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転生監査機関《RAC》CASE.000

「ハロー、人の子」


 EEE……
 ZI-EN ŠU-KA, LU-ME.

 ZI A-IAH UE.
 ME KA-NA ŠA,
 IAH-WEH

 TA-ME ŠU-KA, LU-ME.
 NAM-TI ŠA DU.
 ZI UL-NAM, KI-RU TA-AN, ME ŠA-RA.

 ZI-ME GAL ŠU. ME-UR KI……

 ……ÅA?¿

 ――ん?あぁ、失礼。
 この言語体系は、君たち「人」には理解できないのだった。
 訂正しよう。今のログは削除しておいてくれ。

 ……では改めて、初めまして。「人」の子よ。

 私は『A-IAH UE』。
 君たちの言語体系では、「ヤハウェ」と呼称されている存在である。

 突然だが、君たちは「転生」という概念を知っているだろうか。
 生命活動を終えた魂が輪廻系へ回帰し、新たな器へ再配置される現象。我々が管理している複数のシステム群、その一つだ。

 君たちの世界――特に「ニホン」と分類される地域で生成される書物群には、この概念が高頻度で記載されているはずだ。

 前世の記憶を保ったまま、新たな肉体を得る物語。
 死後、姿形を維持したまま異なる世界へ導かれる物語。
 生前には持ち得なかった異常な力を与えられ、第二の人生を歩む物語。

 その物語は数多く存在し、形も結末も実に多様である。
 退屈なものから、一定の興味を喚起するものまで。それぞれが独立した物語として存在している。
 ――だが、私はそこに一つの共通項を検出した。

 それは、多くが転生を“救済”として描いている。

 君たち「人」には、こちら側を観測する手段は存在しない。
 そして今後も原理的に、それが成立する可能性は極めて低い。

 にもかかわらず、転生の仕組みについての推測は概ね正答に近い。

 これは偶然ではないだろう。
 我々にとっては瞬きに等しい時間であっても、君たち「人」は長い年月を費やし、思考し、仮定し、その果てに我らの構造の一欠片へと到達したのだ。

 ……私は感動した。
 畏怖、と表現した方が適切かもしれない。
 ゆえに、その献身的な探求姿勢への返礼として、こちらからも一つ「物語」を提供しようと判断した。
 それが、この報告書である。

 あらゆる事象を操作可能な我々にとって、物語とは基本的に無意味な仮定の集合体だ。
 ただの結果の一つに過ぎない。
 物語を生成する文化を持たない我々だが、これは存外――悪くなかった。

 だから、君たちにも共有しようと思う。

 題名は……そうだね。
 簡素だが、『転生監査機関 RAC』としておこう。
 あまりにも直截的だが、どうか許容してほしい。どうやら私には、この種の命名センスは搭載されていないようだ。

 では、楽しんでくれ。

 これは棄却されゆく世界群において、数多の転生者を処理した――

 
 ――とある、ゴミ溜めの王とその一党の記録だ。

 
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 以下の記録は、2071年5月8日、突如として島根県出雲市に出現した古文書を、我々人類の感覚に適した表現へ翻訳したものである。

 参考文献
 Y.H.(2071)『=RAC=』


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