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フーテンのしーちゃん?


「それを言っちゃあおしまいよ!」



昔、よくテレビで『男はつらいよ』が流れていた。

金曜ロードショーだったかな。父が大好きな寅さん。


子どもの頃、あの時間があまり好きじゃなかった。

この人の仕事はなんなの?

なんで毎回ふられる話なの?

なんで最後はいつも笑って旅に出ちゃうの?

意味わかんない!


小さな私は、ずっと首をかしげていた。


でも、大人になって、少しわかった気がする。

あの映画は、恋の終わりじゃなくて──人の情けの物語なんだ。


大人になってからこの映画を見て、いつの間にか大好きになっていた。

たまに、1日中ずっと見ていることがある。

それくらいこの映画には「味」があるんだ。


寅さんは、愛しても奪わない。

想っても、束縛しない。

ただ、相手の幸せを祈って笑って去っていく。


こんなこと、なかなかできない。

この愛は、優しさの究極かもしれない。


でも、正直に言えば、私は寅さんにはなれない。


だって本当は、手を伸ばしてしまいたい。

「幸せでいてね」じゃなくて、「一緒に幸せでいよう」って言いたい。


それを言っちゃあおしまいよ──


ストレートには言えないけど、

わかってても、やっぱり言いたくなっちゃう。


だって、わたしは恋をしてるんだから。


なんて、昭和的な恋をしてるんだろう。

まるで寅さんみたいだなって、ふっと笑った。



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