やらなきゃいけないのに、手をつけられない。その理由と"抜け出し方"
1: はじめに
僕が初めて確定申告をしたときの話です。
やったことがないので、何から手をつければいいのかもわからない。書類の集め方も、提出のやり方も、何ひとつ知らない状態でした。
「やらなきゃいけない」のは、わかっているんです。期限も知っている。
なのに、なぜか手をつけられませんでした。
「まだ時間あるし」「週末にまとめてやろう」「もう少し落ち着いてから」
そうやって先延ばしにしているうちに、気づけば期限の直前になっていて、
初めてだから当然、やり方も全く調べていない状態でした。
結局、締め切りギリギリになって、慌ててゼロからやり方を検索して、必死で書類をかき集めて、なんとか間に合わせました。
終わった後はぐったり疲れて、「なんでもっと早くやらなかったんだ」と自分に呆れました。
あなたにも、こんな経験はありませんか?
提出物の期限が迫っているのに、なぜか他のことをしてしまう。
大事な仕事ほど後回しにして、どうでもいい作業から手をつけてしまう。
「明日やろう」が口癖になっていて、その「明日」がなかなか来ない。
そして、ギリギリになって慌てる自分を見て、「自分は意志が弱い」「だらしない人間だ」と責めてしまう。
でも、知っておいてほしいことがあります。
あなたが先延ばしをするのは、意志が弱いからではなく、だらしないからでもありません。
人間の脳には、もともと「先延ばしをするように」できている仕組みがあるんです。
今回は、脳科学と心理学の観点から「なぜ先延ばしをしてしまうのか」を解き明かし、ギリギリ人間から抜け出すための「たった1つの具体的なアクション」をお伝えします。
2: なぜ先延ばしをしてしまうのか?
「やらなきゃいけない」とわかっているのに、なぜ手をつけられないのか。
これは意志の弱さではなく、脳に組み込まれた「現在バイアス」という仕組みが原因です。
現在バイアスとは、「今の快楽やラクさ」を、「未来の利益」よりも何倍も大きく感じてしまう脳のクセのことです。
どういうことか、僕の体験で具体的に見てみましょう。
確定申告を「今やる」ことを考えると、脳はこう感じます。
「面倒くさい」「やり方を調べるのがだるい」「時間が取られる」
一方で、「今やらないこと」のメリットはこうです。
「今はラクできる」「好きなことができる」「面倒から逃げられる」
このとき、脳の中では「未来に得られる利益(早めに終わらせて安心する)」よりも、「今すぐ得られるラクさ(面倒を避ける)」のほうが、はるかに魅力的に見えてしまうんです。
だから、「今やるべきこと」を後回しにして、「今ラクなこと」を選んでしまうのです。
これが、先延ばしの正体です。
もう一つ、現在バイアスには面白い特徴があります。
私たちの脳は、「未来の自分」をまるで「他人」のように扱うんです。
脳の研究で、人が「未来の自分」について考えているとき、脳は「他人」について考えているときと似た反応を示すことがわかっています。
だから、先延ばしをするとき、私たちは無意識にこう考えています。
「今の自分はラクをして、面倒なことは"未来の自分"がやってくれるだろう」
まるで、面倒な仕事を他人に押しつけるように、未来の自分に丸投げしてしまうんです。
でも、その「未来の自分」も、締め切りが近づけば結局また「今の自分」になります。
そして同じように「もう少し後で」と、さらに先の自分に押しつける。
こうして、誰も手をつけないまま、締め切りだけが迫ってくる。
僕が確定申告をギリギリまで放置したのも、まさにこれでした。
「面倒なことは、いつかの自分がやるだろう」と、ずっと未来の自分に丸投げしていたんです。
でも、その「いつかの自分」は、結局締め切り直前の、追い詰められた自分だったんです。
ここまで情報をまとめます。
脳は「今のラクさ」を「未来の利益」より大きく感じる(現在バイアス)。しかも「未来の自分」を他人のように扱うので、面倒なことを未来に丸投げしてしまう。
この2つが組み合わさって、私たちは「わかっているのに、先延ばしをする」んです。
だから、先延ばしをするあなたは、だらしないわけでも、意志が弱いわけでもありません。
人間の脳が、もともとそういうふうにできているだけなんです。
では、どうすれば先延ばしをなくせるのか?
脳の仕組みが原因なら、その仕組みを逆手に取れば、先延ばしは防げるんです。
3: たった1つのアクション「2分だけ」やってみる
脳の仕組みを逆手に取って、先延ばしを防ぐとは具体的にどういうことか?
それは「2分だけ」手をつけるです。
「たった2分?そんなんで終わるわけないじゃん」と思いますよね。
もちろん、2分で全部終わらせるわけではありません。
これは『Atomic Habits』という習慣に関する本で紹介されている「2分ルール」という考え方です。
新しい行動は「2分以内でできること」まで小さくすると、始めるハードルが一気に下がる、というものです。
ポイントは、「終わらせること」ではなく「始めること」にあります。
2章で、脳は「今やる面倒くささ」を過大評価するとお伝えしました。
確定申告も、「全部やらなきゃ」と考えるから、その面倒くささに脳がひるんで、手をつけられなくなる。
でも、考えてみてください。
「確定申告を全部やる」のは面倒でも、「確定申告のやり方を2分だけ検索する」なら、できそうな気がしませんか?
「部屋を全部片付ける」のは無理でも、「机の上のゴミを1つ捨てる」だけならできる。
「レポートを全部書く」のは重くても、「ファイルを開いてタイトルだけ打つ」だけならできる。
人が「面倒くさい」と感じるのは「全体の大きさ」に対してです。
だから、最初の一歩を「2分でできること」まで小さくすれば、「面倒くさい」とすら感じなくなります。
なぜ「始める」だけで変わるのか?
実は、ここに脳のもう一つの仕組みが関係しています。
人間の脳には「作業興奮」という性質があります。
やる気が出てから行動するのではなく、行動を始めると、後からやる気がついてくるんです。
掃除を思い出してみてください。
「面倒だな」と思いながらも、とりあえず1か所だけ片付け始めたら、「ついでにここも」「あそこも気になる」と、気づいたら30分掃除していた。
こんな経験はありませんか?
あれが作業興奮です。
先延ばししているとき、一番エネルギーがいるのは「始める瞬間」です。
一度始めてしまえば、脳が勝手に乗ってきて、続きをやりたくなる。
だから、「2分だけ」始める。
2分後に「もうやめてもいい」と自分に許可を出していい。
でも実際にやってみると、「あ、もうちょっとやろうかな」となることが多いんです。
もし2分で本当にやめたとしても、それで大丈夫です。
「ゼロ」と「2分やった」では、天と地ほどの差があります。
何も手をつけていない状態から、一歩進んだという事実が残るからです。
まとめ:先延ばしは「始め方」で変わる
先延ばしをしてしまうのは、あなたの意志が弱いからではありません。
脳が「今やる面倒くささ」を過大評価し、面倒なことを「未来の自分」に丸投げしてしまう。
これは脳の仕組み上、当然のことです。
だから、やるべきことは「気合いで全部やろうとする」ことではありません。
「面倒くさい」と感じないくらい小さく、「2分だけ」始めることです。
2分だけ手をつける。あとは作業興奮に任せる。
まずは今日、先延ばしにしていることを1つ思い浮かべて、それに「2分だけ」手をつけてみてください。
最後に
「なんでもっと早くやらなかったんだ」と、僕は何度も自分に呆れてきました。
でも「2分だけ」のように、最初の一歩を小さくすることで、先延ばしが劇的に減るようになりました
残念ながら、完璧に先延ばしがなくなったわけではないのですが、過去に比べると格段に減っているので、やってよかったなと、心から思っています。
この記事が、あなたの「いつかやる」を「今日やる」に変えるきっかけになったら嬉しいです。
「自分も先延ばし癖がある」と思った方は、スキやフォローで応援していただけると励みになります。
なお、今回は「2分だけ始める」という最初の一歩をお伝えしました。
ただ、先延ばし癖を根本から変えていくには、「始める」だけでなく「続ける仕組み」を作る必要があります。
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