見出し画像

ジョン・レノンも愛した、避暑地の森の瀟洒な宿・万平ホテル(1994年9月)

1994年9月

クラシックホテルマニアとしてはずせないのが、箱根の「富士屋ホテル」奈良の「奈良ホテル」そして軽井沢の「万平ホテル」だと思う。

富士屋ホテルは正月の箱根駅伝で必ず映り込むので、御殿のような建物を記憶にとどめている方も多いだろう。万平ホテルは秋篠宮ご一家が毎夏静養に訪れることでも知られ、こちらもメディアへの露出が多い。


万平ホテルとは


1894年(明治27年)創業の万平ホテル。

前身は江戸時代からの旅籠「亀屋」で、外国人宣教師との出会いをきっかけに西洋式ホテルへと生まれ変わった。ジョン・レノンが毎夏過ごした宿として有名で、カフェテラスのミルクティーはレノンの要望で生まれたのだとか。

ちなみに富士屋ホテルの創業は1878年(明治11年)なので、万平ホテルより16年も古い。なのに泊まった印象は万平ホテルの方が古く感じられた。階段や廊下の床がでこぼこしていたり、隣の部屋の声が聞こえてきたり。

でもそんなことが気にならないほど、避暑地の山荘という雰囲気が素敵だった。

現在の本館アルプス館は1936年(昭和11年)完成。日光金谷ホテルも手がけた久米権九郎の設計で、ドイツの山荘のようなハーフティンバー風の外観が特徴だ。

写真の亀のステンドグラスは館内の階段踊り場にあるもので、このホテルのシンボルのひとつ。

館内の照明の柔らかさ、艶のある木の質感、調度品のひとつひとつ。すべてが「この場所には歴史が積み重なっている」と語りかけてくるようだった。

30年前の軽井沢と30年前のわたし


1994年9月、軽井沢へ行った。

実はこのとき、元夫の両親に挨拶に行く途中だったのだ。今思えば、わたしの前半生で一番よい時代だったかもしれない。よい時代は短かったけれど。

まだ24歳だった。若かったけれど、今よりずっと贅沢だったし、今と違って物欲もすごかった。

アクセサリーも好きだったし、誕生日には当然フランス料理ね、という感じで。今の自分からは想像できない。「他人とは思えない」の逆で、まるで別の人のことのようだ。

唯一、ブランドに興味がないのだけは今と同じ。でも泊まる場所には異常なこだわりを見せたんだから、結局どこに関心を持つか、という話。


失われた時間と失われた写真


当時はフィルム時代、撮れる数が限られていたので、建物より自分を撮ってばかりだった。そのせいで、今悔やんでも悔やみきれない貴重な場を取り損ねた。白雲楼ホテルのときと同じ反省だ。

猫足のバスタブの写真もあったはずなのだが、残念ながら見当たらない。離婚でアルバムを分けたときに紛失したのかもしれない。

と思ったら、ひょんなところから出てきた。とはいってもやや遠いし、やっぱり自分が写っている。

夜の玄関前、ロッキングチェアでくつろぐ時間、部屋のミニバー……30年前のフィルム写真の色合いが、あの頃の空気をそのまま閉じ込めているようで、今見るとなんともいえない気持ちになる。

洋館だけど浴衣が用意されていた。万平の名入り浴衣って何か萌える


奈良には2年間住んでいたくせに、奈良ホテルではお茶すらしたことがない。目の前まで行ったのに、混んでいてあきらめた記憶がある。藤の花の季節だったから、GWだったのだろう。

昨年調べたら意外とお値打ちに泊まれそうだったので、泊まろうと考えていたら万博がはじまってあきらめた(笑)

いつか必ず、行く。

顔は確かにわたしなのだが、服装も好みも考えも、今とは全く違う24歳のわたし
夜の万平ホテルも風情がある


いいなと思ったら応援しよう!