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ディーバではなくミューズ。ディーバではなくアイドル

先週、六本木の東京ミッドタウンにあるビルボードライブ東京で、元ピチカートファイブの3代目ボーカリストである野宮真貴さんの45周年ライブが行われた。

近年、野宮さんは毎年3月のお誕生日に合わせてこの場所でライブをやっているのだけど、今年は2日程のそれぞれでスペシャルゲストが登場。1日目は小泉今日子さん、2日目はYOUさん。スペシャルという言葉では足りないくらいベリースペシャルなゲストが来ると告知されて、僕はキョンキョンの日を選択。
野宮さん&小泉さんという夢のような共演を拝みに行ってきた。

リハーサル時の一コマ。できれば3人の共演を観たかった!

ここで突然主語の大きな話に脱線するのだけど、ゲイ界隈ではみんなそれぞれに推しディーバ(歌姫)がいるという話で盛り上がることが多い。僕の世代で言うと、安室奈美恵、浜崎あゆみ、宇多田ヒカル、椎名林檎が四天王。あとはMISIA、aiko、倖田來未あたりの名前も挙がる。洋楽だとブリトニー・スピアーズが10代のドンピシャで、20代の頃はビヨンセを頂点に、クリスティーナ・アギレラとかP!NKとかノーダウトのグウェン・ステファニーとか。(あと、いつの時代もマドンナ姐さんとカイリー姐さんは裏切らない)

そんなディーバ論争が良く繰り広げられる(またしても主語がデカい)中で、僕のディーバはというと、今名前を挙げた人たちのこともたしかに好きだが、人生史上決して覆らないツートップがいて。

それが、野宮真貴さんと小泉今日子さん。おそらく彼女たちのメインのファン層は僕よりも一回りくらい上の人たちだと思うんだけど、周囲の同級生が安室ちゃんを筆頭にTKサウンドに夢中になっていた10代の頃から、自分はこのふたりをずっと追いかけてきた。いろいろと世の中を知った今となっては、おふたりともまあまあクィアカルチャーと縁が深い人物だと分かるけど、当時はそことはまったく結び付けず、無意識に「このお姉さん、かっこいい……!」と信奉していて。なんとまあ、若い頃から僕って分かりやすいですね。

さて、ライブ当日。野宮さんはこの3月で御年65歳だけど、昔と変わらないスタイルの良さ、まるでバービー人形のよう。そしてキラッキラ、ブリンブリン(Bling-bling)のお衣装。今回は「The 20th Century Girls」と銘打ったガールズバンド編成(メンバーも超豪華なのだけど語りだすと止まらないので割愛)なのも良かった。世界観の作り方が本当に上手い。なかなか生で聴けない古い歌もやってくれたし、歌声の不安定さは昔からなので特に気にしない。そう、僕は歌というより彼女のスタイルやスタンスが好き。だから野宮さんはディーバというより僕にとってのミューズ。

小泉さんはライブ中盤に登場して3曲、アンコールで1曲を披露してくれた。野宮さんがキョンキョンの名前を呼ぶとこの日一番の歓声。ビルボード東京の場合、演者は客席の間を通ってステージに上がる仕様なので、通りに面した席の人たちはキョンキョンとハイタッチしていてだいぶ羨ましい。オーバーサイズのチェックのセットアップを着こなしているのも野宮さんと対照的でかっこよかった。歌ってくれたのは、ふたりの縁がある楽曲「東京ディスコナイト」「私の人生、人生の夏」。そして野宮さんのリクエストなのか、「なんてったってアイドル」と「潮騒のメモリー」。キョンキョンも歌声の不安定さは昔からなので特に気にしない。そう、僕は歌というより年齢や人生のあれやこれやを誤魔化さない生き方が好き。だからキョンキョンはディーバというより僕にとっての永遠のアイドル。

僕のミューズとアイドルを一度に観られる夢のような時間はあっという間に終わってしまい、一週間経った今も余韻に浸っている。あの夜の思い出をずっと反芻しているのだけど、特に印象に残っているのが野宮さんとキョンキョンがステージで会話していた小西康陽さん(元ピチカートファイブ)のこと。

小西さんの楽曲は、1秒聞けば「あ、これ小西さんがつくったな」と分かるくらいの小西節(例えば「慎吾ママのおはロック」)も魅力なのだけど、僕が好きなのは歌詞。若い頃は何の意味もないオシャレなだけの軽薄な歌詞に聴こえて、そこが良いと思っていたんだけど、大人になっていくにつれて感情をこめない(のに伝わる)絶妙なソングライティングなのだと見方が一変した。

ふたりも小西さんの曲を褒めつつ、「でも、ベーシストがつくる曲って覚えにくい(分かりにくい?だったかも)のよね」と笑っていたのが象徴的で。たしかに歌いにくいんだよね、言葉運びが引っかかる感じがあって。

僕がここ10年くらいでぐっと来た曲は「東京の街に雪が降る日、ふたりの恋は終わった」。寒い日に一人で散歩しているときに聞いています。

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