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社会はなぜ左と右にわかれるのか

Jonathan Haidt の「社会はなぜ左と右にわかれるのか - 対立を超えるための道徳心理学」を読んだ.道徳心理学の観点から,なぜリベラルと保守は分断されてしまうのかについて考察した本.

本書の前半では,道徳的な判断は理性ではなく直感に基づくことを明らかにし,後半では,前半の知見をもとに 6 つの道徳基盤を提唱し,なぜリベラルは保守に勝てないのかについて考察している.

まず直感,それから戦略的な思考

本書では,人間の心理は 乗り手 (理性にコントロールされたプロセス) と (直感的なプロセス) に分かれ,乗り手は象に仕えるために進化したと説いている.つまり,まず直感を得たあとで,理性によりそれを正当化しようとする (確証バイアス).これらの話はファスト&スローで詳しく説明されており,象がシステム 1,乗り手がシステム 2 にそれぞれ該当する.

したがって,道徳や政治に関して,誰かの考えを変えたければ,まず象に語りかけるべきである と主張する.

道徳は危害と公正だけではない

そして本書では,象が影響を受ける道徳基盤は「ケア/危害」「自由/抑圧」「公正/欺瞞」「忠誠/背信」「権威/転覆」「神聖/堕落」の 6 つの要素から構成されるとされている.リベラルと保守でこれらの道徳基盤への依存の仕方は異なっており,リベラルは ケア/危害,自由/抑圧,公正/欺瞞 の 3 つの基盤に強く依存しており,保守は 6 つ全ての基盤に依存している.

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The Righteous Mind: Why Good People are Divided by Politics and Religion

このため,保守は全ての道徳基盤に依拠してバランスよく人々の直感に訴えることができるのに対し,リベラルは ケア/危害,自由/抑圧,公正/欺瞞 の 3 つに偏った訴えをする傾向がある.これが,リベラルが保守になかなか勝てない理由とされている.また,保守が持つ道徳基盤はリベラルが持つ道徳基盤よりも広いため,リベラルが保守を理解することはその逆よりも難しい.

道徳は人々を結びつけると同時に盲目にする

大統領選挙や大阪都構想の住民投票などを見ていると,政治的な二極化は割と身近であることを実感する.特に大阪都構想に関しては,SNS で投稿を見ていると,お互い相手の主張を理解しようとせず,大きく分断されているように感じた.自分も正直なところ,(賛成か反対かは置いておいて) 自分の主張と反対の主張をしている人を理解することは難しく感じていたが,人々はみんなそのように「自分は正しい」と思い込んでいるものである.

そのような見方を是正するためのツールとして本書は役立つ.相手の主張を理解し,その上で建設的な議論をするためには,相手がどの道徳基盤の上に立っているのかをまず理解することが重要である.相手のことを理解し,かつ自分の思い込みを客観的に理解することを常に心がけていきたい.

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