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京都で創業100年を迎える老舗を継ぐ。33歳料理人・PLEIN創業者の挑戦



【創業者であり、事業承継者としての覚悟】


新しい挑戦の報告です。

私は、2017年に創業した株式会社PLEINの代表取締役社長を続けながら、
京都でまもなく創業100年を迎える西京漬の老舗――株式会社京都やま六・株式会社京都一の傳の代表取締役社長に就任し、事業承継しました。
(創業98年の歴史で初めて、非親族による承継です。)

創業したPLEINと、事業承継した京都やま六・京都一の傳。

その力を合わせると、従業員は400名を超えるチームとなりました。(正社員・PA含む)伝統と革新を両輪に、新たな責任と挑戦の道を歩み始めています。

約5年ぶりのnoteでの発信に少し緊張してます。
志に共感し、共に歩んでくれる人たちの想いを代表し、ここに残します。

①自己紹介

・中尾太一
・料理人 / 経営者 33歳
・2017年に株式会社PLEINを25歳で創業
・2025年に株式会社京都やま六 / 株式会社京都一の傳を事業承継(もうすぐ創業100年)
・家族構成:妻 / 4歳の息子
・趣味:料理、外食、サウナ、読書、散歩、旅行、サッカー観戦(小中高12年間サッカー部)

仕事の歩み

18歳での飲食アルバイトをきっかけに、「25歳までに独立する」と決意。
星野リゾートに料理人として入社し、現場での修業を積んだのち、当時最年少で本社グループ料飲統括アドバイザリーメンバーに抜擢。
その後、smiles:で食と向き合う姿勢を学び、25歳で株式会社PLEINを設立し、独立。

創業資金は、起業を夢に貯めた500万円の貯金と銀行融資。南青山に「plein」を開業し、オーナーシェフとして挑戦。
「半年も続かない」と言われた悪立地、激戦区南青山での船出は苦戦の連続も、周囲に助けられ繁盛店へ。
コロナ禍の危機を乗り越え、2023年には本店を銀座に移転しました。

2025年、創業から9年目を迎えたPLEINは、
銀座・虎ノ門ヒルズ・渋谷・麻布十番・京都祇園などに広がるレストラングループへと成長を遂げています。

受賞歴として、経済産業省「日本のはばたく中小企業300」最年少受賞。グッドデザイン賞2024など。

2025年6月、京都で創業100年を迎える株式会社京都やま六・京都一の傳の4代目代表取締役社長に就任。

◽️2026年4月追記
2026年より早稲田大学 人間科学人間環境科学科に進学。学び直しをスタート

② 創業会社 株式会社PLEINについて

PLEINの料理人たちと

Vision : 外食産業を憧れる仕事にする
Mission : 食を通じて関わる人を幸せにする

2017年創業。現在は東京と京都でレストランや小売事業などを展開。

店舗ビジネスでは珍しい「週2日の定休日の導入」や「店舗規模の最適化」など、料理人のやりがいと持続可能な働き方を両立させる仕組みを追求。

「食を通じた豊かな社会づくり」を目指しています。


一部店舗紹介

PLEIN銀座本店
brasserie by plein 虎ノ門ヒルズステーションタワー
Wine Bistro by plein 京都祇園
フレンチバルギンザ バイプラン
フレンチレストランを中心に東京・京都で展開

③ 事業承継した株式会社京都やま六・京都一の傳について

京都一の傳 ロゴ

1927年創業、西京漬の老舗食品メーカー。
株式会社京都やま六を親会社とし、
株式会社京都一の傳が西京漬をお客様へお届けするメインブランドです。

京都の伝統食文化 西京漬


京都・西京極の自社工場から。
職人が一つひとつ丁寧に手切りで仕上げた西京漬を、お客様のもとへお届けしています。

職人が手切りにこだわり、仕上げる西京漬


職人が一つひとつ手がける西京漬や和の商品を、通信販売や店舗を通じて、年間約30万人のお客様にお届けしています。
さらに、和食の飲食店や小売店を展開し、食を通じて日本の伝統を守り、広げています。

手作りの西京漬を世界へ届けています。
京都伊勢丹・東京六本木ヒルズなどに店舗がございます。


京都に根づく西京漬の食文化を象徴し、味と品質、そして「贈る文化」を大切に守り続けてきた老舗企業です。

西京漬のギフト

④ 事業承継に至った背景


出会い

株式会社京都やま六・京都一の傳との縁は、2018年に始まります。
信頼する方の紹介で、当時3代目社長(現会長)の秦健二氏と出会いました。

3代目として41年間社長を務めた秦健二氏(現会長)

初めて口にした西京漬の美味しさは衝撃で、「この味をもっと多くの人に届けたい」と思ったのを今でも覚えています。

その縁から2018年より、飲食店を手伝うお仕事をいただき、東京から京都へ毎月通うようになり、2023年からは子会社の代表取締役を拝命し、2025年の会社全体を継ぐ事に繋がります。

PLEINで過ごす日々と共に自身を成長させてくれた、大切な会社です。

突然の緊急事態

2025年3月、京都やま六・京都一の傳にとって大きな出来事が起こりました。

事業承継を予定していた、4代目になるはずの親族役員が突如会社を退職し、後継者を失ったのです。

後継ぎに向け準備を進めていた秦会長が受けた衝撃は計り知れず、社員たちも大きな動揺に包まれました。

また、秦会長と共に会社を牽引してきた役員陣も定年を迎え、世代交代の流れの中で、組織は親族への承継へと移行する最終段階にありました。

後継者不在という緊急事態の中で、秦会長から私に声がかかりました。

「こんな状況で厚かましいお願いだが、4代目として会社を継いでほしい。」

その言葉に驚きましたが、緊急事態に役に立ちたい。
と直感的に思いました。

ただ、創業した株式会社PLEINの代表を続けながら、老舗の跡取りとしての責任を果たせるのか。
周囲に受け入れてもらえるのか。不安は山積みでした。

深く迷い続けた末に、私は「継ぐ」という決断を下しました。この文章では、その決断に至るまでの道のりを書かせていただきます。


社員総会で社長就任の決意表明


血縁者ではない立場で"継ぐ"理由

たくさん悩みました。
けれども、決め手はシンプルでした。

関わる人の役に立ちたい。恩返しがしたい。
そして、大好きな西京漬の食文化を守り、繋げたい。


その想いから"継ぐ"決断へと導く、
大きな転機がありました。

それは「全社員との対話」です。

前述の通り、7年前から京都やま六・京都一の傳に関わり、子会社の代表取締役を兼務してきました。

しかし、京都やま六・京都一の傳全体を継ぐとなれば、事業規模は子会社の約10倍、事業内容も多岐にわたります。

規模や役割の責任はもちろんあります。

けれども何より心配だったのは、“働く従業員の気持ち”でした。

「本当に私で良いのか」
「今の状況や会社の課題を、従業員はどう感じているのか」

そんな想いから、私は秦会長にお願いしました。

決断までに“2ヶ月”の時間をください。
子会社を含む正社員約70名、一人ひとりと1時間ずつ面談し、働く人の声を聴いた上で、継ぐかどうかを決めたい。会社、働く人の事をきちんと知りたい。


突然の後継者不在という緊急の状況下。
決断の「スピードと質の両立」のため2ヶ月と納期を決め、緊急事態のカバーと並行し、寝る間も惜しんで仲間との対話を最優先にしました。

西京漬をつくる職人、営業、物流、総務、広報、ギフト担当、コールセンター、商品開発、店舗スタッフ――
役職や職種を問わず、全ての正社員と対話を重ねました。

フラットな意見を聴くために、私が継ぐ可能性があることは伏せ、周囲から信頼の厚い従業員の茂野さんに全ての面談へ同席してもらいました。

皆に様々な事を聴きました。

「なぜこの会社で働き続けてくれているのか。」
「いま感じている課題、期待は何か。」

すると、ほとんどの従業員から、
当然の不安との声と、それ以上に前向きな声を聴けました。

「ずっと自分も、会社も変わらないといけないと思っていた。変わりたい。良い会社にしたい。」

その言葉が、私の背中を強く押してくれました。

一人あたり1時間を想定していた面談は、ほぼ全員が時間を超えて話し続けてくれました。
それでも足りない社員とは再度面談を行い、同じ課題を抱える仲間同士でMTGを開くなど、とにかく徹底して対話を重ねました。

まもなく創業100年を迎える老舗を、血縁者ではなく継ぐという決断は、生半可なものではありません。
その選択は、歴史を背負い、関わる人々の未来を左右する重大な決断です。


私ひとりでは到底決められず、社員との対話に答えを求めました。

その対話のお陰で

「この人たちと未来を創りたい」
「自分にできることで力になりたい」


そう心から思うようになりました。

これは理屈を超えて自然に湧き出た感情であり、悩み抜いた末に、私はその感情に従って継ぐ覚悟を固めました。

私を社長として迎えてくれた京都やま六・京都一の傳の従業員。
新しい挑戦を共に歩んでくれるPLEINの仲間。
そして、決断を尊重してくれた家族や関わるすべての方々。
その存在に、ただただ感謝の思いでいっぱいです。

覚悟を持ち、共に未来へ進みます。

100年企業の誇りを胸に挑戦を続けていきます。

秦会長への恩

そして、もう一つの決め手となったのは、秦会長の存在です。
私にとって京都での父のような存在。これまでたくさんの学びをいただきました。

3代目社長として41年間会社を牽引(2025年より会長)

秦会長との出会いは前述した様に2018年に遡ります。
そこから京都やま六・京都一の傳の仲間と共に、多くの仕事、飲食店をつくり上げてきました。

一部店舗紹介

京都伊勢丹に西京焼き京都やま六を開業
東京六本木ヒルズに京都一の傳を進出
京だし茶漬け専門店 京都おぶやを開業
伝統と革新をテーマに様々な繁盛店を作り上げてきました


秦会長と出会って7年。
共に仕事をする中で、会長のこと、会社のこと、そして京都のことは、私の人生に欠かせない存在となりました。

そんな秦会長が2023年に大病を患われたときは、心底動揺しました。
しかし見事に復帰された姿を見たときには、涙が出るほど安堵しました。
その後、少しでも役に立ちたいと思い、店舗を運営する子会社の代表取締役の役割を引き受けました。

そして2025年、跡取り不在という緊急事態が起きました。

思い返せば2018年に出会った当時、私は独立2年目、従業員わずか3名の会社の代表でした。
それから7年。まだまだ未熟な私ではありますが、何者でもない若輩者に信じて任せ、経営者として、料理人として育ててくださった秦会長、そして従業員や関わる方々に――

「今こそ、恩返しを始める時」

そう確信し、継ぐことを決断しました。

これから周囲の方々に力を借りながら、責任を果たすために全力を尽くしてまいります。

会長就任セレモニーにて川見本部長から花束贈呈

⑤ 決意表明

覚悟と誇りを胸に、経営者としての責任を果たし抜きます。

2025年6月より、株式会社京都やま六・株式会社京都一の傳、そして創業した株式会社PLEINは、私が代表取締役社長として経営を担っています。

これからは、それぞれの文化を守り、深めながら、M&Aでもグループインでもない、
「創業会社と事業承継した会社が、同じ志の実現を目指し共生する」
新しい体制を模索していきます。

PLEINの料理人たち(一部)
京都やま六の仲間達(一部)


私はまだ33歳の駆け出しです。
未熟だからこそ、誰よりも働き、全力で挑みます。

毎週東京と京都を往復し、常に現場に身を置いています。オフィスに、私の専用席はありません。

料理人としての誇り
100年続く西京漬の老舗として伝統継承

創業者として、事業承継者として。
料理人として、経営者として。

「食を通じて関わる人の幸せを創る」

役割は増えても、志は変わりません。
責任を持って体現し、
美味しいものを作り、届け続けていきます。

おわりに

京都やま六・京都一の傳。
職人が真心を込め、もうすぐ100年の伝統と誇りを胸に食を通じた幸せを創り出しています。

どれも渾身の一品です。
ぜひお取り寄せや店舗で体験していただければ、これ以上の喜びはありません。

継ぐことはゴールではなく、新たな責任の始まりです。関わる方々とのご縁に深く感謝し、これからも精進を重ね、恩を返してまいります。  
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。  

株式会社京都やま六
株式会社京都一の傳
株式会社PLEIN
代表取締役社長/料理人 中尾太一

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