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プリントの白黒イラストでは語彙が定着しない理由――ことばの獲得をスムーズにする「カラー写真」活用法

「しりとりや季節の問題で知らないものが出てきたとき、白黒のイラストで教えていませんか。実は、ことばの習得にはカラー写真が大きな差を生みます。

プリント学習をしていると、しりとりや季節の問題で、お子さんが見たことのないものがイラストで登場することがあります。「これはね、〇〇っていうんだよ」と教えてあげる。その場面は、多くのご家庭で日常的に起きていると思います。

しかし、そのとき使っているのが白黒のイラストだとしたら、せっかくの教える機会が十分に活きていないかもしれません。


白黒イラストでことばが定着しにくい理由

多くの幼児向けプリントは、コスト面や印刷の都合から、白黒のイラストで構成されています。しかし、幼児のことば習得の観点から見ると、白黒のイラストには大きな限界があります。

その理由はシンプルです。世の中に、白黒でモノが存在していないからです。

「たんぽぽ」ということばを覚えるとき、幼児の脳はそのことばと「たんぽぽのイメージ」を結びつけます。しかし、白黒のイラストで「たんぽぽ」を教えられた子どもは、あの鮮やかな黄色、綿毛の白さ、緑の茎といった、たんぽぽの本質的な視覚情報を持たないまま、ことばだけを覚えることになります。

これは、ことばの定着という観点から見ると、非常に不完全な学びです。

脳はカラー情報と一緒にことばを記憶する

認知心理学の研究では、人間の記憶は「符号化(encoding)」のプロセスによって質が大きく変わることが示されています。ことばを覚えるとき、そのことばに関連する豊富な感覚情報と一緒に記憶された方が、長期記憶として定着しやすいとされています。

なかでも、色の情報は記憶の定着に大きく貢献します。「カラー優位性効果(color superiority effect)」と呼ばれるこの現象は、白黒の情報よりもカラーの情報の方が記憶に残りやすいことを示しています。

つまり、「たんぽぽ」ということばを教えるとき、白黒のイラストより、鮮やかな黄色のたんぽぽのカラー写真を見せた方が、そのことばは子どもの記憶に深く刻まれるのです。

さらに、幼児の脳は成人よりも視覚情報への依存度が高いとされています。まだ文字を読めない幼児は、ことばと意味を結びつける際に、視覚的なイメージに大きく頼っています。だからこそ、視覚情報の質が、ことばの定着の質に直結します。

カラー写真が「本物のことば」を育てる

もう一つ、大切な観点があります。それは、ことばは「本物のイメージ」と結びついてこそ、生きたことばになるということです。

たとえば、「かきつばた」ということばを白黒のイラストで覚えた子どもと、深い紫色の美しいカキツバタの写真で覚えた子どもでは、そのことばが呼び起こすイメージがまったく違います。前者にとって「かきつばた」は記号に近いことばですが、後者にとっては、あの紫の美しさと結びついた生きたことばになります。

小学校受験のしりとりや季節の問題では、ことばを知っているかどうかだけでなく、そのことばに対する豊かなイメージがあるかどうかが、答えの確実さに影響します。カラー写真で覚えたことばは、本番の場面でもよりくっきりと思い出されやすいのです。

スマホ・タブレットの画像検索を活用する

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。答えはシンプルです。

プリントに知らないものが出てきたとき、スマホやタブレットで画像検索をして、カラー写真を見せてあげてください。

「かきつばた」なら、検索するとすぐに美しいカラー写真が何枚も出てきます。「いせえび」なら、鮮やかな赤のイセエビが画面いっぱいに現れます。「ざくろ」なら、あの独特の赤と、割れた中の粒の様子まで一目でわかります。

白黒のイラストに「これはたんぽぽだよ」と説明するより、「見てみよう」とスマホで検索して本物のカラー写真を一緒に眺める。たったそれだけで、ことばの定着の質が大きく変わります。

さらに、写真を見ながら「きれいな色だね」「ふわふわしてそうだね」「こんなところに咲いているんだね」と会話を添えてあげると、視覚情報に言語情報と感情情報が加わり、記憶の定着はさらに深まります。

季節の問題・しりとり対策にも直結する

小学校受験のプリントに頻出する「季節の問題」は、春夏秋冬に関連するもの――花、食べ物、行事、虫、鳥など――への理解を問うものです。

白黒のイラストで「これは春の花だよ」と教えても、子どもの記憶への定着は限定的です。しかし、実際のカラー写真で「桜のピンク」「菜の花の黄色」「チューリップの赤や紫」を見た子どもは、春のイメージそのものが豊かに育ちます。

しりとりの問題でも同様です。知らないことばが出てきたとき、カラー写真で記憶したものは、本番の場面でも「あ、あの写真のやつだ」とくっきり思い出されます。

保護者の方へ――「見せる」だけでいい

特別な教材を用意する必要はありません。今すでに持っているスマホを、ことばの習得のための道具として活用するだけです。

プリントで知らないものが出てきたとき、「これはね、〇〇っていうんだよ」とイラストを指さして説明するより、「ちょっと見てみようか」とスマホで検索してカラー写真を一緒に眺める。

その一手間が、お子さんのことばの世界を、白黒からカラーへと豊かに広げていきます。

ことばは、本物のイメージと結びついてこそ、生きたことばになります。今日から、ぜひ試してみてください。

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