なぜ「空飛ぶクルマ」は呪われるのか?知事直轄の激怒事件とJAL不正受給に共通する“ヒラメ組織”の末路
アップロード日:2026年6月30日
こんにちは、カネさんです。
今回は、ニュースを見て思わず「またか……!」と思った方も多いのではないでしょうか。未来のテクノロジーとして期待されている「空飛ぶクルマ」を巡り、なんと約2億9,000万円もの国の補助金が不正受給されていたという衝撃的な問題が発覚しました。
この問題の当事者となったのは、日本を代表する航空会社である日本航空(JAL)です。そして、この「空飛ぶクルマ」というワードを聞いた瞬間、私の頭にはある人物の強烈なフレーズがよみがえりました。そう、兵庫県の前知事である斎藤元彦氏の「空飛ぶクルマは知事直轄案件や」というあの言葉です。
一見、遠く離れた場所で起きたニュースのように見えますが、その裏側を掘り下げていくと、驚くほど共通する「組織の病理」や「下が上を忖度するヒラメ状態」の力学が浮かび上がってきます。今回はこの不正受給問題の全貌と、そこに隠された構造的な問題について、じっくりと紐解いていきましょう。
衝撃のニュース:JALが国の補助金2.8億円以上を返還へ
まずは事の発端となったニュースを整理しておきましょう。朝日新聞をはじめとする各メディアが報じた内容によると、JALがドローンや無人機、そして「空飛ぶクルマ」の研究に関する国の公募事業において、国から補助金を不正に受け取っていたことが明らかになりました。
問題の規模:外部の弁護士による調査が進められた結果、JALは不正受給分を含めて2億8,521万円(約3億円近く)を国に返還する方針を固めました。
管轄する組織:この公募事業を主催していたのは、経済産業省が所管する国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」です。
プロジェクト名:次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト。
「労働力不足や物流の増加に対して業務を効率化する」という大義名分のもとで進められていた先進的な研究ですが、ネット上では「これって結局ヘリコプターと何が違うの?」という手厳しいツッコミも相次いでいた案件です。JALは2022年度から複数の民間事業者と共同でこの研究に当たり、国から多額の補助金や委託金を受け取っていました。
プレイバック:「空飛ぶクルマは知事直轄」に激怒した前知事の記憶
ここで時計の針を少し巻き戻してみましょう。「空飛ぶクルマ」といえば、百条委員会でも非常に強いインパクトを残したエピソードがありましたよね。
昨年1月、県職員が翌週に予定されていた空飛ぶクルマの開発メーカーとの協定締結式について、知事室へ説明に赴いた際、斎藤前知事から大声で「何これ!勝手にやるな!」と一喝されたという証言です。
「聞いていない。空飛ぶクルマは知事直轄なんだから勝手にやるな」
職員がどれだけ説明をしようとしても途中で「やり直し」と遮られ、最終的には説明不可能と判断して退出せざるを得なかったといいます。証言した県職員は、「これほどきつい言葉を投げかけられたことは、県職員になってからなかった」「理不尽だと感じ、当時としてはかなり腹が立った」と、その尋常ではない空気感を語っていました。
まさに「瞬間湯沸かし器」のように激怒した知事。その後、事前報道に激怒した結果として担当課長が他部署へ異動させられるという、厳しい局面も報じられていました。なぜこれほどまでに「空飛ぶクルマ」というキーワードに執着し、引き寄せられるように問題が起きてしまうのか、まるで奇妙な因縁すら感じてしまいます。
ここで、組織や政治の裏側にある「失敗の本質」を深く知りたい方には、こちらの1冊が非常に参考になります。
兵庫県知事問題 失敗の本質 ――情報不信はなぜ生まれたか (ちくま新書 1920) 小林 和樹
組織がなぜ歪んでいってしまうのか、その構造を理解するための大きなヒントが詰まっています。
不正の手口:管理職の指示で作られた「実態と異なる日誌」
話をJALの不正受給問題に戻しましょう。航空業界のプロフェッショナルであるはずのJALの内部で、一体何が起きていたのでしょうか。航空専門メディア「アビエーションワイヤー」などの詳細な報道によって、その信じられない手口が明らかになりました。
問題が起きたのは「エアモビリティ創造部」という約20人の組織です。 驚くべきことに、複数の管理職が研究員に対して、あらかじめ「予定従事時間」を割り振っていたというのです。
運用の実態:管理職側が用意した「従事内容の記載例」を、研究員たちがそのまま日誌へ転記(コピペ)する運用が行われていました。
現場の困惑:当然、現場の研究員たちからは「自分の実際の業務は本当にNEDOの事業に該当するのか?」と疑問を示す声が上がっていました。
やっていない業務を「やったこと」にして日誌に書く。これに対して現場が「それはおかしいのでは」と声を上げたにもかかわらず、管理職層は従来の運用を続ける姿勢を崩さず、問題を上層部へ報告することなく握りつぶしてしまったのです。
JALのイノベーション本部長である飯山高広執行役員は、記者会見でこう説明しています。
「上層部への適切な指示を仰ぐエスカレーションが行われず、研究員が管理職の言動を忖度する状況だった」
「研究員が管理職の言動を忖度」――。このフレーズ、どこかで何度も聞いた記憶がありませんか? 公益通報のニュースなどで散々目にしてきた、「下が上を忖度して平目状態になる」という最悪の組織風土が、ここでも完全に再現されていたわけです。筋の通らない理不尽な指示に対して、現場がNOと言えない空気感が組織を蝕んでいく様子は、本当に恐ろしいなと思います。
満額獲得へのプレッシャーと「事実上の口止め」
さらに事態を悪化させているのが、FNNオンラインなどが独自に報じた「内部資料」の存在です。 それによると、2025年夏に担当部署の幹部によって「統一的な日誌の記入マニュアル」なるものが作成されていました。
そして2026年1月、研究員から「これは法令違反ではないか」という極めて真っ当な指摘が出た際、幹部側から下されたのは、あろうことか「事実上の口止め」だったというのです。不都合な真実を、どこかの元兵庫県副知事のように「クシャッとしてポイ」と闇に葬ろうとした管理職たちの姿勢は、組織の隠蔽体質そのものです。
では、なぜ彼らはそこまでして不正な日誌を書き続けさせたのか。JAL側の調査では以下のような理由が挙げられています。
予算の100%執行に対する過度なプレッシャー
不必要な労務費を積み上げ、NEDOの予算を満額獲得しようとする意図
つまり、「国からもらえる予算枠があるんだから、嘘をついてでも全額使い切って持ってこい」という、あまりにも雑でずさんな動機があったと判断されているわけです。
JAL側は全社的な助成金管理の確認プロセスの中で、ようやくこの研究員からの異論を把握し、今年2月にNEDOへ報告、社外弁護士によるフォレンジック調査(デジタルデータの詳細な解析)を進めてきました。しかし、過去の社内サーバー更新によってメールやスケジュールが残っていなかったり、退職者や他社への出向者がいたりと、調査には相当な時間を要したようです。確実な証拠が残っていない2022年度の調査事業についても、JALは受領した2,422万円の全額を返還することを決めています。
万博でもあれだけ大々的に「空飛ぶクルマ」をアピールし、盛り上げようとしていた裏側で、このような不祥事が進行していたというのは、本当に皮肉としか言いようがありません。
今回のJALのケースや、近年の様々な組織問題を通底する「告発と情報」のテーマについて、より根深い問題をはらむ「兵庫県の事例」を深くジャーナリスティックな視点から検証したい方には、こちらの書籍をおすすめします。
兵庫県告発文書問題 なぜ日本を揺るがすのか 奥山 俊宏 (著)
問題の本質がどこにあるのかをフラットに見つめ直すために、非常に重厚なファクトが提示されている1冊です。
まとめ:高いところに登りたがる人々と、引き寄せられる不祥事
今回のJALによる「空飛ぶクルマ」の研究費不正受給問題、いかがでしたでしょうか。
「空飛ぶクルマ」という、一見華やかで未来のあるテーマ。しかしその足元では、従来のずさんな運用が慣行化し、予算を満額取るためにデータを偽装し、異論を唱える部下を口止めするという、あまりにも泥臭く、不健全な組織の姿が浮き彫りになりました。
「高いところへ登りたがる」という性質に引き寄せられるように、その周辺で次々と不祥事や理不尽なトラブルが巻き起こる現象は、組織のガバナンスやチェック機能がいかに形骸化しやすいかを物語っています。NEDOの監査も含めて、ボールペンの1本に至るまで厳しくチェックされるはずの公的資金の現場で、なぜこのような大雑把な労務費の「ちょろまかし」が通用すると思い込んでしまったのか、その甘さには呆れるばかりです。
JALは今後、問題のあった事業を辞退しつつも、ドローンや空飛ぶクルマの事業自体は継続する意向を示しています。しかし、一度失われた社会的信用や、現場の「忖度マインド」を刷新するには、気の遠くなるような改革が必要になるはずです。今後、NEDO側がどのような厳しい刑事処分やペナルティを下すのか、その動向にもしっかりと注目していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます!もしよろしければ、ぜひスキボタンを押してください!
この記事は、政経プラスチャンネルの動画・ライブをベースに、Geminiを利用して文章化したものです。内容については、アップロード日をベースに書き起こしていますので、その点ご理解ください。
▼あわせて読む
・4・5回繰り返す「これまで述べた通り」で済むのか 公益通報と3号通報をめぐる会見の核心
https://note.com/poliplus/n/n0af591744343
・【内部崩壊】斎藤元彦知事、あの定例会見で完全に「政治生命」が終わったと言える決定的な理由 【追記:『受け入れた』論法を公益通報者保護法で検証する】
https://note.com/poliplus/n/n677aed50dbb3
・【部屋番号2○19の謎】兵庫県議が高級ホテルに100回「カラ宿泊」した呆れた手口
https://note.com/poliplus/n/n733e2a76b1a7
・【わずか10歩で確信】斎藤元彦氏の「傘差し動画」が映し出した、兵庫県庁のお殿様扱いとスマホの奇妙な角度
https://note.com/poliplus/n/na580118cda83
・【ドブ銭の極み】セクハラ加害者の前知事に血税6500万円が決済される日本社会の闇、被害者「福井から出て行って」
https://note.com/poliplus/n/na164a2ac997e
▼このテーマのまとめ
・公益通報・法制度まとめ
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!