AIで企画を増やしても、チャンネルを薄めない4つの基準
※「配信者のためのAI実践ノート」#2
AIに「次の動画案を20本出して」と頼むと、企画はすぐに増えます。
けれど、そこから選んだ動画を出し続けると、なぜかチャンネルの輪郭がぼやけることがあります。
タイトルだけ見ると悪くない。世の中で話題になっている。けれど、前の動画を見て登録してくれた人が、次も見たいと思う理由が弱い。
これは、AIが企画を出しすぎたからではありません。採用基準を渡さないまま、企画数だけを増やしたからです。
第1回では、AIは配信者の「止まる時間」を減らす道具だと書きました。前回の記事に続く今回は、企画づくりでAIを使いながら、チャンネルらしさを守るための基準を整理します。
企画が増えるほど、チャンネルは薄まりやすい
AIは、流行語、検索されやすい言葉、似た動画の型を組み合わせるのが得意です。
そのため、何も条件を渡さずに企画を頼むと、「誰が出しても成立する案」が並びやすくなります。
たとえば解説系チャンネルなら、「いま話題の○○を解説」「○○の真相」といった案です。見出しとしては使えても、そのチャンネルで見る必然性はまだありません。
政経やお金のテーマを扱うなら、制度資料や予算書と照らして、誰に何が起きるのかを具体的に追う。そうした約束があるから、視聴者は次の動画も待ってくれます。
AIに先に頼むべきなのは、企画の量ではなく、その約束を崩さない条件です。
企画を出す前に、AIへ渡す4つの前提
毎回長い説明文を書く必要はありません。次の4点を、チャンネル用のメモとして持っておくと十分です。
誰の、どんな疑問に答えるチャンネルか
例:ニュースを見たが制度の中身まで分からない人に、一次資料をもとに説明する。繰り返し扱うテーマは何か
例:政治、家計、制度、地域行政。反対に、扱わないテーマも決めておく。必ず守る確認の線
数字・制度・固有名詞は確認する。AIの要約だけを根拠にしない。動画を見終えた人に残したいもの
怒りだけで終わらず、「自分にどう関係するか」「次に何を見ればよいか」が分かる状態にする。
ここを渡したうえで「この条件に合う企画を、視聴者の疑問別に20本」と頼むと、最初から外れた案が減ります。
AIには「企画」ではなく、4種類の切り口を出させる
企画を一列に20本出させると、似た案が続きます。私は、次の4つに分けて出させるほうが使いやすいと思います。
視聴者の質問に答える企画:コメントや検索で繰り返し出る疑問を一つずつ解く。
一本を深掘りする企画:前回の動画で触れきれなかった数字、当事者、手続きを掘る。
誤解をほどく企画:広まりやすい言い方と、実際の制度・記録との差を示す。
次の行動につなげる企画:視聴者が資料を読む、申請する、家計を見直すなど、次に確認できることを示す。
この分け方なら、「面白そう」だけで選ぶより、チャンネルの役割に沿って企画の空白を埋められます。
採用する前に通したい、4つの基準
AIが出した案は、候補であって結論ではありません。私は次の4つを通してから、撮影に回す案を決めます。
登録者が期待している続きをつくれているか
この案は、過去に見てもらえたテーマと自然につながるか。他のチャンネルでも同じ形で出せてしまわないか
タイトルから自分のチャンネル名を外しても成立するなら、切り口を深くする余地があります。確認できる材料があるか
一次資料、会見、統計、当事者への取材など、動画の芯になる材料を確保できるか。一本で終わらず、次の企画につながるか
視聴者からどんな質問が返ってきそうか。その質問を次回にどう生かすかまで見えるか。
この4つに答えられない案は、悪い企画ではなく、今は出さない企画です。
「採用しない企画」を残しておく
AIを使うと候補が増えるため、全部をすぐ撮りたくなります。けれど、企画メモは三つに分けるだけで十分です。
今つくる:材料があり、視聴者の疑問にも直結している。
調査待ち:切り口はよいが、数字や資料の確認が必要。
保留:面白くても、今のチャンネルの約束からは少し遠い。
保留にした案は、テーマが動いたときや視聴者から質問が来たときに使えます。企画を捨てないことと、何でも投稿することは別です。
AIに任せるのは、発想の入口まで
AIは、過去の動画、コメント、テーマの空白を見ながら、企画の候補を増やしてくれます。
ただし、「この動画を出す理由」を決めるのは配信者です。視聴者が何を知りたくて登録したのか。自分はどの記録を見て、何を伝えたいのか。その判断まで自動化すると、投稿は増えても、チャンネルの信頼は積み上がりません。
AIで企画数を増やす目的は、流行を追い続けるためではありません。自分のチャンネルが本当に答えるべき質問を、見つけやすくするためです。
次回は、AIに台本のたたき台を作らせるとき、任せてよい部分と、配信者が書き直すべき部分を扱います。
▼あわせて読む
・YouTube配信者がAIで「止まる時間」を減らす方法──任せる仕事、残す判断
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・AIで公開後の反応を見ても、数字だけに振り回されない方法
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・1本の動画を複数媒体へ展開するAI運用設計――人間に残す判断と責任
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・AIに台本を書かせても、配信者の言葉を失わないために
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・AIでコメント欄を分析して、次の動画企画に変える方法
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▼このテーマのまとめ
・AI×発信ノウハウまとめ
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