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モノを売る行為 売れなくて困っているのなら その理由 あなたが作っているかも?? 

実は私、長い年月「モノ」を売る商売をしてきました。

自分で言うのもなんですが、思ったよりもよく売れた。 これが偽らざる実感です。

なぜ売れたのか? 後になって振り返ると、そこには明確な理由がありました。今回はその「売れる裏側」について書こうと思います。

結論から言います。 私は形のある商品と、形のない商品(サービス)の双方を売ってきました。その経験から、今あらためて思う「売れた理由」とは――。
★【5月29日 追記】コメント:昨夜は、 深夜の静かなアップだったにもかかわらず、予想を遥かに超える「スキ」をいただき驚いています。(ありがとうございます)


「徹底的に、相手の都合や事情に寄り添うこと」

これに尽きます。 逆に言えば、売れない営業はこれを絶対にしません。驚くほど「相手の都合や事情に寄り添わない仕事」をしているケースが目立つのです。

具体的には、以下のような行動です。

  • 自分の売りたい商品の「優位性」ばかりを売り込む

  • お客さんよりも、自分(売り手)が先に価格に縛られている

  • 「今なら」「今日なら」「今月なら」と、時期の決断まで迫る

これらは一見、営業活動における「駆け引き」や「テクニック」に思えるかもしれません。しかし、違います。これ、実はすべて「売りたい側の都合」なのです。

「顧客には、購買目的がある」

買い手には、その商品を購入することで「実現したい何か」が必ずあります。ここを知ろうとしない、あるいは見落としている時点で、もはや営業ではありません。

極端な例を挙げましょう。わかりやすく言えば、「豆腐」です。

あるお客さんがスーパーにやってきて、豆腐コーナーの前で立ち止まっています。そこへ店員が話しかけました。

「この木綿豆腐の原材料は、完全無農薬の国産大豆なんです! 風味が全然違いますよ」 (お客さんが店員の話に、ふと足を止めます) 「普通は300円するんですけど、今ならうちの店、250円で出してます!」 (お客さんは興味がありそう……?) 「これ、今日までのお買い得価格なんです。明日は300円に戻っちゃいます。どうですか?」 「このまま鰹節とネギをのせて、冷奴にしたら最高ですよ! お得です!」

売り方として、どうでしょうか? ちゃんと声をかけているし、「売りたい」という熱意も伝わってくる。思わず熱意に負けて買ってしまいそうな、そんな「ちゃんと仕事をしてる感」が満載ですよね。何一つ間違っていないようにも見えます。

しかし、そのお客さんはどうしたか。 散々お勧めされた木綿豆腐の傍らに置かれた、何の変哲もない「絹ごし豆腐」を手に取ってレジへ向かいました。

この間、お客さんは店員の話を聞いてはいましたが、自分から話すことは一言もありませんでした。なぜなら、そのお客さんがこの日買いに来たのは、「夜の湯豆腐に使うための絹ごし豆腐」だったからです。

正しく見えることの「罠」

結果から見れば、店員の行動は完全なる「徒労」であり、お客さんにとっては「迷惑」でしかありませんでした。

  • 店員は、自分の都合(売りたい・お得・今日まで)を客にぶつけた。

  • 客は、それを無視して自分の目的を果たした。

その場に残ったのは、店員の徒労感と、お客さんの煩わしさ、そして「あの店の店員はめんどくさいな」という店へのマイナスイメージだけです。この時間は、客にとっても、店員にとっても、店にとっても、何一つメリットがありません。

そうなのです。一見して正しく、熱心に見える行動も、結果次第で180度変わってしまう。大切なのは、「お客が店に来た目的に寄り添うこと」なのです。

モノを売るという行為は、意外にも非常に知的な行為です。 だからこそ「コミュ力」と「思考力」が必要になります。そしてだからこそ、店員によって売上が劇的に変わる。これこそが、モノ売りの肝です。

とはいえ、「そこまで気が回らない……」という人のための魔法のマニュアル(ワード)もあります。

言葉の意味を深く考えない店員であっても、育てる時間がない現場であっても、これを言わせるだけでなんとかなる魔法の言葉。

  1. 「いらっしゃいませ。何かお手伝いできることはございますか?」

  2. 「何かお探しですか?」

この言葉を発声させるだけで、最低限、お客さんの購買行動の入り口に真っ直ぐ入ることができます。

これを象徴するのが、来店時点で購買目的が明確な「飲食店」、例えば「鮨屋(すしや)」です。ある意味、あれは究極の反射的対応です。

「いらっしゃい!」 「お飲み物は、何にしましょう?」 「何か、おつまみでお出ししましょうか?」 「握りましょうか?」 「ありがとうございました!」

凄いと思いませんか? 売り手が余計な思考回路を止めていても、このプロット(流れ)通りに進めるだけで、お客さんの意思が100%反映されて商売が成立してしまうのです。

そろそろ、本題にまいりましょう

売り手が学ぶべきは、売るべき商品の知識でも、売るためのテクニックでも、それを証明する資格でもないと、私は言い切ります。

必要なのは、「お客のニーズに対して、お客と同じ立ち位置で会話が成り立つこと」です。

ここで、「大工さんと軽自動車」の話をさせてください。

仮に、あなたが大工さんに「軽自動車(軽トラック)」を売りたいとします。 そのときあなたに必要なのは、カタログに書いてある程度の最低限の車の知識。そして何より、「大工さんが日々どんな仕事をしていて、どんな悩みがあり、それを解決するために、この車が何をしてあげられるか」を、大工さんと同じ目線で話せる力です。

つまり、大工さんの日々に対する「興味」と「勉強」です。

大工さんの仕事は、ある意味で自然との戦いです。 極寒の中での作業、酷暑の中での作業。そんな過酷な現場で、少しでも快適に仕事ができたらどれほどいいか。仮に現場間の移動だけでも、もし軽トラにエアコンが効いていたら、今より少しは体が楽になるのではないか?

さらに「本当に軽トラでなければならない理由」も深掘りします。 大工道具には高価で大切なものも多い。濡れないに越したことはありません。だとしたら、荷台がむき出しで、シートを被せて誤魔化す軽トラックよりも、「軽のワンボックス(バン)」という選択肢はどうだろうか? 実は、荷物の積載量はたいして変わりません。

なにより、2人乗りの軽トラでは「もう1人現場に連れていきたい」と思っても絶対に不可能です。

ただ、逆に「露呈した荷台スペースの方が、泥のついた資材を積みやすいから好ましい」という現場もあるかもしれない。 そうやって大工さんの仕事に興味を持って議論していくと、「実は軽バンの方が仕事が捗るのでは?」という答えにたどり着いたりします。

「大工=軽トラ」という既成概念や固定概念をひっくり返すことができれば、そこから同じ大工仲間への買い替え需要が一気に広がり、「このエリアの大工さんは、みんなあの店で軽バンを買っている」なんていう現象すら起きるのです。

これは、車の馬力や性能の知識で売ったのではありません。 機能よりも、もっとずっとベーシックな「相手の仕事(人生)への理解」のところで、モノが売れていくのです。

知識の連鎖、あるいは信頼の連鎖

最初の「豆腐」に話を戻します。この軽トラの話に、すべてのヒントがあります。

もしもあの店員が、お客さんの「湯豆腐をしたい」という目的をきちんと引き出せていたら。 「湯豆腐なら絹ごし」という常識に対して、「実は、この木綿豆腐を湯豆腐にすると、大豆の風味がダシに負けなくて絶品なんですよ」と、新しい魅力を提案できたかもしれない。

そうなれば、あのお客さんは、湯豆腐のためにその木綿豆腐を買っていかれたはずです。そして店員は、一回の販売だけでなく、「信頼できるアドバイザー」として大切な顧客を一人獲得できたかもしれません。

商品知識はあるに越したことはありません。けれど、 「自分だけが知っている」 「顧客は自分より詳しくないから、教えてあげなきゃ」 こう思った瞬間に、それはすべて「売れなくなる要素」へと変貌します。

知識を身に付けたことで、傲慢になり、相手の言葉を聞かなくなってしまうくらいなら、知識なんて最初から身に付けない方がマシです。独りよがりの知識の押し売りは、逆効果の連鎖を生むだけです。

「どうしたら売れるか」よりも、「どうしたら、顧客の信頼を得られるか」。

それこそが、あらゆるモノを売る行為の、本当のスタートラインなのです。


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