「副首都」って言うけど、それ都構想の焼き直しですよね?という話
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制度案を読むときに、会見の言葉だけでなく、要綱・法案・議事録へ戻るための視点を整理しています。
7月15日、維新肝いりの「副首都法案」が衆議院を通過しました。このために国会の会期まで延長される騒ぎ。
「首都直下地震が来たときのバックアップ拠点を作る」――理念だけ聞くと、反対する理由はなさそうに見えます。でもこの法案、中身を見れば見るほど「うーん?」となるポイントだらけなんです。今日はそこを整理してみます。
ツッコミどころ①:要件がほぼ「大阪専用」
副首都の指定要件、よく見ると「これ、大阪しか当てはまらなくない?」という作りになっています。国会でも野党から「大阪ありき」と集中砲火を浴びました。
名古屋や福岡、札幌も手を挙げる姿勢は見せていますが、実質は大阪を指定するための出来レースでは?と言われても仕方ない設計。国全体の災害対策のはずが、特定政党の地元への利益誘導になっていないか。まずここが引っかかります。(そういえば、「正義のミカタ」の大スポンサーである某不動産業者は……。)
ツッコミどころ②:中身が決まる前に指定できちゃう
もっとすごいのがここ。この法案、「副首都とは何か」を定める基本方針は施行後1年以内に政府が作る、となっているのに、その基本方針が決まる前に副首都の指定ができる建て付けなんです。
国会で「副首都が何かを決める前に指定するのはおかしい」と指摘されていましたが、まったくその通り。時事通信には「生煮え」とまで書かれる始末です。
お金の話も白紙。維新は費用を明示していませんが、過去の首都機能移転の試算をあてはめると4兆〜7.5兆円。消費税3%分の税収に相当します。国会では「設計図を見せずに家の契約書にサインさせるようなもの」という例えも出ました。物価高で家計が苦しいこのタイミングで、です。
ツッコミどころ③:付則にこっそり「都構想三度目」
そして、これが本丸だと私は思っています。
大阪都構想、覚えていますか?2015年と2020年、二度の住民投票で大阪市民に否決されたアレです。
維新は今回の副首都法案の「付則」に、都構想の住民投票の対象を大阪市民から大阪府民全体に広げられる規定をこっそり入れていました。市民だけだと否決されるから、枠を府全体に広げて可決の確率を上げる。……いやいや、それはさすがに露骨すぎませんか。
これには憲法学者から「大阪市の廃止を市民以外が決めるのは憲法92条違反では」という指摘が出て、身内の自民党大阪府連会長・松川るい氏まで「別の法律の付則で変えるやり方はいかがなものか」と苦言。神戸新聞の社説には「維新の強引さが目に余る」とまで書かれました。
結局、高市首相の修正要請でこの付則は削除されましたが、「削除されたからセーフ」ではないですよね。二度否決された構想を、国の法案に紛れ込ませて三たび通そうとした。この事実は残ります。実際、維新は2027年春の三度目の住民投票に向けて着々と動いています。
テレビの話もしておきたい
もうひとつ気になったのが、7月18日放送の「正義のミカタ」(ABCテレビ)。「国会会期延長スペシャル」として副首都構想と都構想を取り上げ、維新の吉村代表が生出演しました。
で、放送後のSNSがなかなか荒れていまして。「正義のミカタじゃなくて"吉村のミカタ"」「同席した議員にほとんど喋らせなかった」「コメンテーターも政権寄りの発言ばかり」「BPOに報告する」といった声が並びました。
国会でまさに「大阪ありき」「生煮え」と批判されている真っ最中の法案について、提出した政党の代表を呼んで、批判的な検証もなくPRの場を提供する。それって報道番組でしょうか、広報番組でしょうか。在阪メディアと維新の距離の近さは前から言われていることですが、今回はちょっと目に余ると感じました。
「正義」を声高に叫ぶ奴が、「あんたが正義…?」というパターンは結構あるものですけども、「正義の味方」を定義する正義って、何なんですかね、一体。
まとめ:災害対策を「人質」にしないでほしい
首都機能のバックアップ自体は、真面目に議論すべきテーマです。だからこそ、その看板を利用して、二度否決された都構想を復活させ、費用も設計も曖昧なまま法案を押し通すやり方には、はっきりNOと言いたい。
「災害対策」という誰も反対しにくい旗を立てれば何でも通る――そんな前例を作ってはいけないと思うんです。
法案は参議院に送られましたが、今国会での成立は見通せていません。参院では、指定要件の恣意性、兆円単位の費用、都構想との切り分け、この3点を徹底的に詰めてほしいところです。
続報が出たらまた書きます。
参考:時事通信(7/13)、日本経済新聞、神戸新聞社説(6月)、NRI木内登英氏コラム、産経新聞、毎日新聞(7/15)ほか
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