冬の終わり。
私はこの2日間、アスファルトの上の氷を、角スコップを使って、無心で砕いていた。
鉄の角スコップは重いし、分厚い氷の塊も重い。腰を痛めないように、スクワットの体勢をとるから、太ももも、背筋も痛い。
それなのに、やめられない。止まらない。
路上一面、分厚い氷がアスファルトの上を覆っている。
だが、雨水を過ぎたころから、昼間の温度がプラスになると、分厚い氷に変化が起こる。
氷の一部が溶けて、薄くなる。すると太陽の光を浴びて、溶けてくる部分がでてくる。
私は、その隙間を見逃さない。
氷が溶けはじめた地面に、ほんの少しだけできる隙間をめがけて、まっすぐ角スコップを突き刺す!
地面スレスレにある隙間に、先がまっすぐの角スコップが吸い込まれるように突き刺さる。
「ジャャーーーーーーー!!!」っという音と共に、氷がスコップに乗る。
身体全身をバネのようにつかって、スコップに乗った氷の塊を「エイヤーー!」と投げる!
気持ちいい瞬間だ!
ゴロっと、大きな氷のかけらが割れた時は、スカッとする!
まるで大物のマグロを釣り上げたときのような、達成感がある。息があがって、心臓がバクバクなっている。しんどい…
なのに、大物の氷と出会いたくて、無心でスコップを氷と地面の間に差し込む。
時々、まだ氷が溶けていないところに、勢いよく突き刺すと、手首が痛い。「私の差し込める隙間を見極める目は、まだまだ未熟だ」なんて思いながら、なんだか負けた気持ちになる。
その繰り返し。
仕事終わりに時を忘れて、1時間近く氷と格闘していた。
まさに、無我夢中。
息は上がって、身体は痛いのに、心はスッキリしていた。
気がつくと、一面アスファルトが剥き出しになっていた。
あぁ、冬もそろそろ終わりなんだな。と思った。
翌朝、目覚めて気持ちよくカーテンをあけると、真っ白の世界に逆戻りしていた。
まだまだ、冬は終わらないようだ。
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