見出し画像

裁判傍聴のすすめ

先日、東京地方裁判所に
裁判の傍聴へ行ってまいりました。
たくさん話したいところですが、
個人情報保護の観点から
具体的な事件内容については触れず、
裁判傍聴の基本について
まとめてみたいと思います。

法学を専攻していない私でも、実際に行ってみて
「これは一度自分の目で確かめる価値がある」と
強く感じました。
初めての方が少しでもリラックスして
足を運べるよう、ポイントを絞って解説します。

個人の体験に基づくものですので
誤りがございましたら
教えていただけると幸いです。

1. 裁判所に行く

日本には、最高裁判所、高等裁判所、
地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の
5種類の裁判所がありますが
初めてなら「地方裁判所」が良いでしょう。

地方裁判所は裁判の数が多く、
容易に傍聴ができます。
私が訪れた日は約300件の裁判が
行われていました。
また地方裁判所は、
その裁判が第一審であることも多く、
最も標準的で流れがわかりやすい裁判を
傍聴することができます。
裁判員裁判も、地方裁判所でしか行われません。

全ての裁判傍聴は無料で、予約不要です。

東京地裁と東京高裁は同じ建物に位置しており、
主に高層階が高裁、低層階が地裁になっています。
東京メトロの霞ヶ関を降りてすぐそばです。

2. 平日限定

裁判は平日にしかやっていません。
つまり、学生の皆さんが行くなら
平日に自由な時間が取れる、今のうちです。

午前は10:00、午後は13:30 に始まる
裁判が多いです。
1回の公判の長さは短いものだと30分、
長いものだと3~4時間かかりますが
判決言渡のように10分で
終わってしまうものもあります。
数回で終わる裁判もあれば、
被告人が無罪を主張すると
1年くらいまで長引く場合もあります。
民事裁判の場合はもっとかかります。

途中の入退室は自由ですが、これを繰り返すと
裁判や他の傍聴人の妨げになるので、
回数を控えるのがマナーです。

3. 持ち物

紙と筆記用具
裁判所の中は撮影禁止、
法廷内では操作することもできません。
アナログな筆記用具が必須です。(後述)

東京地裁・高裁の場合は地下に
複数のレストランがあります。
1Fホールでの飲食はできますが、
法廷内ではできません。

入場の前に、X線検査を用いた
手荷物検査を受けます。
ナイフやカッターなどの危険物を
持ち込むことはできません。

なお、服装の指定はありません。

4. 傍聴したい裁判を自分で選ぶ

1階のロビーにあるタブレット端末にて
その日に行われる裁判のリスト(開廷表)を
見ることができます。
それを用いて、自分が傍聴したい裁判を
選ぶことになります。
この画面を撮影することはできないため、
気になる裁判の「第◯法廷」「時刻」「事件名」を
メモしておきましょう。

中には多数の傍聴者が見込まれることから
抽選が必要な裁判もあります。
また抽選がないものでも、混雑のため
順番待ちになることもあります。
立っての傍聴はできません。
大体の予定を立てて臨むと良いでしょう。

5. 民事よりも刑事

民事裁判は、例えば土地や物件の
受け渡しに関するトラブルがありますが、
これらの裁判は論点が多く複雑で
法律に関する知識が必要になります。

他方刑事裁判は、裁判の流れや事件の
ストーリー性が分かりやすく
結果も「無罪」「有罪、拘禁刑◯年」のように
比較的明確です。

ここで、刑事裁判の開廷表の例を示します。

例)
10:00~11:00 第701号法廷 刑事第◯部 新件
(裁判官の氏名) (事件番号)
(事件名)  (被告の氏名)

太字で示した「新件」の箇所には他に
「審理」「判決」などと書かれることもあります。

「新件」とは、その裁判が
1回目の公判となることを示しています。
初めての傍聴の際には
裁判の流れを理解するという意味でも、
まずは「新件」と書かれたものから
選ぶと良いでしょう。

感想

合わせて5件の刑事裁判を傍聴しましたが
罪を犯してしまった人が抱える
複雑な背景を知ることができました。

事件の中には、貧困や家庭環境の不和、
過去の相談事例など、行政の対応次第では
未然に防げたのではないか、と
思われる犯罪もありました。

また、犯罪抑止につなげるための
教育の必要性を実感しました。
例えば、単に「悪いことをしてはいけない」と
教えるのではなく、困ったときにどこへ助けを
求めたら良いのか、SOSの出し方など
具体的な手段を知るための教育が
不可欠だと感じました。
自分の行動がどのように法的責任を伴うのか、
というのを若いうちに理解しておくことも
大切だと考えています。

法廷の空気感については
時刻が明確に定められていたり
持ってきた書類を読んでいたり
想像以上に実務的かつ機械的だったのが
印象的でした。

その中で、被告人が罪の大きさを
理解するための時間を取ったり
被告人が話し終わるまで耳を傾けていたり
被害者の心情に寄り添う質問がなされていたり
随所に「人情」が残された場面もあり
実際に傍聴してみて良かったと考えています。

一方で、目立つ服装で、ホールでも大声で話し
10分の公判の間に出たり入ったり
まるでエンタメで来ているかのような
態度の若い学生を多数見かけました。
加害者とはいえ、1人の人間の人生が
左右される重大な場所です。
司法が開かれたものであるからこそ
傍聴する側もその重みを考えて
行動してほしいものです。

裁判傍聴は、社会の仕組みを肌で感じ
自分はどう生きていくかを考える
大切な機会です。
法律に関心がある方はもちろん、そうでない方も
一度行ってみることを強くおすすめします。

法務省旧本館(赤れんが棟)
欧化政策の一環として1895年竣工。
今もなお現役で、一部分は展示室として
一般公開されている。
裁判所の隣にある。入場無料、予約不要。



いいなと思ったら応援しよう!