スイカと、夏をひとくち

拝啓、貴方さま
暑中お見舞い申し上げます。
暑さの厳しい日が続いておりますが、
お元気でいらっしゃいますか。
わたしは相変わらず、
おやつに心を奪われながら過ごしております。
𓂃𓈒𓂂
この夏、ずっと考えていたのは「夏の至福」。
冬なら、こたつでアイス。
では、夏ならなんだろう。
浮き輪でぷかぷかしながら、おでん。
まだ、「これだ!」という答えには
たどり着いていません。
そんなことを考えているうちに、
ふと気づきました。
肝心な「今の夏」を味わうことを、
すっかり忘れていたのです。
これはいけない、とスーパーへ向かいました。
夏は、待っていてくれません。
買ったのは、丸ごと一玉ではなく、
三角に切られたスイカ。
さらに小さく切って、青いお皿へ。
並んだ姿は、焼く前のサイコロステーキみたい。
ついさっきまで、確かにスイカだったはずなのに。
それでも、ひとくち頬ばれば、
お塩なんていらないくらい甘くて、みずみずしい。
夏の味が、じゅわあっとのどを通り抜けていきます。
こうして今年も、夏をひとくち味わえました。
𓂃𓈒𓂂
今は季節を問わず食べられるものが増えて、
それはとてもありがたいこと。
それでも、旬のものには、その季節の空気まで
閉じ込められていると思うのです。
蝉の声。
子どもたちが駆けていく姿。
ぎらぎらと照りつける日差し。
日陰を探しながら歩く帰り道。
そんな夏の景色が、
スイカをもっとおいしくしてくれる。
そんな気がしています。
まだまだ暑い日が続きます。
どうぞ今年だけの夏を味わいながら、
お健やかにお過ごしください。
ヒマワリの花を添えて。
ある夏の日より。

