その一言、日本語だとどう言う?第2回「ちょっと待って」は、どれくらい待つ?
日常の中で、よく使う言葉の一つに「ちょっと待って」があります。
家の中でも、外でも、特に意識せずに口にしている言葉です。
でも、改めて考えてみると、この言葉が指している時間は、かなり幅があります。
「ちょっと」の中身は決まっていない
数秒のこともあれば、今は無理、という意味のときもあります。
相手にすぐ戻るつもりで言うこともあれば、
その場を一度区切るために言うこともあります。
それでも日本語では、「ちょっと待って」でだいたい通じてしまいます。
待つ長さを、言葉ではっきり示しているわけではありません。
場面が意味を決めている
この言葉が成り立っているのは、
前後の流れや、その場の状況が共有されているからです。
今は何をしているのか。
相手はどんな状態か。
どれくらい急いでいるのか。
そうした情報をまとめて受け取って、
「このくらいの待ち時間だな」と判断しています。
日本語では、言葉そのものより、場面が多くを語っています。
英語にすると、言い分けが必要になる
「ちょっと待って」を英語にしようとすると、
一つの言葉では落ち着きません。
たとえば、すぐ戻るつもりのときは
“Just a second.”
という言い方になります。
少し時間がほしいときには
“Can you wait a minute?”
の方が自然です。
今は対応できないことを伝えたいなら
“Not now.” や “Hold on.”
といった言い方になります。
日本語では同じ「ちょっと待って」で済ませていた場面を、
英語では、「どれくらい待ってほしいのか」「今なのか、あとでなのか」を
言葉の選び方で分ける必要が出てきます。
日本語の便利さに気づく
こうして比べてみると、日本語の「ちょっと待って」は、
とても便利な言葉です。
細かく言わなくても、
その場の流れで意味が補われます。
英語にしようとして初めて、
「日本語では、ここを言わずに済ませていたんだな」
と気づくことがあります。
言葉を比べる、という見方
どちらの言語が正確か、
どちらが優れているか、という話ではありません。
日本語では、
場面を共有することで成り立っている言い方があり、
英語では、
言葉の中で状況を示す部分が多い場面があります。
一つの言葉をきっかけに、
普段使っている日本語を見直してみる。
それだけで、
第2言語の見え方も少し変わってきます。
