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ru_chan999
春を待つ猫〖 詩┊︎3つのお題に空想のひらめきを 〗
〖 詩 〗鍵しっぽは桜木のもと
黒いしっぽを振りながら
路の真ん中を暢気に歩く
1匹のちいさな猫
くるりとしたしっぽ
その猫だけの特別なしっぽ
そのしっぽは
誰かのとびらを開けるために
そのしっぽは
誰かに寄り添うために
母にそう教わったはずの猫は
蔑まれ 馬鹿にされ
あげく 石を投げられた
猫は おっかあをもう
ずうっと前に置いてきた
星を見ると
傍にいた温かい「何か」を
猫のしっぽを
目印の
いっとう目立つ星座にたとえた あの猫を
思い出す
そのしっぽは
猫が誰かを傍に引きとめるために
猫は桜になりたかった
あたたかくなったみぎり
人間が桜のもとに居るのを
見るのが好きだった
猫はずっと 桜のもとで春を待っていた
ある日 少年が猫に近づいてきた
猫はもう ぼろぼろだった
煤まみれだった
もう自分が 星を見上げていたころ
どんな姿形だったか忘れてしまった
少年は猫を拾い上げて
胸の方へ抱き寄せた
そのしっぽは
猫が誰かとぴったりくっつけるように
青年は真っ白な猫を腕に
桜のもとにやってきた
約束の場所
かつての憧れ
そして 出逢いの場所
青年は ただ 一粒の涙を溢した
猫のしっぽは
青年の肩を撫でるためにあった
白い猫は 今年も桜のもとで春を待つ
