2025年(令和7)年九州場所【期初順位】/幕下と十両の悲喜こもごもについて
今年の大相撲本場所を締め括る九州場所の番付が発表となりました。初日を前に、十両⇔幕下入替戦線の期初順位をまとめつつ、簡単な展望記事を添えていきます。
幕下十傑と十両下位の期初順位

(十両側の「不足」は1勝ごとに2枚相殺されます)
※「東下1」の太字は、「勝ち越し=十両昇進」の特殊な地位であることを示します
幕下十傑
当noteを閲覧されるほどの好角家の皆さんはご存知でしょうが、2場所全休して幕下に陥落した遠藤が引退するとマスメディア各社に報じられました。まだ正式な引退の手続は行われていませんが、既に遠藤が所有する年寄「北陣」の株を借りていた元・天鎧鵬が退職しており、あとはタイミングの問題と見做されています。よって今場所の十両昇進争いは残る9人で繰り広げられることになります。
番付運に泣かされる形で東筆頭に据え置かれた貴健斗ほか、2枚目までの4人は全員元関取という重厚な構成に。新十両の先場所でも中盤戦までは互角以上の健闘を見せた旭海雄、2度の十両在位を挟んで過去1年幕下では負け越しの無い大辻に加えて、先場所幕下全勝優勝で復活の狼煙を上げた島津海と、誰が来場所十両に上がっても全く違和感がありません。
西3枚目には4度目の幕下十傑チャレンジとなる出羽ノ龍がいて、4枚目には先場所調子を崩した大奄美と宮乃風が捲土重来を期します。
5枚目には初の幕下十傑となる一翔と聖白鵬がランクイン。一翔は高校時代インターハイ3位などの実績があり、初土俵から所要3場所で幕下まで上がってから3年弱揉み込まれて力をつけて来ました。聖白鵬はモンゴル相撲エリートの家系出身で、日本には高校から相撲留学し、大学卒業後に入門。幕下経験は1年ほどですが、幕下十傑入りも「満を持して」の感があります。
十両下位(~10枚目)
十両昇進を果たしたのは新十両2人と再十両2人。新十両は共に昇進を機に改名した(長村改メ)日向丸と(五島改メ)藤凌駕。日向丸は今年前半までは幕下中位をうろうろしている印象でしたが、今年7月場所に14枚目で6勝を挙げてから一気のブレイクスルー。若い力士は短期間で見違えるほど強くなることがありますが、まさにそのパターンで関取の座に辿り着きました。藤凌駕は幕下付出のアマエリートですが、先場所の充実ぶりがとにかく印象的で、あらゆる意味で一回り大きくなった感がありました。巨体を活かした力強い攻防は十両でも十分通用しそうに思えます。
再十両組は、故障さえ癒えれば地力は幕内級の北の若と、こちらもケガに泣く前は十両でも十分取れていた若ノ勝で、共に楽ではない残留ノルマを抱えているものの、勝ち越し以上の期待が持てる2人です。
一方、若手の勢いに圧され気味の中堅・ベテラン勢は試練の場所となります。今年に入って5場所連続負け越しで、先場所は幕下との入替ボーダーとなった紫雷は温情とも言える東14枚目据置となりましたが、いよいよ後が無い立場に来ています。先場所苦戦した剣翔、玉正鳳、東伯龍も、同じ成績を取ると十両に残れませんので正念場となります。水戸龍去りし後の「十両下位のヌシ」となりつつある白鷹山も含めて、経験値を活かした15日間の乗り切り方を注視したいと思います。
最後に若手からは先場所新十両で7勝に留まるも番付運に恵まれて据置となった朝翠龍。こちらは小兵ゆえの強みと弱みのどちらが勝るか分水嶺の場所となりそうです。
幕下6~15枚目と十両中位以上の期初順位


幕下6~15枚目は、伸びゆく若手と衰えに抗い続けるベテランの人間交差点という趣がありますが、幕下付出から大怪我で序ノ口まで落ちた後にわずか3場所でジャンプアップして来た一意がこの位置でどこまでやれるのかが注目です。他にも好循環を掴めば全勝優勝しても不思議ではない存在が複数おり、充実した出世競争が期待できます。
十両側のトピックとしては、幕下との入替という観点からはやや外れますが、尊富士が右上腕二頭筋腱断裂の大怪我(9月場所時点で1ヶ月の加療とリハビリを要する)からどこまでコンディションを戻しての復帰となるかに注目が集まりそうです。ロンドン公演では元気な姿を見せていましたが、本場所になってどうか。完調なら勿論優勝争いの一角となります。
というわけで、今場所もこの序列表をベースに十両⇔幕下入替争いの動向をレポートしていきます。途中で大きな出来事が無い限り、先場所までと同様に中日終了時点から本格的な更新を開始し、そこから千秋楽まで毎日更新を続ける予定です。最後まで宜しくお付き合い下さい。
