのは、ダメですか?」

「食べられない子は、食べる前に量を減らす事ができるよね。でも、それは友達にあげていいというルールではありません。」

「それは、おかしいと思う!」

ふんっ!ふんっ!

ゴリッキーの鼻息まで聞こえてきた。
すると、先生は真剣な顔に変わった。

「先生は、【嫌いな物を無理に食べなくて良い】と思っていますが、それは【嫌いな物は、誰かに食べて貰えば良い】という考えとは違います。

【好きな物しか食べなくて良い】という考えを持って欲しくないんです。

【ご飯を食べる】という事は、【健康な体を作る為】です。食べ物には、体を丈夫にする為の【栄養】が含まれています。

色々な食べ物から、バランス良く栄養を取り、病気になりにくい体にする事が大切なんです。
これにおいては、今度、栄養士さんから話して頂きます。」

そう言い終えると、先生は穏やかな顔に戻った。

「むか~し、むかしの給食の話をしますね。
今から100年以上も前の事です。
小学校に通う子供の中で、お弁当を持ってこられない子がいました。
その時に、【全ての子供に、栄養のある食事を食べさせたい】という気持ちから、給食が始まりました。
それだけ、ご飯を食べる事が難しい時代があったんです。

先生が一番大切にして欲しい事は、【ご飯を食べられる事と、作ってくれる方へ感謝の気持ちを持つ事】です。

ゴウリキ君が 給食を沢山食べられるのは、とても良い事ですよ。

自分の意見をハッキリ言える事も、とても良い事です。

でも、給食は みんなの給食です。

一人の子が自分の好きなルールを作ると、みんなが好きなルールを作ってしまい、他の子から不満が出ます。

学校は自分の家とは違い、他の子と一緒に過ごす場所なので、他の子の意見も聞いてみましょう。
今から、おかわりのルールについて話し合います。」

僕は学校で、おかわりのルールを話し合うなんて思ってもみなかった。

「みんな は、どう思いますか?
給食は毎日の事だから、とても大切です。

給食で嫌な気持ちになるとクラスの仲が悪くなったり、学校を嫌いになる子もいます。

先生は、今から給食総理大臣になるので、みんなも大臣になって、意見を聞かせて下さい。」

突然そんな事を言われて、みんなが笑った。

総理大臣は、国民が暮らしやすい生活を送る為に、大臣と話し合って国のルールを決めるんだって。

「国会議事堂の会議みたいに、みんなで向き合って話し合いましょう。」

そう言われて、僕達は机の向きを変えた。
クラスのみんなで向き合って座ると、今までの学級会と少し違う感じがした。

「さぁ、給食会議の始まりです。
ゴウリキ大臣は、はっきり意見を言ってくれました。
他の大臣も、是非 意見を聞かせて下さい。」

給食総理大臣がそう言うと、アンナちゃんが手を上げた。

「はい!私はゴリッキーの意見は、良くないと思います!」

「私も、そう思います!」

アンナちゃんの次に、アヤちゃんも声を上げた。

「私も!」「私も!」

クラスの女の子達は、アンナちゃんを応援するように声を上げた。
アンナちゃんは、女の子達の人気者。
でもゴリッキーは、女の子達に悪口を言うから嫌われているんだ。

「ゴリッキーの味方なんて、する訳ないじゃん!」

すると、給食総理大臣はアンナちゃんを見た。

「今は、ゴウリキ君に対する気持ちを聞いているのではありません。
給食のおかわりについての考えを、教えて下さい。」

それでも、女の子達の不満そうな顔は変わらない。

「ゴリッキーは、わがままだよ!」
「そうだよ!自分が 人の分まで食べたいだけじゃん!」

ゴリッキーの味方をする人は いなさそう。
さすがのゴリッキーも、黙っちゃった。

僕は、お父さんが言っていた事を思い出した。

「政治家の考えに、国民のみんなが賛成するとは限らない。
自分の考えを受け入れてもらうには、信頼される政治家にならないといけないね。
その為に、日頃から良い行いをする事が大切なんだ。」

つまりゴウリキ大臣は、日頃から良い行いができなかったって事なんだね。

僕がそう考えていると、給食総理大臣は右から左へと生徒に声を掛け始めた。

「ソウマ君は、どう思う?」

「今のやり方で良いです」

あまり話したがらない子は、それしか言わなかった。
僕も、同じように答えた。
みんなの前で意見を言うのは、ちょっと緊張しちゃうから。

【今のおかわりのルールが良い】

全員の意見を聞いたけど、ほとんどの子が そう答えた。

「では、今のルールを続けますが よろしいですか?」

「うん。」「はい。」

みんなが頷いた。

「ケンタ大臣の意見は、何かないかな?
何でもいいんだよ。」

何も言わないケンタ君に、給食総理大臣は もう一度声を掛けた。

すると、ケンタ君はムスッとした顔を見せる。

「僕は給食のおかわりなんて、どうだっていいよ。僕は、おかわりをしないから。」

僕は驚いた。
僕も おかわりをしたいとは思わないけど、 そんな言い方は良くないんじゃないかな?

「では、先生は給食総理大臣ではなく、一人の人間として みんなに伝えたい事を話しますね。」

僕は先生が怒ったのではないかと思いながら、話を聞いた。

「よその国では 学校に行けないだけでなく、ご飯が食べられずに死んでしまう子供が沢山います。
みんなの家庭で、ご飯を食べられる事が当たり前であっても、ご飯を残す事を当たり前には思わないで下さい。
食べられないでいる人の事を、考えられる大人になって欲しいんです。」

先生は 生徒の顔を1人1人見ていた。
そして、最後にケンタ君の方へ目を向けた。

「なぜ、おかわりが大切なのかについて話します。
給食は余る事が多いです。でも、おかわりをする子がいれば、食べ物が無駄にはならないですよね。
そして、食べるのが好きな子には、食べられる時に沢山食べて欲しいんです。今の日本でも、お腹を空かせる子供はいます。
でも、そんな気持ちを言えない子供もいるんです。
おかわりは、【食べ物を無駄にしない事】と考えて、積極的に参加して下さい。
おかわりをする事は、恥ずかしい事ではありません。男の子でも女の子でも、大歓迎です。」

次に先生は、ゴリッキーを見た。

「給食を残さない事は、ゴウリキ君の良いところです。
幼稚園に通っていた頃から、好き嫌いなく、何でも残さず食べられると聞いています。とても良い事ですね。」

ゴリッキーは、すごく嬉しそうな顔を見せた。
女の子達から嫌がられて、何も言えなくなっちゃってたから。

「おかわりのルールは変わりませんが、しっかりご飯を食べる事は、これからも続けて下さい。おかわりにも、是非参加して下さいね。」

「はい。」

先生は、笑顔でゴリッキーを見つめた。

「他の子が嫌な想いをしないで学校で過ごせる様に、一緒に考えようね。」

「はい。」

ゴリッキーは、少し下を向いて返事をした。

「今日の会議は、ここまでです。
みんなの意見を頂き、ありがとうございます。」

先生は、みんなを見ると大きく口を開けた。

「ゴウリキ君に言った事は、みんなにも考えて欲しい事です。
学校生活では、他の子の事を考えられる気持ちが大切です。
自分が気にしない事でも、気にする子がいるんです。
先生が みんなの事を、わかっていないと思う時は遠慮なく教えて下さい。先生なら言わなくても わかるという事は ありません。
みんなの前で言えないのなら、休み時間でも放課後でも、先生に言いにきて下さい。」

すると、先生は教壇から小さな箱を取り出した。

「これは、意見箱だよ。みんなの意見を、紙に書いて入れるポストなんだ。
【先生のギャグは つまらない】とか、そんな事を書いてもいいからね。」

「じゃあ、俺は先生のギャグはオヤジギャグって書くよ!」

ゴリッキーが言うと、みんな笑った。

「フフフ。どんな事でもいいよ。みんなの気持ちを教えてね。」

先生も笑って答えた。

「今日は、ここまでだね。またみんなで話し合いましょう。

学級会は、人の意見が間違っていると攻める時間ではありません。

やり方は、クラスによって違います。

他の当番についても、また話し合いましょう。
何も言わなければ、今のルールに納得しているという事になります。

自分の意見を伝える事は、学校生活で大切な事です。これからも、みんなの意見を聞かせて下さい。」

先生が話し終わると、起立、礼をして 5時間目は終わった。


2章★僕にできること


「さようなら。」

帰りの会が終わって、僕はテツ君とコウ君と一緒に学校を出る。

少し前を歩いていたコウ君は、振り返って僕を見た。

「給食の時にね、フルーツポンチの事で もめたら、【6班のみんなで、フルポン委員会をやろう】って決めていたんだ!」

「えっ?そうだったの?」

僕が驚いた顔を見せると、次はテツ君が口を開いた。

「うん。フルーツポンチの量を変えなきゃいけなくなったら、【みんなが怒らないように、ギャグで笑いをとる!】ってコウ君が言うから、僕達も一緒に盛り上げようって決めてたんだ。」

すると、コウ君は笑顔になった。

「怒ったのは、ゴリッキーだったね!
あははは!」

コウ君が笑うと、僕もテツ君もお腹を抱えた。

「あははは!コウ君の、フルポン警察を思い出しちゃった!」

「ウゥ~って、やつね!あははは!」

3人で大笑いすると、テツ君は僕を見た。

「給食の時に騒いだら注意されると思ったから、職員室に行って先生に話したんだ。
そしたらね、【ルールより大事な事もあるんだよ。みんなの考えた やり方でやってごらん。】って言われたの。」

「へぇ~。そうだったんだ。」

僕は 驚いたけれど、それよりも嬉しい気持ちが込み上げた。

ずっと2人と仲良くしたいって思った。



「ただいま、お母さん!
フルーツポンチを、みんなに配れたよ!」

帰ると すぐに、僕はお母さんの元へ向かった。

「あら!最後まで配れたのね。よく頑張ったわ!偉い!」

お母さんが誉めてくれて、心から嬉しかった。

 おやつが用意されると、僕は お母さんに【おかわりのルール】を話した。

「へぇ~。
お母さんが子供の頃は、早く食べ終わった子が おかわりをするのがルールだったわ。

でも、おかわりをする子は少なかったわね。
だから、毎日ご飯が沢山残ったのよ。」

そう言うと、 お母さんは僕の顔を見つめた。

「マサムネは、残さずに食べれた?」

僕は、思わず顔をそらす。

「えっと・・、スープに入っていたネギを残した。」

「えっ?ネギは、お家で食べれたじゃない!」

「だって、デッカイのが入ってたの!」

「じゃあ、今日は小さくして食べましょう!お残しは、モッタイナイもの!」

「げぇ~!」

僕のお母さんは、いつか妖怪モッタイナイババアになるかもしれない。

「みんなも、スープを残してたよ!」

「お残しが多いと、栄養士さんが ガッカリするわよ。」

「給食って、そんなに余っちゃうの?」

「沢山の人に ご飯を作る場所では、余るものなのよ。
レストランでも同じよ。お母さんはバイキングのレストランで働いていた事があるの。
毎日 沢山の料理が残って、ゴミ箱へ捨てたわ。」

「へぇ~。そうなんだ。」

先生が言った通り、ゴリッキーが全部残さず食べられる事って良い事なんだ。

「給食当番は、大変ではなかった?」

そう聞いた お母さんは、少し心配そうな顔だった。

「フフフ!それがね、面白いことがあったんだ!」

僕は笑顔で答えた。
給食の時に友達が助けてくれた事や、ゴリッキーの事を、早くお母さんに話したかったんだ。

「良い友達がいて良かったわ。
ゴウリキ君とも、うまくやっていけるといいわね。」

「コウ君なら、ゴリッキーと仲良くできるよ。コウ君は、嫌いな子はいないんだって。」

「コウ君には、コウ君にしかできない事があるものね。」

「うーん・・。」

僕は、算数の授業中にナマコの絵を描いていたコウ君を思い出した。

「コウ君は 勉強をしないけど、動物の事は詳しいんだよ!」

「フフフ。色々な子がいるから、面白いのよ。」

ピンポーン!

その時、チャイムが鳴った。

インターホンを鳴らしたのは、コウ君だった。

「ねぇ、ゴリッキーの家にハムスターがいるんだよ。一緒に見に行こうよ!」

「えぇ?ゴリッキーが、ハムスターを飼っているの?」

僕は、ビックリした。
ハムスターでも食べるつもりなのだろうか?
イグアナを飼っているならわかるけど、ハムスターは似合わない。

「ハムスターは可愛いけど、ゴリッキーの家は嫌だなぁ。」

僕は、素直な気持ちを伝えた。

「テツ君と、サクラちゃんも来るよ!」

「行く!」

僕は おやつをカバンに入れて水筒を持つと、すぐに家から出た。

「ハムスターの名前はね、ポムポムちゃんとプニーちゃんだよ。」

「へぇ~。可愛い名前だね。」

僕は、コウ君と歩きながら話をする。

「従兄弟のペットのハムスターが増えすぎて弱っちゃってね、可哀想だから貰ったんだって。」

「ゴリッキーはハムスターが可哀想と思えるんだね。」

フルーツポンチを大盛にしろ!と言っていたゴリッキーにも、そんな気持ちがあるなんてね。

「サクラちゃんは、捨てられたネコを貰ったんだよ。イボンヌっていう名前なの。黒猫で可愛いんだって。」

「何で、イボンヌって名前なのかな?」

「拾った時に、イボが付いていたからだよ。」

「へぇ~。」

コウ君は、サクラちゃんの事もよく知っている。

でもコウ君は、今日は授業があるのに教科書を1冊も持ってこなかったし、大事なプリントも忘れた。

幼稚園に通っていた頃から、忘れ物が多かった。

なのに、クラスの子の事は よく知っている。

コウ君は、誰とでも話せるから。


「おじゃまします。」

ゴリッキーの家に到着すると、みんなでハムスターを眺めた。

「可愛いね!」

そう言って みんなで順番に触ったのに、僕の番になったら ゴリッキーはハムスターをカゴに戻した。

「弱っちゃうから、もう触らないで!」
「僕は、まだ触ってないよ。」
「ダメ!ストレスになるから!」

ゴリッキーがハムスターを大切にしているのはわかるけど、僕はムスッとした顔を見せた。

すると、コウ君が僕の前で おやつの袋を持った。

「じゃあ、僕がハムスターになるよ!
僕なら触って大丈夫!」

「えっ?」

一体 何を言っているのだろうと思ったら、コウ君は口の中にクッキーを いっぱい入れて頬を膨らませた。

「ふぉら、フォムスターじゃよ!」

そう言って、体を丸めるとハムスターの毛づくろいみたいに顔をなで始めた。
すると、ゴリッキーが冷たい目を向けた。

「マサムネは、コウを触ればいいじゃん。」

「やだよ。全然可愛くないよ。」

僕は嫌がったけど、コウ君は毛づくろいをしながら歌い始めた。

「♪ハムハムハムハム、ハムスタ~♪」

「あはははは!」

サクラちゃんが大笑いして、コウ君をなで始めた。

「いい子!いい子!」

そんな姿を見て、僕は ちょっと悔しくなった。

「次は、ワニのデスロールをやるよ!
ワニは獲物を捕まえた時に、回転するんだよ。」

そう言って、コウ君は横になってゴロンゴロンと回り始めた。

「あはははは!コウ君って、面白いよね!
他の動物もやって!」

サクラちゃんは、すっかりコウ君に夢中になってしまった。

【コウ君には、コウ君にしかできない事があるものね。】

僕は、お母さんの言葉を思い出した。

コウ君は、学校で教えてくれない事ができる。

僕だって、「こんな事ができる!」って言いたい。



キーンコーン カーンコーン

次の日、学校へ到着してチャイムが鳴ると朝の会が始まった。

「君達・・。今日の給食を知っているかね?」

先生は、またメガネを光らせて献立表を見せてきた。僕は、何を言われるのかが すぐにわかった。

「今日は【小学生の好きな給食ランキング1位】のカレーライスだぁーーー!」

↑インターネットの情報によるものです

献立表を握りしめて、拳を上げる先生は気合い全開だ。

「カレーフェスなのだよ!
わかっているね?君達!!」

「はいっ!」

先生の気合いに答えるように、僕は勢いよく手を上げた。

「僕が、カレーを配りたいです!」

すると、先生は目を輝かせた。

「おぉ!いいねぇ!積極的に意見を言える!すごく良い事だよ。
では、カレーの当番はマサムネ君に お願いしよう!」

そう言われて、僕は6年生と一緒にカレーを配る事に決まった。

大食缶は重いし、カレーは熱いし、フルーツポンチより大変かもしれない。

しかも、今日のおかずはミックスベジタブル!これもまた、配るのが大変じゃないか!

スプーンも付いてくるし、冷凍ミカンも配らないといけない。

給食レディは、給食のレベルを更に上げてきたのだ!

それなのに給食当番は 20分で配りきらなければならないなんて、大変だぁ!

今日は、ゴリッキーがカレーの大盛を狙ってくるだろう。

でも今度は、僕が自分でキッパリ言おう!

「みんなの事を考えて、ルールを守って!」ってね。


カチカチカチカチ・・。

時計の針が進んで、4時間目が終わりに近づいてきた。

少しだけカレーの匂いがする。

僕は、お腹がすいてきた。

それは、きっと みんなも同じ。

みんなが大好きな、カレーライスを待っている。今日は、カレーフェスだ!

待っていろよ!今取りに行くぜ!カレーライス!


キーンコーン カーンコーン

ついに、カレーフェスが始まった!

「給食当番達よ!健闘を祈る!」

先生のポーズも決まったーー!

「頑張ろうね!」

僕は、オタマを持って1班の みんなに声を掛けた。

よっしゃーー!いくぜーー!!

深呼吸をして、気合いを入れる!

「肺で呼吸!カレーライス、全集中!!」

★おわり★

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

当番か日替わりで変わる事は、現実にはできないと思いますが、給食をテーマとして、日常を頑張る気持ちを描いた物語です。

現実と合わせると一年生らしくないし、非現実的な話とは思いますが、色んな子供がいて、そんな子供の個性が魅力になるお話を目指しました。

私は教師の経験は無く、【生徒と向き合う良い先生(そして面白い先生)】を描く事は難しいテーマでした。

それでも過去に、複数の子供との関わりを持った事があります。

その時の経験と、自分が子供の頃に大人に感じた事と合わせて、嫌な気持ちにならない先生を考えました。

先生側に大切にした事は、先生が生徒を思う気持ちを見せる事、生徒の良さを見つけて誉める事です。

そして、生徒側に大切な事は、団体生活の中で他の子の事を考えられる気持ちだと思います。

でも、それは理想であり、現実的には生徒をまとめるのは難しいと思います。
最終的には、先生の考えが優先されると思いますが、それでも生徒に意見を聞く事を怠るのは良くないと思います。

伝える努力はしたけど納得してもらえなかった事と、何も伝えなかった事は違うと思うからです。

クラスのルールは人間関係に影響するので、ルールを決めるなら、クラス替えをしてからすぐに決める事が肝心だそうです。

先生の独断で決めたり、強気な生徒が勝手なルールを作ってしまわないように、結果が何であれ、話し合いの機会を作る事は大切ではないかと思います。
これは大人の社会でも同じに思います。

人間関係の問題は子供であっても、解決するのは難しいと思います。
子供にも様々な考えや気持ちがあり、答えは1つではないと思います。
その為、この物語は何度も書き直し、なかなか公開できませんでした。

物語では、先生だけが頼りではなく、友達、親が助けてくれる環境にしたいと思い描きました。

親であっても子供を説得するのは難しい事もあると思いますが、子供がピンチの時は親だけは絶対に味方であって欲しいと思っています。

キレイ事に思われても、親が子供を想う気持ちを見せて子供がやる気を持てる、そんな物語を描いていきたいです。

給食のルールは、小学校のブログや教師として勤めた経験がある方のインタビューを参考にしました。

この話を本にできるなら、学校に取材をさせて頂きたいと思っています。

また新しいお話を書きますので、ご縁が持てたら幸いです。

まとまりの悪い文章ですが、最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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