なぜあなたはいつも同じワインを選んでしまうのか
同じワインを選んでしまう理由は、だいたい3つある。
ひとつ、失敗が怖いから。
ワインは安くない。
外れたら損した気分になる。
だから、いつもの「当たり」に手が伸びる。
ふたつ、選ぶ言葉を持っていないから。
言語化できないと判断に自信が持てない。
自信がないと、知っているものに戻る。
みっつめは、冒険する理由がないから。
今のワインで満足している。
それは本当にそうかもしれない。
「もっと好きなものがあるかも」という可能性を、閉じてしまっている。
自分も、そうだった。
ホノルルでも、グアムでも、いつも同じワインを買っていた。
Matua。
マールボロのソーヴィニヨン・ブラン。
海にも、プールにも合う。
美味しい。
裏切らない。
ビーチタオルを敷いて、あぐらをかいて、スクリューキャップをあける。
シリコンのワイングラスに注いで「カンパーイ!」
これが幸せな時間だった。
毎回、同じ。
Barefoot や Decoy を試したこともある。
結局、Matuaに戻っていた。
飲み心地を知っていたから。
転機は、ある夜のことだった。
お肉がジューシーで美味しいお店で、
ブランド好きな誰かが「Cloudy Bayにしよ」と。
同じ生産地マールボロ、同じブドウ品種ソーヴィニヨン・ブラン。
でも飲んだことがなかった。
一口いただいて、なんだか気になる。
どんどん嗅ぎたくなる、飲みたくなる。
なになになにがいるの、このワインの中に。
同じ品種なのに、こんなに違うのかと思った瞬間だった。
余韻が、違った。
その夜から、ワインリストをちゃんと見るようになった。
きちんとまではいかないけれど、ちゃんと。
興味深いひとことが書いてあるワイン。
他と違うことが書いてあるワイン。
なんだか前より、気になるようになった。
なぜ同じワインを選んでしまうのか。
答えは簡単だ。
知らないから、怖い。
怖いから、知っているものを選ぶ。
扉を開けるのに、大げさな理由はいらない。
同じワインを選ぶことは、悪くない。
ワインリストに気になる一行があったとき、
それがきっかけになる。
「あ、違うな」と感じたら、
そのワインの生産地とブドウ品種をメモしておく。
新しい扉が開いたその瞬間、
余韻が、世界を広げてくれる。
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