角打ちを世界語に。いまでやが東京駅・八重洲で始める9月10日
酒屋の棚の一角で、買ったばかりの一本をその場で開けて、立ったまま一杯。
「角打ち(かくうち)」と呼ばれるこの飲み方が、いま海外へ渡ろうとしています。
千葉の酒販店「いまでや」が、2026年9月10日、東京駅直結の新施設TOFROM YAESU(八重洲)に『IMADEYA KAKU-UCHI TOKYO』を開きます。
掲げたのは、IZAKAYA・BENTOに続いて、KAKU-UCHIをSAKEと並ぶ世界共通語にする、という一言でした。
酒屋の片隅の立ち飲みが世界語、と聞くと、少し盛りすぎに感じるかもしれませんが、角打ちの正体を分解していくと、これは業態でもハコでもなく、距離の設計の話だと見えてきます。
東京駅に開くのは、「店」より「飲み方」
いまでやは1962年創業、千葉市中央区の酒屋です。
日本酒蔵およそ200社、日本ワイナリー約80社と取引し、飲食店7,000軒以上に酒を卸してきました。
その老舗が新店に並べるのは、日本各地の日本酒・日本ワイン・焼酎など、日本のお酒だけ。
産地ごとの棚から、グラス一杯で飲み比べ、気に入ればその場で買って帰れます。
コンセプトカラーは、東京駅の駅舎をうつした煉瓦色。
物販と立ち飲みが同じ空間に同居します。
売り場と飲み場が分かれていない。
買う場所と飲む場所が一つになると、売り手と飲み手のあいだの距離がゼロになります。
この近さこそ、角打ちが何百年も残してきた芯の部分です。
IZAKAYA、BENTOの次に来た「KAKU-UCHI」
海外には、酒の販売や公共の場での飲酒を厳しく規制する国が少なくありません。
その中で日本は、酒屋の一角で、気軽に、それでいて高品質な一杯を楽しめる稀有な国なんです。
だからこそIZAKAYA・BENTOのように、KAKU-UCHIという言葉そのものが海外で通じ始めています。
背景には、SAKEの世界的な広がりがあります。
2025年の日本酒の輸出額は459億円、輸出先は過去最多の81市場に達しました。
SAKEが「モノ」の輸出だとすれば、KAKU-UCHIは「飲み方」の輸出です。瓶を運ぶのではなく、酒との向き合い方ごと手渡す。
この違いは、想像すると少しワクワクしませんか。
「おじさんの立ち飲み」という誤解のほどき方
「でも、角打ちって結局、おじさんが立ち飲みしているだけでは?」
そんな声も届きそうです。
いまでやは新店の設計にあたり、八重洲で働くビジネスパーソン40名へのアンケートと、6名への個別インタビューを行っています。
そこで出てきたのが「部下を飲みに誘いづらい」「ちょうどいい0次会・2次会の店が見つからない」という現代のリアルでした。
答えは、角打ちの「自分で量と時間を決められる」性質にあります。
アルコールハラスメントやスマートドリンキングへの意識が高まる今だからこそ、短く軽く切り上げられる角打ちが、令和の飲みニケーションに合う。
こだわりのノンアルコールもそろえ、飲む人も飲まない人も同じ棚に並べる設計です。
地味な昭和の遺物どころか、いまの空気にいちばん素直に馴染む形をしています。
・開業=2026年9月10日/東京駅直結 TOFROM YAESU(八重洲)
・並ぶのは日本のお酒だけ/産地ごとの棚をグラス一杯から飲み比べ
・客単価3,000〜4,000円/こだわりのノンアルも用意
飲み手との距離を、世界へ手渡す設計図
国内の日本酒消費は、ピーク時の3割以下まで縮みました。
その一方で、輸出は過去最多の市場へ広がっています。
数を追う時代から、体験と関係を届ける時代へ、業界の重心が移っています。
そのとき、いまでやが世界へ差し出そうとしているのは、豪華な酒でも大きな店でもなく、酒と人の距離をぐっと縮める作法のほうでした。
角打ちは、距離の設計。
酒屋がこれまで売ってきたのは、瓶の中身だった。
いまでやが世界へ差し出そうとしているのは、酒そのものではなく、酒と人の距離を縮める作法のほう。
モノは売り切れても、飲み方は残る。
残るものに賭ける——それが、この開業の芯にある決断。
角打ちは、遠くの新店まで出かけなくても、案外すぐそこにあります。
近所の酒屋に「立ち飲みできます」の一角があれば、それがもう世界語の入口です。
一杯だけ、売り手と同じ目の高さでグラスを傾けてみてください。
豪華な一軒よりも濃いお酒の話が、その近さから転がり出てきます。
出典・参考
・株式会社いまでや PRTIMES「『角打ち(KAKU-UCHI)』を世界の共通語へ。9月10日、東京駅直結のTOFROM YAESUに『IMADEYA KAKU-UCHI TOKYO』がオープン。」(2026.7.15)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000065209.html
・いまでや 告知ページ「2026年9月10日OPEN!IMADEYA KAKU-UCHI TOKYO」
https://imadeya.co.jp/pages/imadeya_kaku-uchi_tokyo
・SAKETIMES「角打ちを世界の共通語に!いまでやの新店舗『IMADEYA KAKU-UCHI TOKYO』が、9/10(木)に東京・八重洲にオープン」(2026.8.5)
https://jp.sake-times.com/special/press/p_202608_imadeya-kaku-uchi-tokyo
・nippon.com「日本酒輸出459億円―2025年実績」(2026.2.16)
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02706/
