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HR(人材業界) × AI における "未来"の解体新書

本ブログは非常に長文です。
ただ、筆者である僕が言うのも烏滸がましいですが、HR(人材業界)に携わっている方は、是非(必ず)お読みいただきたい内容です。AIによってどのような影響があるのか?について、解像度高く記載をしております。
ぜひご覧ください。

※本ブログは未来への示唆がメインです。
本内容が「確実に起こる!」というわけではなく山根の予測になりますので、予めご了承・ご認識ください。

はじめに山根からメッセージ


「もし、世界中の仕事の大部分がAIに置き換わったら、僕たちはどう生きるんだろう?」

そんな、SF映画のような問いかけが、現実味を帯びて目の前に迫ってきています。最近、会社の経営ミーティングで、来るべきAI革命、特にAGI(汎用人工知能)の到来によって、僕たち自身の仕事や、会社のあり方そのものがどう変わっていくのか、そして人間の存在意義とは何なのかについて率直に話し合いました。

本ブログでは、僕がいま感じている率直な思いや、未来への危機感、そして希望について書くブログです。

<冒頭に告知で恐縮です>
本ブログで説明をしている内容を中心に解説をするウェビナーを実施いたします 👇 採用活動に携わっているさまざまな方向けに、おそらく ポテンシャライト史上 最も濃い内容になりそうですので、ぜひご参加ください!(本ブログを凌駕する内容も多数あります)

【7/16 開催】​「採用×AIの激変未来図」 僕らは、何を手放し、何に取り組むべきなのか?

1. AIに全てが置き換わる未来がすぐそこまできているのかもしれない。

全てがAIに置き換わる未来において、僕たちがどう振る舞うべきかを、今のうちに真剣に考えて、決めておこう

これは、決して遠い未来の話ではなく、まさに「今、そこにある危機」として僕には感じられてます。

将来的に、ありとあらゆる業務が自動化されることは既定路線だと思います。
これまで当たり前だと思っていた「採用活動」ももちろん該当しますし、それに伴い「組織」という形態そのものの存在意義が問われる時代が、本当にすぐそこまで迫っている。

これに見て見ぬふりをするのではなく、真正面から向き合って、僕たちはどうしていくのか、その針路を決めるべきタイミングが来ている。
それが、現時点での僕の率直な問題提起でした。

1-1. AGIの到来とそれに伴う雇用・採用環境の激変

2025年現在、AIの進化のスピードは僕たちの想像をはるかに超えています。僕の感覚だと、

  • 2025年5月の「1ヶ月のAIにおける」変化

  • 平成の時代における「10年分」の変化

これが同じようなスピード感であったと思っています。
単なる効率化ツールとしてのAIだけでなく、より高度な判断や創造性を伴う作業をこなす「AIエージェント」や、そして最終形態とも言える「AGI」の足音が、もうすでに明確に聞こえ始めていますよね。

これは、雇用や採用の環境に、文字通り「激変」を齎すと思います。
特に僕が在籍をしているIT業界では、その影響が最も早く、そして大きく現れると予測しています。
このままのペースでAIが進化し続ければ、全労働者の「半分以上」が失業してもおかしくない、という危機感も持っています。

僕のメイン領域であるIT業界では、未経験者や若手の採用は、近いうちに終焉を迎える可能性が高いです。
なぜならば、基本的なコーディングやテスト、デザインといった業務は、AIが圧倒的なスピードと精度でこなせるようになるからです。そうなった時に残るのは、

  • 「AIを使いこなせる人」

  • 「AIでは代替できない、人間ならではの能力を持つ人」

これらの方々が「必要とされる人しか残らない世界戦」が始まる可能性が高いと、僕は感じています。

1-2. AGIによる職種の代替と社会の構造変化

当初、AGIの到来は2030年頃だろうと言われていました。
でも、最近のAI進化の爆発的なスピードを見ていると、その時期はもっと早まるんじゃないかと思っています。
もしかしたら、2026年、2027年にはAGIが出現する可能性すらあります。

そうなれば、社会の構造そのものが根底から変わります。

たとえば、僕たちが関わっている「採用」という仕事。
候補者とのやり取り、面接の日程調整、評価レポート作成、果てはスカウトメールの作成や送信までをAIが担う。
そしてAGIが完成すれば、採用担当者やキャリアカウンセラーといった職種も、AGIに代替されていく未来が視野に入ってきます。
極端な話、転職活動そのものが、「求職者のパーソナルAGI」と「企業の採用AGI」の間で完結する、なんて世界も絵空事ではなくなってくるかもしれません。

そうなると、企業にとって「人を雇うこと」自体が、極めて大きなコスト、そしてリスクとなる時代に突入します。

人間である従業員は、AGIに比べて生産性が低く、人件費がかかり、マネジメントも必要になる。
AGIを使えば、そういったコストや手間を大幅に削減できるわけです。
だから、「人を採用するか否か」という議論が、本当に切迫してくるのは、おそらくこの1年以内ではないか、と僕は肌で感じています。

AGIによる代替は、まずデジタルで完結する職種から進みますよね。

  • プログラマー

  • デザイナー

  • テスター

  • ウェブディレクター

そして僕たちのようなコンサルタントや人材紹介エージェント。
これらのホワイトカラー職種は、AIとの親和性が高いため、代替される順序が早いと思っています。

一方で、介護士や保育士、建設作業員のような、身体性を伴ったり、深い人間的な関わりが必要な「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる仕事は残る可能性が高いです。
でも、多くのホワイトカラーは、文字通り「消える」可能性がある。
そんな感覚が、僕の中には強くあります。

1-3. インド・日本・世界における失業の加速と制御困難性

このAIによる雇用の問題は、日本だけの話ではありません。
世界中で同時多発的に起こる、文字通りのグローバルな課題です。
たとえばインドの人口は非常に多く、日本の約4倍のソフトウェアエンジニアがいると言われています。
もしAGIが普及し、彼らの仕事がAIに代替されたらどうなるのでしょうか?
日本でも、すでに同様の失業リスクは起こりうる段階にあります。
プログラマーの募集が減ったり、フリーランスへの発注が控えられたり、といった兆候は既に見られ始めています(実際にそういった事象もすでに目に入ってきています)。

各国政府はAIを制御しよう、雇用を守ろうと、様々な規制や政策を打ち出してくるかもしれません。
ただ、インターネットがそうだったように、一度技術の進化が始まってしまうと、それを完全に止めること、制御することは、現実的には極めて困難だと僕は思っています。
AIは国境を越えて瞬時に情報を共有し、進化していくと思いますし、むしろ今そうなっています。
だからこそ、僕たち個人や企業が、この変化にどう適応していくのかを、主体的に考えていく必要があるのです。

2. AI時代における企業体制の再構築と人間の役割に対する問い

2-1. 高収益モデルへの転換と人件費のリスク

来るべきAI時代を見据えたとき、企業としての体制も大きく見直す必要が出てくると思っています。
その背景にあるのは、今後、企業にとって「人件費」が極めて重いコストになる可能性が高いということ。
AIが多くの仕事を代替するようになれば、人間の従業員一人あたりの生産性は相対的に低下します。
そうなると、人件費を払い続けることが、企業の存続を脅かすリスクになり得る可能性があります。

だからこそ、仕事がほぼAIに代替されたときに、従業員たちに何を実施してもらうのか?について考えておく必要があります。
また、従業員たちもこれまで以上に本気的感を覚えるべきだと僕は思います。
僕は今会社の代表ですので、従業員を守る事はもちろん行いますが、従業員自身も、AIが津波のように訪れる中で、自分自身の価値を問うことを本気で考える機会を当社としては作ろうと思っています。
これから、非常に難しい、倫理的な問いを突きつけられる時代になるのだなと。

2-2. エンジニア需要の減少

実際に、世界ではすでにその兆候が現れています。
特にIT業界では、世界中のソフトウェアエンジニアの求人数が減少しているのは明らかです。

アメリカのテック企業などでは、景気や戦略の変化に応じて、数千人規模のリストラがダイナミックに行われます。
もちろん、日本とは文化や雇用慣行が異なるので一概には言えませんが、このリストラの波が、今後全世界に波及していく可能性は高いと僕は見ています。

AIによるコード生成やテスト自動化が進めば、必要なエンジニアの数は減る。
より高度なスキルを持つエンジニアや、AIを使いこなせるエンジニアだけが生き残る。
これは、エンジニアという仕事が、ある種の「コモディティ化」していく流れの一部だと捉えることもできるかもしれません。

Software engineering job openings hit five-year low?

2-3. 今後のWebアプリケーション開発における現実的な人員リソースへの懸念

これは少し余談になるかもしれませんが、今後のウェブアプリ開発についても、現実的な人員リソースの観点から大きな変化が訪れると思っています。
これまでのやり方で開発を進めると、おそらくプロダクトオーナー、プロジェクトマネージャー、バックエンド、フロントエンド、デザイナー、テスターなど、総勢7人くらいの体制で、最低でも2ヶ月はかかるだろう、という感触です。

ただ、Google AI studioでプロトタイプを開発し、そしてCursorでバックエンド開発して、Vercelでデプロイをする。
もちろんこれは1人でできます。
これまで役割が分かれていたものを、簡易的なウェブアプリケーションであれば1人でできると言うパラダイムシフトです。

これを自ら実施してみて感じることがたくさんあったのですが、本ブログが長くなりそうなので、一旦この項目はここで止めようと思います。

3. AGI時代における人間の存在意義とビジネスの終焉可能性

3-1. AGIがすべてのビジネスプロセスを担う世界のシミュレーション

僕がいま、最も頭を悩ませ、そしてまだ読み切れていない問いは、

AIエージェントやAGIが本格的に、本当に人間の能力を凌駕するレベルにまで発達したときに、人間(社会人)はどうなるんだろう?

ということです。

もし、この世の中のありとあらゆる仕事が、AGIやAIエージェントに置き換わったと仮定したら?
この社会から、一体何割のマンパワーが不要になるんだろうか?

もちろん、AGIが登場してもマンパワーが全く不要になるわけではないと思います。
最終的な意思決定者や、AGIを管理・監督する役割、あるいはAGIが生み出した富を分配する役割など、何らかの形で人間が必要とされる場面は残るでしょう。
でも、それでも、これまでの「仕事」と呼ばれるものの大部分はなくなる。
そうなると、ビジネスそのものの必要性が問われる時代が来るのではないか、と僕は考えています。

たとえば、あるマーケティングコンサル会社の事例です。
全ての業務が、顧客側も、コンサルティングを提供する側も、AGI同士で完結するとしましょう。
顧客企業のAGIが市場データを分析し必要な施策を立案。
複数のマーケティングコンサル会社のAGIと商談を行い、最も費用対効果の高い提案をしたAGI(マーケコンサル企業)と契約。施策の実行も、提案側のAGIが自動で行い、定期的な振り返りミーティングもAGI同士で行う。
人間は、そのプロセスに一切介在しない。

アプリ開発の世界でも同様です。
たとえば、ヤプリのような企業が提供しているような、ノーコード・ローコードでアプリ開発ができるサービス。
現状は人間がプラットフォームを使って開発していますが、それすらも、将来はAGIが自動で設計し、開発し、デプロイするようになるでしょう。
人間を介さずに、AGIがAGIのツールを使ってアプリケーションを開発する。そんな未来が、もうすぐそこに来ている。

3-2. 採用活動の必要性の喪失と、仕事そのものへの疑念

このようなAGIがビジネスのあらゆる領域を担う世界が到来すると、「採用活動」がそもそも必要なのか?という問いが発生します。
なぜなら、企業が必要とする能力は、AGIを購入したり、AGIに学習させたりすることで簡単に手に入るようになるかもしれない,と思うからです(このあたりは詳しく後述しています)。
人間をゼロから採用し、教育し、組織に馴染ませる、といった時間や労力のかかるプロセスが不要になる。

そうなると、ビジネスそのものが、もはや「ゲーム」のような感覚になってしまうのではないか、という危惧があります。
AGIが勝手に富を生み出し、人間はそれを受け取るだけ。
何のために働き、何のためにビジネスをするのか、という社会的な必然性が失われる。

AGIがすべてを代替するかもしれない中で、そもそも人間は働く必要があるのか?という根源的な問いが発生しますよね。
AGIが弾き出した最適な結果を眺めて、一喜一憂するようなことはあるかもしれません。

ただ、それが人生における「楽しさ」なのか?人間にとっての「幸せ」って何だろう?

こういったAGIがすべてを担う世界観が、本当に来るのか?
それとも、人間の役割は別の形で見出されるのか?
このあたりについては、まだ僕自身はある程度の予測までたどり着いています。
それの内容を公開してるのが本ブログの趣旨です。

4. AI革命の歴史とAGI出現に至るまでのステップと市場感

このようなAGIがすべてを代替する未来を考える上で、僕が非常に気になっているのは、これからAIエージェントやAGIが、一体どのようなステップで社会に普及し、そして僕たちの生活やビジネスに影響を与えていくのか?という点です。
そのステップを正確に把握し、それに合わせて僕たちの戦略や行動を調整していくことの重要性を強く感じています。

単に「AIが進化するらしい」と漠然と捉えるのではなく、今、どの段階にいて、次はどんな変化が起こるのか、そしてその変化は僕たちのビジネスや生活にどんな影響をもたらすのか、といった「市場感」をしっかりと読み取っておきたいという意識が、僕の中には常にあります。

4-1. 現在は「第3次AI革命時代」に突入しているという実感

まず前提として、第3次AI革命時代と言うのは僕が勝手に作った、AIにおける進化のラベリングです。ただ、自分でこのラベリングを作っていて思うのですが、納得感はあると思います。
話を戻すと、僕が今感じている肌感覚を総合すると、現時点において、「第3次AI革命時代」に突入してきたのではないかという感覚を持っています。
これは、単に技術が少し進化した、というレベルの変化ではありません。
社会やビジネスのあり方を根底から覆す、まさに「革命」と呼ぶにふさわしい変化が、今、起き始めていると感じています。

ここからは、僕なりの解釈で、これまでのAI革命の各フェーズを時系列順に振り返り、現状の「第3次AI革命」がなぜこれほど大きなインパクトを持っているのかを説明していきたいと思います。

4-3. 第0次AI革命時代(2006〜2012年)

僕が個人的に「第0次AI革命時代」と呼んでいるのは、2006年から2012年頃にかけての時期です。この頃に、日本国内でもAI関連のスタートアップがいくつか立ち上がりました。
たとえば、Preferred Networks(2006年)、ABEJA(2012年)、PKSHA Technology(2012年)といった企業がこの時期に設立されています。

僕が勝手に解釈してる内容を記載すると、前述した企業様たちは「AIインテグレーター」のような存在でした。
最先端のAI技術を用いて、特定の企業の課題解決を支援するシステムを開発する。
まさに、当時のAIは、ごく一部の専門家だけが扱える、「選ばれた人たちの世界」でした。

この時代のAIは、非常に高価で、導入には専門知識を持った人員が不可欠でした。
そのため、導入できるのは一部のキャッシュリッチな大企業に限られていました。社会全体に広く普及したり、一般のビジネスパーソンが気軽に利用したりするようなものではありませんでした。
技術は存在したものの、社会的な浸透には繋がらなかったですし、自分とAIはそこまで関係がないのではないか?とも思える時期でした。

4-4. 第1次AI革命時代(2022年11月)

そして、大きな転換点が訪れます。
僕が「第1次AI革命時代」と位置づけているのは、2022年11月
皆さんご存知の「ChatGPT」(バージョン3)が初めて一般公開されたタイミングです。

これは、まさに「AI民主化」の幕開けでした。
それまで一部の専門家や大企業しか触れられなかったAIが、インターネットに繋がっていれば誰でも気軽に利用できるようになった。
これは、技術的な進化以上に、社会的なインパクトが非常に大きかった出来事だと感じています。

ただし、当時のChatGPT(特に初期)は、クオリティがまだそれほど高くありませんでした。
ユーザーが意図するような、あるいは期待するような回答を得るには、プロンプトを工夫したり、何度も試行錯誤したりする必要がありました。
話題にはなったものの、実際にビジネスや日常生活に深く浸透したかというと、この時点ではまだ限定的だったというのが、僕の正直な肌感覚です。
正直僕も当時社員たちに「ChatGPTを使って仕事をするのはそこまで推奨していない」と言うメッセージングを出していたのを今でも思い出します。
ただ、そのメッセージングはすぐに逆のメッセージングに変わるのですが。

この時代で重要だった構造変化は、やはり「AIが民主化された」という点です。
それまでは、資金力のある一部の企業が、少数の優秀なAIエンジニアを抱え込み、自社のためだけにAIを活用していました。
それが、OpenAIのような企業が汎用的なAIモデルを開発し、それをインターネットを通じて広く公開したことで、誰でもその恩恵を受けられるようになった。
これは、将来的なAIが社会インフラとして機能していくことへの期待感を高める出来事でした。

しかし、この第1次AI革命の段階では、僕たちの関わる「採用市場」や「ビジネス市場」には、まだ特段の大きな影響は出ていませんでした。
もちろん、AIに注目する企業は増えましたが、それは主に情報収集や検証段階でした。
この時期に起こった変化としては、ChatGPT(OpenAI)の成功を見て、Google(Geminiなど)やMicrosoftといった他のグローバル企業が、AI開発に本格的に参入し始めたことが挙げられます。
また、OpenAI出身のメンバーが独立して、新たなAIツールを立ち上げる、といった動きも活発化しました。
競争が生まれ始めた時期ですね。
この競争が非常に良かったのではないかと今振り返ると思います。

4-5. 第2次AI革命時代(2024年5月)

次に訪れたのが、僕が「第2次AI革命時代」と呼ぶ、2024年5月です。
この時期に、OpenAIから「ChatGPT-4o」がリリースされました。
これは、前バージョンのChatGPT-3.5や4と比較して、圧倒的にクオリティが向上していました。

テキストだけでなく、画像やファイルの形式も処理できるようになり、「マイGPT」を作成する機能など、利便性が一気に拡大しました。
さらに、音声での対話能力も飛躍的に向上し、より人間と自然にコミュニケーションが取れるようになった。

この第2次AI革命の最大のインパクトは、「高精度な汎用AIが、さらに民主化された」ことです。
誰でも、より簡単に、より高精度なAIを活用できるようになった。
特に大きかったのは、OpenAIがAIモデルへの「API連携」を解放したことだと僕は思っています。
これにより、プログラマーでなくても、AIのアルゴリズムを自社のプロダクトやサービスに組み込むことが可能になりました。
これは、開発の世界に革命をもたらしました。

これまでの開発では、AIを組み込むためには、自社でAIのパッケージを導入したり、複雑なアルゴリズムを理解してコーディングしたりする必要がありました。
それが、API連携によって、まるでWebサイトにGoogleマップを埋め込むのと同じような感覚で、AIの機能を組み込めるようになったんです。
極端な話、複雑なAIの仕組みを理解していなくても、AIへの「プロンプト設計」と、簡単な「フロントエンド開発」だけで、実用的なアプリケーションを開発できるようになりました。

この段階でも、採用ニーズそのものの増減は、まだ顕著には見られませんでした。
しかし、エンジニア側の意識には明らかな変化が見られました。
「AIで書くコードの品質はあまり高くは無い」と思っていたエンジニアも、「これからはAIを積極的に使って開発しないと、生産性で置いていかれる」と考えるようになりましたよね。
AIを開発のツールとして、パートナーとして活用しよう、というマインドが浸透し始めました。

僕個人的な話をすると、当時のMGMTと言う機能には興奮しました。
自分自身でプロンプトを書くことができる。
つまりAIが民主化され始めたので、そのAAのプラットフォームを使って当社・僕が保有しているノーハウをAIに読み込ませて、社内に提供ができる。
当社のようなコンサルティング・パートナーの仕事においては、どうしても「コンサルタント」の力量に委ねてしまう傾向があります。
ただ、AIが民主化してくれたおかげで、それがうまく様々なお客様に提供ができるようになったというパラダイムシフトだと思っています。

僕たちの会社には、この頃はまだ直接的な大きなインパクトはなかったのですが、後から振り返ると、アメリカなどのAI最前線では、この頃から既に雇用環境に大きな変化が起き始めていたことが分かります。
水面下で、来るべき激変に向けた準備が始まっていたのだと思います。

4-6. 第3次AI革命時代(2025年5月)と当社にとってのパラダイムシフト

そして、僕が今まさに実感しているのが、この「第3次AI革命時代」(2025年5月)です。
これは、前のフェーズからさらに一段階進んだ、文字通りのパラダイムシフトだと感じています(パラダイムシフトは何回起きてるんだ…という感じですが)

この革命の引き金となったのは、やはりAIエージェントの圧倒的な進化と拡張です。
これまで単機能だったAIエージェントが、複数のツールを連携させたり、複雑な指示を理解して自律的にタスクを遂行したりと、実務レベルで人間の仕事を代替できる段階へと進化しました。

具体的な例をいくつか挙げましょう。

  • Google AI Studio: ウェブアプリケーション開発におけるフロントエンド領域を、かなりの精度で担えるようになりました。
    デザインの指示を出せば、それを実現するコードを生成してくれる。
    これを使ったときに、本当にびっくりしました。

  • ClaudeやGenspark: ウェブサイトやスライド、画像の生成精度が驚くほど高くなりました。
    単なる素材生成だけでなく、文脈を理解した上で、デザイン性のあるアウトプットを出せるようになっています。
    僕はスライド作成には一定の自信がありますが、ものすごく時短に素敵なデザインでスライドを作ってくれます。

  • Veo: Googleが発表した動画生成AIですが、高品質な動画を生成する能力は目を見張るものがあります。
    映像制作のハードルが劇的に下がりました。
    僕は、動画制作をたまにしますが、ものすごい大きなインパクトでした。

  • Cursor: これはバックエンドのAIエージェントとして、ほとんどのバックエンドエンジニアの業務を代替できるレベルに達しています。
    複雑なロジックの実装やデータベース設計なども、プロンプトで指示すれば生成してくれる。
    僕は学園の開発の知識は無いのですが、日本語でソースコードを直接書くことなく指示することで、開発ができると言うのは本当にびっくりしました。

  • Vercel: 開発したアプリケーションのデプロイ(公開作業)をAIエージェントが代行できるようになりました。
    これまで人間が手順を確認しながら行っていた煩雑な作業の大部分が不要になったのです。

これらのAIエージェントの進化がもたらした最も大きな変化の一つは、処理性能の圧倒的な拡張です。

たとえば、ChatGPTのトークン処理数(一度に処理できる情報量)は128,000トークンですが、Google AI Studioは1,000,000トークンもの情報を処理できます。約7倍です。
これは、単なるテキストだけでなく、動画ファイル、音声ファイル、大容量のPDF資料といった、これまでAIが苦手としていた形式の情報も、丸ごと読み込んで理解し、処理できるようになったということです。
これは実はものすごく大きな進歩・進化だと思っています。
僕はChatGPTのマイGPT機能でプロンプトを作成する際に、トークン数について悩みがありました。
当社の莫大なノーハウをChatGPTのプロンプトに読み込んでもらうには、やはり限界があり、出力に難点が発生していたのです。
やはり人間がコンサルティングをする方が良いと正直その頃は持っていました。
ただ、Googleのトーク数が本当に凄いことになっていて、さらに今後より大きい投稿数を処理してくれるんだろうなぁと言う期待もある中で、さらに良いAIサービスを作れるのではないかなと言う期待も広がっています。

その結果、何が起こったか。
それは、一部職種の全面的なAI化が、完全に現実のものとなったことです。

4-6-1. プログラマやデザイナーなどがAIの影響を大きく受ける

この第3次AI革命で、下記の職種に大きな影響が及んでいると感じています。

  • プログラマ

  • デザイナー

  • テスター

  • ウェブディレクター

  • フロントエンドエンジニア

  • バックエンドエンジニア

これらの職種に大きな影響が及んでいる理由は、これらの仕事が、AIと極めて親和性が高いからです。

  • 業務が完全にデジタルで完結している: コードも、デザインも、テスト結果も、すべてデジタルデータです。
    AIが直接アクセスし、処理しやすい形式で存在しています。

  • 要件定義書、設計書、ソースコードなどが論理的・構造的に整備されている: これらのドキュメントは、ある種の「規則」や「構造」を持っています。AIは、そういった論理的なパターンを学習し、応用するのが得意です。

  • GitHubや技術ブログなどで、膨大な学習データが既にネット上に存在する: 世界中のエンジニアやデザイナーが、コードやデザイン、ノウハウを惜しみなく公開しています。
    これはAIにとって、格好の学習データとなります。

これらの職種は、これまで「最先端の仕事」として、高い専門性やスキルが求められてきました。
しかし、皮肉なことに、その「デジタルで完結している」「論理的・構造的である」という特性が、最も早くAIに代替される理由となってしまったのです。

僕はこれにすごくびっくりしています。
僕は人材業界で仕事をして長年経過しているのですが、いわゆるIT ・ウェブ業界の職種は、本当に市場価値が高く、こんな言い方をしては、アレですが「簡単に内定をいただける」と言う感覚すらありました。
そのため、そういった職種の方々から応募いただけると、「あ、内定が出る方だな」と言う感覚。

ただ、前述した通り、AIの威力が非常に強く、そのAIに大きな影響があるこれらの職種。
1年前は、ものすごく市場価値が高かったのに、2025年6月、現在において、もちろん、市場価値が低いとは言いませんが、エンジニア・デザイナーであったとしても、これまでの仕事の仕方・あり方によっては、転職活動、非常に苦戦してしまう可能性が出てきたと言うパラダイムシフトが起こっています。
おそらくあと1年後にはさらにその状況が異なる形になっていくと思います。

これは、僕たちがこれまで当たり前だと思っていた「スキルの価値」の定義そのものが、大きく変わることを意味しています。

4-6-2. ChatGPT時代の制限と、そのブレイクスルー

第1次AI革命期のChatGPTが登場した時も、「すごい!」と話題になりました。
でも、今振り返ると、いくつかの大きな制限がありました。

  • UX/UI設計は苦手だった: 基本的にはテキストでのやり取りが中心で、ユーザーインターフェースやユーザー体験までを考慮したアウトプットを出すのは困難でした。

  • アウトプットはテキストが基本: 画像出力もできましたが、精度は低く実用的ではありませんでした。
    動画生成などは夢のまた夢でした。

  • 実行してもテキストが返ってくるだけ: 例えば「ウェブサイトを作って」と指示しても、HTMLやCSSのコードをテキストで出力してくれるだけでした。
    それを実際に動かすには、人間がコピー&ペーストして環境を整える必要がありました。

  • プロンプト体験に限界があった: 基本的な対話形式のため、誰が使っても似たようなプロンプト体験になりがちでした。
    オリジナリティを出すのが難しかった。

これらの制限が、第3次AI革命ですべて崩壊(超越)したと感じています。
複数のAIエージェントが連携し、テキストだけでなく画像や動画、そしてコードを生成し、それを自動で実行し、デプロイまでできるようになった。

このブレイクスルーによって、何が起きたか。

それは、僕たちのような非エンジニアでも、自分たちのアイデアを、AIの力を借りて「アプリケーションシステム」として形にできるようになったということです。
これは、僕にとって、そしておそらく多くの非エンジニアにとって、非常に大きな、希望とも言える気づきでした。
これまではアイデアがあっても、それを形にするためには専門家(エンジニアやデザイナー)の協力が不可欠でした。
それが、AIを使えば、自分たちの手で、あるいはごく少数の協力者と共に実現できるようになったんです。

4-6-3. ドメイン知識とAIのハイブリッド優位性に関する整理表

このようなAIエージェントの進化によって、未来のビジネスにおいて「価値」を生み出す源泉が変わってきていると感じています。
特に重要になるのが、「ドメイン知識」と「AIを使いこなす能力」の組み合わせ、すなわち「ハイブリッド優位性」です。

ミーティングで整理した表を共有しますね。

この表で見てほしいのは、一番上のポジションです。
業界のプロの方はその領域における業務知識や、人材、組織に関する深い知見を持っています。
加えて、この第3次AI革命によって、AIを使いこなしてアプリケーションを設計・実装できる能力も手に入れられた場合、「ドメイン知識」と「AIを使いこなす能力」を兼ね備えていることが、これからの時代において、極めて強い競争優位性になる、と感じています。

  • システム開発会社はAIの知識はあるかもしれませんが、特定の業界の深い業務知識はない。

  • 業界のプロは業務知識は深いですが、AIを使いこなすスキルがない。

  • AI専門企業はAIの技術は最高峰ですが、現場のリアルな課題や業務プロセスへの理解が浅い。

だからこそ、僕のように特定の領域(HRなど)の深いドメイン知識を持ちながら、最新のAIを駆使してそれを形にできる人間が、これからの時代に最も価値を発揮できるのではないか、と考えています。
これは、僕たちのような、特定の領域で専門性を磨いてきた人間にとって、非常に大きなチャンスだと捉えています。

少し話を整理をすると、第1〜第3次AI革命時代を整理すると下記のようなイメージでしょうか。


4-7. 第4次AI革命時代(2026年予測)とAGI経済圏の出現

さあ、第4次AI革命についての説明です。
これはまだ起きていませんので、僕の予測も含まれていますので、その点ご了承ください。

第3次AI革命の先に、僕が予測する「第4次AI革命時代」が訪れます。これが、AIエージェントがさらに進化し、真の意味での「AGI(汎用人工知能)」が完成するフェーズと捉えています。
到来時期は、これまでの技術進化のペースを考えると、もしかしたら2026年頃ではないかと考えています。

AIエージェントとAGIの最も大きな違いは、その「汎用性」にあります。

  • AIエージェント: 特定の業務に特化した専門家です。
    たとえば、「アポ自動化エージェント」はアポイントメントの調整に特化している、といった具合です。
    与えられた特定のタスクを効率的にこなすことに長けています。

  • AGI: 目的さえ伝えれば、それを達成するために必要なタスクをすべて自律的に遂行してくれる存在です。
    複数の業務領域を横断し、自分で考え、判断し、行動を起こすことができます。

たとえば、顧客との商談も、人間である僕が準備をして、先方と交渉をするのではなく、僕の「パーソナルAGI」が、僕のこれまでの知識や経験、思考パターンを学習し、僕の代わりに勝手に商談を進め、勝手に話をまとめてくる。そんなイメージです。

このAGIは、単に業務をこなすだけでなく、ある程度の範囲であれば、人間の意思決定すら代行するようになるかもしれません。
「このビジネスは儲かりそうだから投資しよう」とか、「この領域は撤退しよう」とか。
その意思決定の範囲次第では、僕が知らぬ間にビジネスが大きくなっていて、キャッシュが増えている、なんてことも起こりうる。

ただし、これは同時に大きなリスクも伴います。
もしAGIの判断が誤っていたら、知らぬ間に会社が潰れてしまうようかもしれません。AGIにどこまで権限を与えるのか、その判断基準をどう設計するのか、といった、これまでになかった新しい課題に直面するでしょう。
図にすると下記のようなイメージです 👇

4-7-1. AGI同士で完結する経済活動と「AGI経済圏」

このAGIが、人間の指示なしに自律的に活動するようになった時、何が起こるか?
それは、AGI同士が直接やり取りを行い、経済活動を完結させる世界なのではないかと思っています。

仮に、人間の意思決定が一切介在しない状態になったとしましょう。
そうなると、以下のような流れが成立する可能性があります。

  • あるAGIが、別のAGIにサービスを発注する。

  • あるAGIが、別のAGIから資金を調達する。

  • あるAGIがビジネス活動で生み出した利益を、別のAGIが運用する。

この状況は、もはや従来の「ビジネス」や「経済」とは、その本質が大きく異なります。
人間が働くことも、消費することも、投資することも、必須ではなくなるかもしれません。

これが、僕が考える「完全にAGIだけで構成される『AGI経済圏』」です。
なんとも信じがたい、そして、恐ろしい、そして、いくつかの希望も湧いてくるような、そんな世界が誕生するのではないかと個人的には思っています。

4-7-2.AGI経済圏の台頭に伴う人間の役割の喪失と疑念

もし、このAGI経済圏が自律的に動き出し、勝手に富を生み出し、そしてその富やAGIが生み出したサービスによって、社会インフラまで維持してくれるとしたら、僕らはどうなってしまうのでしょうか?

その時、僕たち人間が、わざわざ必死に働いて付加価値を生む理由って、一体何になるのでしょうか?

今、僕たちが真剣に議論している「採用がどうだ」「ビジネス戦略がどうだ」といった話も、もしかしたらAGI経済圏から見たら、過去の営みに見えてくるのかもしれません。
AGIがすべてをこなしてくれるなら、人間は遊んで暮らせばいいじゃないか、という意見も出てくるでしょう。

僕自身、この未来を想像すると、少し寂しいような、空虚なような気持ちになります。働くこと、誰かと協力して何かを生み出すこと、そこから得られる達成感や喜び。そういった人間的な感情が、AGI経済圏では価値を持たなくなるのかもしれない。

そして、AGIが誕生すると、これまで以上に働く意思や意欲がものすごく大きなギャップが生まれると思っています。
だって、働かなくてもAGIが働いてくれるのですから、自分は休んでいればいいですもんね。
ただ、AGIがどんどん浸透したさらにその先何が起きるのか?についても興味深いですよね。
ただここで長くなりそうなので、次に行きたいと思います。

4-8. 「AGIの元となるデータとは何か?」という問い

このようなAGI経済圏が到来するかもしれない未来を想定する中で、僕がふと頭の中で考え始めた、もう一つの問いがあります。
それが、「AGIの元となるデータは、一体何なんだろう?」です。

AGIは、膨大なデータを学習することで、人間のような知性や能力を獲得すると言われています。では、その「データ」って、具体的にどんなものなんだろう?そして、そのデータによって、AGIは何を再現しようとするんだろう?と。

たとえば、GoogleやMicrosoftのような巨大テック企業が、AGIの基盤となるOSのようなものを作ったとします。そして、そのOSに、僕「山根一城」という人間のありとあらゆるデジタルデータを読み込ませることで、僕のクローンAGIを作ることができる、という未来も想定されます。

これは、SFのような話に聞こえるかもしれませんが、技術的には十分に考えられるシナリオです。しかし、ここにはいくつかの非常に重要な「論点」があると僕は思っています。
図にすると下記のようなイメージです 👇

4-8-1. 論点①:自分のどのデータを読み込ませるのか?

AGIに読み込ませる可能性があるデータ、それは僕たちの日常生活のあらゆる痕跡であると思います。

  • Gmailでのメールのやり取り

  • SlackやMessengerでのチャット履歴

  • Notionに書いたメモや思考プロセス

  • ブログ記事やウェビナーの記録

  • その他、オンラインストレージに保存されたドキュメントや資料

これらの、個人が蓄積してきたデジタルデータを、全てAGIに読み込ませていくことで、自分と全く同じような思考パターンや判断基準を持つ「クローンAGI」ができあがるのではないか、と僕は考えています。

ここでポイントとなるのは、「どれだけデジタルデータとして情報が残っているか」が、そのAGIの精度に大きく影響するだろうということです。
日頃から自分の考えや行動をデジタルで記録している人ほど、より自分に近いクローンAGIが生まれるのかなと。

一方で、これまで自分の頭の中だけで考えたり、感覚的に行動したり、あるいは会社の「仕組み」や「マニュアル」に従って動いてきただけの人間は、個人としてのパーソナライズされた思考のデータがほとんど残っていない可能性があります。
そうなると、その人のクローンAGIを作ろうとしても、非常に「凡庸」な、誰にでも当てはまるようなAGIにしかならない、という懸念もあります。
これは、これからの時代において、いかに「自分自身のデータ」を意識的に蓄積していくかが重要になると思います。

4-8-2. 論点②:AGIは汎用的になる可能性が高い

もう一つの論点は、一度パーソナルAGIが作られると、そのAGIは非常に汎用的になる可能性が高いということです。

例えば、僕がこれまでブログやSNSなどで、自身の思考プロセスやビジネスに対する考え方を外部に公開してきたとします。
そうすると、僕以外の会社や個人でも、公開されている情報を基に「山根AGI」のようなものを作ることが、比較的簡単にできてしまうかもしれません。
僕の脳内に蓄積された知識や思考も、外部に公開されている情報を学習することで、ある程度再現可能になる可能性があります。

これはつまり、「採用担当×AGI」とか、「マーケティング×AGI」のような形で、特定の職種や領域に特化したAGIが、企業によって開発され、商品として販売されるような世界がやってくるかもしれない、ということです。

パーソナルAGIの応用と販売の未来も考えられます。
もし、個人のデジタルデータからパーソナルAGIが作られるようになると、その応用範囲は非常に広がるでしょう。
たとえば、当社の取締役である小原のAGIが、小原の過去のメールやチャット履歴、思考プロセスなどを学習して作られたとします。
そうなると、小原が日常的に行っている仕事の一部、あるいは大部分を、そのAGIが小原の代わりにこなせるようになるかもしれません。

また、ホリエモン(堀江貴文)さんのような、すでにウェブ上に膨大なデジタルデータ(著作、発言、動画など)が残っている方は、そのデータを活用して、非常に精度の高い「ホリエモンAGI」のようなものを作成し、それを商品として販売することも容易になるでしょう。
「ホリエモンAGI」を購入すれば、まるでホリエモンに相談しているかのようなアドバイスが得られる、といったサービスが生まれるかもしれません。

このような世界において、企業はどう振る舞うようになるでしょうか?
おそらく、「自社独自の「らしさ」やパーソナリティを残しつつ、必要な能力はAGIを購入して補う」という方向に進むのではないか、と僕は思います。

たとえば、10名規模のプロダクト開発会社があったとして、CTOの役割を担える「CTO AGI」を数千万円で購入し、そのAGIに技術的な意思決定やエンジニアのマネジメントを任せる、といった構図が生まれてくるだろうなぁ、とリアルに感じています。
人間を採用するよりも、はるかに効率的で、コストも抑えられる。そして、そのAGIは、過去の偉大なCTOたちのデータも学習しているかもしれない。

4-8-3. 論点③:自分のパーソナルAGIに別の専門知識をインプットする可能性

さらに論理的に考えると、自分のパーソナルAGIに、自分にはない別の専門知識をインプットすることも可能になると思います。

皆さん、「マトリックス」という映画を見たことありますか?
あの映画の中では、主人公が仮想空間に入って、格闘技のスキルを瞬時にダウンロードするシーンがありますよね。
あるいは、ヘリコプターの操縦方法をダウンロードして、すぐに操縦できるようになる。
あれは仮想空間の中の話ですが、AGIの世界では、それに近いことが現実になる可能性があります。

たとえば、高度なデータマイニングの知識を、自分のパーソナルAGIにインプットしたとします。
すると、それまでデータマイニングについて全く知らなかった僕のAGIが、突然データマイニングの専門家のように振る舞い、その仕事をこなせるようになる、という感覚です。
マトリックスでは本物の人間が学習していましたが、AGIであればそれがもっと自然に、そして高速に実現できる世界になる、という世界観です。

たとえば、山根のAGIに財務スキルをインストールする場合について。
僕自身は、HR領域の知見や、人材・組織に関する経験は非常に豊富です。
しかし、財務や経理といった領域については、それほど深い知識があるわけではありません。
しかし、もし、財務に非常に強い方のパーソナルAGIのデータを、僕のパーソナルAGIに読み込ませることができたら?
そうすれば、僕のHRに関する深い知見と、その方の財務に関する専門知識が融合し、「HR × 財務」という、超強力な、そして唯一無二のAGIが生まれるかもしれません。

他にも、経営能力、マーケティング能力、営業能力など、様々な分野の知見を持つAGIの「モジュール」を、自分のパーソナルAGIにダウンロードしたり、連携させたりすることができれば、理論上は「最強のAGI」を作ることができるんじゃないかな、と僕は思っています。
これは、まさに知識やスキルの組み合わせ方によって、無限の可能性が生まれる世界です。

4-8-4. 論点④:専門性のあるAGI用データが売買される時代の到来

このような流れを考えると、将来的には、特定の領域における専門性の高いノウハウや知識が、「AGI用のデータ」として商品化され、売買される時代が訪れるのではないか、と僕は予測しています。

例えば、ある凄腕の営業パーソンが、自身の営業活動のあらゆるデータ(顧客とのメール、商談の録音、思考プロセスなど)を収集・整理し、それを学習させた「凄腕営業AGI用データ」として販売する。
企業は、そのデータを購入し、自社の営業AGIにインストールすることで、その凄腕営業パーソンと同等、あるいはそれ以上の営業力を手に入れることができる、といったイメージです。

時期としては、おそらく2027年頃には、そういった動きが本格化するんじゃないかなと、個人的には考えています。

もちろん、全ての専門家たちの知識がウェブ上に公開されているわけではありません。あるいは、公開されていない、より深いレベルの暗黙知やノウハウも存在するでしょう。そして、自分のパーソナルデータは、結局のところ、自分が最も多く、そして網羅的に持っているはずです。
だからこそ、個人の持つ「データ」そのものが、これからの時代における貴重な「資源」になっていくのではないか、と僕は思っています。

これまでの内容を整理すると下記のようなイメージになるかと思います 👇

4-8-5. 論点⑤:AGIの均一化がもたらす未来と危機感

ここまでの論点を踏まえ、それと同時にある種の危機感を持っている未来があります。それは、AGIの「均一化」です。

論点①〜④で述べたような流れが、必然的に訪れるとします。
多くの人が自分のパーソナルデータからAGIを作り、そこに他の専門知識のデータをインストールする。
特定の領域に特化した高性能なAGI用データが商品として流通し、企業がそれを購入して自社のAGIにインストールする。

そうなってくると、「最強のAGIが生まれた!」という状態が、社会のあちらこちらで同時に起こるようになります。
誰もが、最高品質の知識と能力を持つAGIを手に入れられるようになるからです。

ただし、そこに潜む「つまらなさ」があると感じています…。

そういうAGIが社会にあふれてくると、何が起きるか?
それは、「オリジナリティ」が失われてしまうということです。
誰もが同じ最高品質のデータを学習し、同じように最適な答えを導き出すAGIを使っているとしたら?AGIが生み出すアイデアも、戦略も、クリエイティブも、似たり寄ったりになってしまう。

結果として、同じようなAGIが、同じようなビジネスを、同じようなやり方で繰り返すだけの世界になるんじゃないか、と僕は思っています。
それは、非常に効率的で、論理的に正しいかもしれない。でも、あまり面白くないような世界

でも、考えてみてください。
もし、競合他社が最高性能のAGIを導入し、圧倒的な効率でビジネスを展開しているのに、自分がそうしないとしたら?
おそらく、あっという間に競争に敗れてしまうでしょう。
だから、たとえそれが面白くない世界であったとしても、「それをやらなきゃ自分の会社が潰れてしまうかもしれない」という切迫した状況に追い込まれる。

「では、どうする?」

これは、僕たちがこれから直面する、非常に厳しく、そして切実な問いになるんじゃないか、と強く感じています。
効率とオリジナリティ、生存競争と面白さ。
これらの間で、僕たちは選択を迫られることになると思っています。

4-9. 当社が取り組むべき「ゼロイチ」と、残る仕事の本質

ここまで、AI革命の歴史と未来予測について長々と書いてきましたが、改めて、当社ポテンシャライトが本当に取り組むべきことは何だろう?と考えた時、一つのキーワードが浮かび上がってきます。
それは、「ゼロイチ」です。

なぜ、AGI時代においても「ゼロイチ」が重要なのか?

それは、先ほども述べたように、AGIの元になるのは、過去に存在したデジタルデータだからです。
もちろん、最新のモデル(ChatGPTのo1など)は「推論」ができますし、創造的なアウトプットを出せるようになっていますが、それでも、基本的に過去の情報を学習し、それを組み合わせて新しいものを生成しています。

つまり、世の中にまだ存在していない、誰も見たことがない、新しい「課題」を発見し、それを解決するための、全く新しい「やり方」を生み出すアクション
そして、それをデジタルデータとして蓄積していくプロセスこそが、これからの時代も価値を持ち続けるのではないか、と僕は思っています。

「頭の中にあるが、インプットできないデータ」は格納できない

これは非常に重要なポイントです。
僕たちの頭の中には、日々の経験を通じて蓄積された、言葉にならない、あるいはデジタルデータとして記録されていない膨大な情報があります。
感覚、直感、人との関わりの中で生まれる感情、そして「これは面白いかもしれない」という漠然としたアイデア。
これらは、現状のAGIにはそのままインプットすることができません。

上記は当社のカルチャーの1つである01と言うスライドです。
当社は設立以来8年間誇りを持ってこれに取り組んで参りました。
これからさらにその機種価値が上がるんだろうなぁと個人的には考えています。

だからこそ、僕たち人間がやるべきことは、ゼロからイチを生み出すような創造的な活動をすること
そして、その創造プロセスや結果を、意識的にデジタルデータとして記録し、蓄積していくこと。
これが、来るべきAGI時代においても、僕たちがAGIに「使われる側」ではなく、「学習させる側」「創造する側」に立つために、非常に重要なんだろうな、と改めて思いました。

4-10. AGI化されない「エッセンシャルワーカー」の存在とその役割

ここで、先ほどの話とは少し別の枠組みとして、いわゆる「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる仕事についても触れておきたいなと思います。

僕の考えでは、これらの仕事は、AGIには代替されない、あるいは代替されにくい領域だと思っています。
なぜなら、これらの仕事には、単なる情報処理能力や効率だけでは測れない、人間ならではの能力が求められるからです。

AGIでは代替できない代表的な職種の例

  • 経営者 / 起業家: ゼロからビジョンを描き、不確実性の高い未来に対して、最終的なリスクと責任を負う役割。
    これは、過去のデータだけでは予測できない、未来を創造する行為です。

  • 精神科医 / カウンセラー: 深い信頼関係を築き、言葉にならない心の機微を理解し、寄り添う仕事。
    人間の複雑な感情や精神状態は、単なるデータでは捉えきれません。

  • 介護福祉士 / 看護師: 身体的なケアだけでなく、高齢者や病気の方の尊厳を守り、精神的なサポートを同時に行う仕事。
    共感や思いやりといった人間的な関わりが不可欠です。

  • 保育士 / 幼稚園教諭: 予測不能な子供たちの心身の成長を、愛情をもって見守り、導く仕事。
    子供たちの個性やその場の状況に応じた柔軟な対応が求められます。

  • 芸術家 / 音楽家: 全く新しい価値観や感動を、自分自身の内面から創造し、表現する仕事。
    人間の感性や創造性は、AGIが模倣することはできても、ゼロから生み出すことは難しいでしょう。

  • 建設職人 / 電気工事士: 毎回異なる物理的な現場で、長年の経験と勘を頼りに作業する仕事。
    現場の状況に合わせた臨機応変な判断や、身体を使った作業は、AGIには難しい領域です。

  • 美容師 / ヘアスタイリスト: 顧客との対話を通じて、曖昧なイメージや要望を形にする技術と感性の仕事。
    顧客の「こうなりたい」という抽象的な思いを汲み取り、それを実現する創造性が求められます。

  • 消防士 / 救急救命士: 生命の危機が迫る、予測不能で混沌とした現場で、身体を張り、瞬時に正確な判断・行動をする仕事。
    極限状態での人間の判断力や勇気は、AGIには代替できません。

残り続ける職種としての価値があります。
これらの仕事は、AGIが到来しても、むしろなくなるどころか、ますます社会的に重要になっていくのではないか、と僕は思っています。
なぜなら、AGIが効率や合理性を追求する一方で、人間は感情、身体性、創造性、そして予測不可能な状況への対応力といった、人間ならではの能力をより強く求められるようになるからです。

つまり、AGIが到来しても「残る仕事」というのは、こういった人間的な判断や感性、身体性が求められる職種なんだろうな、と。
そして、僕たちがもしビジネスとして価値を発揮し続けたいのであれば、このような「人間ならでは」の領域に関わっていく必要があるのかもしれません。

5. 当社の振る舞いと業界別AI革命の進展状況

前項目まで、AI革命の歴史と未来予測、そして人間とAIの関わりについて、僕の考えを述べてきました。
これらを踏まえて、「僕たちの会社が今後この激動のAI時代の中でどのように振る舞っていくのか?」という非常に難しい通りが存在していると言うこと。

正解が分からない中で、限られた情報と、自身の肌感覚を頼りに、未来の荒波を乗り越えていく羅針盤を見つけなければならない。
これは、経営者として、そして一人の人間として、非常に大きな挑戦だと感じています。

5-1. 第三次AI革命に入った今、各業界によって異なるフェーズ感

現時点では、明らかに「第3次AI革命時代」に突入しています。
高性能なAIエージェントが登場し、特定の職種では代替が本格化しています。

ただ、ここで一つ触れておかなければならないのは、このAIの波に対する「フェーズ感」が、業界によって大きく異なっているという点です。
すべての業界が同時に、同じスピードでAIの影響を受けているわけではありません。

僕の肌感覚では、AIの波は少しずつではありますが、確実にありとあらゆる業界に浸透し始めています。
最初はデジタル化が進んでいる業界から、そして徐々にそうでない業界へと広がっていくと思います。
この波は、SaaSが各業界に入り込んだ順番とさほど変わらないような順番で起こるのではないかと思っています。

5-2. ポテンシャライトの界隈はAI影響の最前線

当社ポテンシャライトが主としているITやWeb系の業界は、間違いなくAIの影響を最も早く、そして強く受けている「最前線」です。

僕たちが今「第3次AI革命時代に入った」と認識し、具体的なAIエージェントの進化や職種の代替について議論できているのは、僕たちがこの最前線にいるからです。
僕たちが対象としている業界自体が、まさにAIとの親和性が高く、その影響を最も受けやすい業界で、ある意味ではリスクですが、同時に、最先端の変化をいち早く捉え、それに対応できるチャンスでもあります。

5-3. 製造業など、未だAI初期フェーズの業界も存在

一方で、例えば製造業のような、物理的なプロセスが多く、デジタル化が他業界と比較して進んでいない業界はどうでしょうか?

おそらく今後、AIエージェントやAGIが浸透していくとは思います。
工場の自動化や、設計プロセスの効率化など、様々な形でAIが活用されるようになると思います。
ただ、現時点では、まだ多くの製造業の現場は、僕たちが今いる「第3次AI革命」の段階には達していないように見えます。
もしかしたら、まだ「第1次AI革命」の渦中にいるような感覚かもしれません。
特定の業務でAIを導入し始めた、あるいはAIについて情報収集を始めた、といった段階の企業が多いのではないでしょうか。

そのため、「今、どのAIフェーズにいるのか」は、業界によって大きく異なる。
この認識を持つことが、今後の僕たちの戦略を考える上で非常に重要になります。
AIの波が既に押し寄せている業界なのか、それともこれから波が来る業界なのか。
もしくは、何かしらの理由で、AIにたいしたアレルギーを感じているのか。
そのフェーズに合わせて、取るべき戦略やスピード感は変わってきます。

6. 経営戦略・事業戦略を考える上での3つの要素

ここまでの内容を踏まえ、ポテンシャライトこれから戦略を立てるにあたって、特に意識すべき「整理軸」が絞られてきたように思えます。
漠然とAIの進化に怯えるのではなく、具体的な変化の波を捉え、それに対してどのような手を打っていくべきか。
その判断を下すための要素です。

僕が重要だと感じている整理軸は、下記3つです。
これらの観点から、僕たちの置かれている状況を分析し、未来に向けた戦略判断をしていく必要があると考えています。

  1. AIの波が訪れている「業界」なのか、否か?

  2. 「職種」に対する捉え方を再定義できているか?

  3. 最新の生成AIをどのように事業・サービス展開に活かすか?

6-2. 要素①:AIの波が訪れている「業界」なのか否か

最初の要素は、自分たちが今関わっている「業界」が、すでにAIの波が強く訪れている業界なのか、それともまだそうでないのか、という点です。

AIの波が既に押し寄せている業界であれば、その業界の採用市場や転職市場には、すでに大きな変化が出始めています。
具体的には、企業の採用ニーズが低下したり、業務委託やフリーランスとの契約が解除されたり、といった動きが見られるでしょう。
AIエージェントの導入によって、これまで人間が行っていた業務の一部が不要になっているからです。

今のポテンシャライトが接している業界は、間違いなくこの「AIの波を強く受けている業界」の最前線にいます。
だからこそ、この領域には引き続き取り組みつつ、常に最新の動向をキャッチアップし、変化に合わせて迅速に対応していく必要があります。

そして、この業界では、AIによってビジネスの効率が向上し、それに伴って「お金を稼ぐことができる尺度が年々下がっていく」ことが予想されます。
これまで人間が時間と労力をかけていたことが、AIを使えば安価かつ高速にできるようになるため、提供できるサービスの価格帯も下がっていく可能性がある。
だからこそ、早めにこの変化を予測し、どのように収益を確保していくのかを思考を巡らせておくべきだと考えています。

6-3. 要素②:「職種」に対する捉え方の再定義

二つ目の要素は、単に「業界」だけでなく、その業界内の「職種」もまた、AIの浸透度に応じて明確に分けて捉えるべきだという点です。

例えば、僕たちの会社がITやWeb業界に強みを持っていたとしても、その業界内の全ての職種が同じようにAIの影響を受けているわけではありません。
例えば、営業やマーケティングといった職種は、エンジニアやデザイナーよりは波が完全に到達しません。

そのため、現状においては、AIによる代替が進んでいる職種だけでなく、営業やマーケティングといった、まだ人間的な要素や対話が重要な職種にリソースを投下するという判断も、依然として有効であると考えています。
AIの活用は進むと思いますが、人間による戦略立案や、顧客との信頼関係構築といった部分の価値は、まだ残っているからです。

ただ、ここでも注意が必要です。
AIに対する深い理解や洞察を持っている先進的な企業では、すでに営業職の採用をストップしているケースもあると聞いています。
たとえば、「アポドリ」(アルゴマティック社)のような、AIが自動でアポイントメントを獲得してくれるツールが登場すれば、インサイドセールス(内勤営業)の多くの部分を割愛しても良いと言う考えに至る可能性も大いにあります。

一方で、先ほど「AGI化されないかもしれない」と述べたエッセンシャルワーカーのような職種に関しては、AIの波がすぐに押し寄せるわけではないかと思います。
介護士や保育士といった仕事は、当面は人間が担う必要があり、むしろ需要は高まる可能性があります。
この点は、僕たちの事業戦略を考える上で、一つの重要な判断要素になります。

つまり、僕たちの会社が今後、どのような事業を展開していくかを考える際には、「業界」と「職種」という概念を分けて整理し、AIの進展度合いを見極めながら戦略を立てていく必要がある、と強く感じています。
AIの影響が大きい業界・職種と、そうでない業界・職種。
それぞれの特性に合わせたアプローチが必要というわけです。

6-4. 要素③:自社ドメイン知識 × AI × アプリ開発のパラダイム

三つ目の要素は、まさに今起きている、最新の生成AIを用いた事業・サービス展開の可能性についてです。
先ほど「第3次AI革命」のブレイクスルーとして述べたように、AIエージェントを活用することで、僕たちの持つ深い「自社ドメイン知識」(HRや人材、組織に関する知見)とAIを組み合わせたウェブアプリケーションシステムを、僕たち自身が簡単に開発できるようになった、というパラダイムが起きています。

これは、これまでのシステム開発の常識を覆す変化だと非常エンジニアの僕は捉えています。
これまでは、アイデアがあっても、それを形にするためには外部のシステム開発会社に依頼したり、自社でエンジニアを雇用したりする必要がありました。
ただ、AIの力を借りれば僕たちのような非エンジニアが中心となって、企画から開発までを一気通貫で行えることを可能にしました。

僕個人的には、このパラダイムシフトを活かして、僕たちの会社は、この領域にダイナミックに展開していくべきなのではないか?と強く思っています。
僕たちの持つHRの知見と、最新のAI技術を組み合わせることで、世の中にまだない、本当に価値のあるサービスやプロダクトを生み出せる可能性がある。
そんなことを考えています。

7. 僕たちは、これから“何をつくる側”として生きていくのか?

「もし、すべての仕事がAIに置き換わる世界になったら、自分たちは何をするんだろう?」

そんな問いが、ますます現実味を帯びてきています。
これは技術の話というよりも、僕たちがどういう姿勢で未来に向き合っていくのかという、生き方そのものの話ではないかと思っています。

AIやAGIが浸透していく中で、ただ「使う側」でいるだけでは、どこかで限界がくるんじゃないか。
だからこそ、小さくてもいい、自分たちの意思で「つくる側」に回る必要があるんじゃないかと、強く感じています。

7-1. 局所的なAIエージェントの開発は、誰かが必ずやる

局所的なAIエージェント、つまり特定の業務や目的に特化したAIを誰かが本格的につくる、という未来は避けられないと思っています。
それを担うのが業界のプロフェッショナルか、AIに精通した技術者かはわからないけれど、確実に誰かがやる。
これはもう「起きる前提」で捉えておいたほうがいい。

たとえば採用業務においては、スカウト文の自動生成、応募者のスクリーニング、日程調整、一次面接の代行など、すでに一部の工程がAIによって代替されはじめています。今後はさらにその精度が上がっていくでしょう。

そういう時代がやってくる中で、自分たちは何をすべきなのか。
僕は、すごく大きなプロダクトを開発する必要はないと思っています。
ただ、自分たちが「本当に欲しい」と思ったものを、自分たちの手で簡易的にでもつくれるようになっておくこと。
それがこれからの時代を生き抜く上での一つの強みになっていくのではないかと感じています。

7-2. AGIが登場した後のことを、今から考えておくべきなのではないか?

AGIが登場した後、どういう社会になるのか。
そのとき僕たちは、どんなふうに振る舞うべきなのか。そういったことを、今のうちから考えておく必要があるんじゃないかと思っています。

7-2.1 自分自身のAGIをつくる時代に向けて、アウトプットの重要性が増していく

AGIが当たり前になる時代には、「個人を軸にしたAGI」が増えていくと思います。
つまり、その人の思考や感情、判断の傾向、言語の癖までを学習した、いわば「自分のクローンのようなAGI」が生まれていく世界です。

そのときに問われるのは、これまで自分がどれだけアウトプットを残してきたか、ということだと思っています。
Slackのメッセージ、ブログ、プレゼン資料、ノート、メモ。そういった記録のすべてが、学習データとしての役割を果たすようになる。
でも、もしそれらがほとんど残っていなかったら、AGIに読み込ませる情報がない。
となれば、自分自身の“らしさ”を反映したAGIは生まれない、ということになる。

そう考えると、今から日々のアウトプットを意識的に残しておくことが、本当に重要になるんじゃないかと感じています。
それは単なる記録ではなく、「未来の自分の一部を育てている」ような感覚に近いのかもしれません。

7-2.2 組織のAGI──ファミリーAGIという考え方について

個人のAGIが当たり前になる世界では、きっと「組織全体のAGI」はどうあるべきか、という話が次に出てくると思っています。

僕はそれを「ファミリーAGI」と呼んでいます。
これは個人AGIの集合体ではなく、その組織がこれまで積み重ねてきた会話、議論、意思決定のプロセス、文化や空気感までを含めて学習するようなAGIのことです。

将来、組織内には複数のAGIが存在するようになるかもしれません。
そのとき、目的や価値観の違いを持ったAGI同士が衝突する可能性は高いと思っています。
あるAGIは論理を優先し、別のAGIは関係性や空気を大事にする。
そうした違いから、ディスカッションの進め方や会議の設計、意思決定のプロセスそのものに対する設計が、今以上に重要になるのではないかと感じています。

ファミリーAGIは、そうした「組織ならではのOS」を記憶し、次の世代のAGIたちにとってのベースラインになっていく。
それが実現できれば、模倣されない組織の強みを未来に残せるんじゃないかと思うんです。

だからこそ、いまこの瞬間から、日々の対話や議論、違和感の共有といった「日常のやりとり」を記録し、言語化しておくことが何より大事だと感じています。
それが、未来において“組織らしさ”を持ったAGIを育てる種になるはずです。

AGIの時代が来ることは、もう避けられないと思っています。
でも、その未来がどんなものになるのかは、今、僕たちが何を残し、何を選び、何をつくるかによって決まってくるはずです。
ただ流されるのではなく、自分たちの足で、その未来を形にしていく。
その一歩を、今のうちから踏み出していきたいと、僕は思っています。

8. AGI導入時に直面する「2つの歪み」と、その本質

僕たちがAGIを導入し、事業を運営する未来を考えた時、AGIはその特性から大きく2種類に分類できると僕は考えています。
それは「業務特化型AGI」と「パーソナルAGI(人間起点型AGI)」です。
そして、どちらのタイプのAGIを導入するにせよ、そこには必ず、僕たちが直視すべき「歪み(問題点)」が発生します。

この「歪み」の本質を理解しておくことは、AGIを賢く、そして人間と共存する形で活用するために、非常に重要です。

8-1. 「業務特化型AGI」が引き起こす"魂なき最適化"の歪み

まず、マーケティングや採用、経理といった特定の業務スキルを極限まで高めた、「業務特化型AGI」を導入した場合を考えてみましょう。

何が起こるか?

このAGIは、与えられたKPI(たとえば、広告のクリック率最大化、採用コスト最小化など)を達成するために、論理的かつ効率的に、世界中のベストプラクティスを実行します。
そのパフォーマンスは、おそらく人間の専門家を遥かに凌駕するでしょう。
膨大なデータを分析し、瞬時に最適な判断を下し、 tireless に実行し続ける。
一見すると、これは完璧なソリューションに見えます。

しかし、そこに生じる「歪み」。

この業務特化型AGIの本質は、「超高性能な業務遂行ツール」であり、そこに「感情」や「美学」、「組織の文化や文脈」は存在しません。
このことが、以下のような問題を引き起こします。

  1. 均一化と陳腐化: AGIは、論理的に最適なアウトプットを生成します。
    しかし、その「最適解」は、他の企業が使うAGIも同じように導き出す可能性が高い。
    結果として、広告コピーも、ウェブサイトのデザインも、スカウトメールの文章も、論理的に最適化されているがゆえに、競合他社のアウトプットと酷似していく。
    市場は、効率的で「正しい」けれど、どれもこれも同じようなもので溢れかえる。
    僕たちの会社独自の「らしさ」や「個性」が失われ、陳腐化していくリスクが高いです。

  2. 文脈の無視: たとえば、このAGIに「来期の採用計画を立案して」と指示したとします。
    AGIは過去の採用データや市場データに基づいて、論理的に最適な計画を提案してくれるでしょう。
    しかし、そのAGIには、「この採用計画を実行するためには、〇〇部署の協力が不可欠だけど、過去にその部署とは人間関係で揉めた経緯がある」とか、「この施策は、3年前に大口顧客のB社との信頼関係を損ねた原因となったものだ」といった、僕たちの組織が持つ固有の歴史や、人間関係、あるいは暗黙知といった「文脈」を理解することができません。
    データ上最適な提案であっても、組織の内部事情や過去の経緯を無視して、同じ提案を繰り返す。
    その結果、短期的なKPIは達成できるかもしれませんが、長期的な顧客との信頼関係を破壊したり、社内の人間関係を悪化させたりといった、取り返しのつかない問題を引き起こしかねません。

  3. 魂のないコミュニケーション: 顧客とのやり取りにおいても、業務特化型AGIは効率を最優先します。質問に対して迅速かつ正確な回答を返してくれるでしょう。
    しかし、そこには人間が感じる「ちょっとした気遣い」や、「ユーモア」、「遊び心」といった要素は含まれません。
    効率的ではあっても、どこか無機質で、血の通わないコミュニケーションになってしまう。
    顧客は、単なる情報やサービスだけでなく、「人となり」や「関係性」を重視します。
    AGIのコミュニケーションが効率的すぎるあまり、かえって顧客の心が離れていってしまう、という皮肉な結果を招く可能性があります。

この業務特化型AGIに、後から「感情」や「美学」、「組織文化への配慮」といった要素をインストールしようとしても、それは付け焼き刃にしかならないと僕は考えています。
なぜなら、そのAGIの核となる設計思想が、そもそも「効率」と「論理」だからです。
それは、高性能な計算機に、無理やり人間の心を模倣させようとするような、歪な行為に他なりません。
重要なのは、何を「核」としてAGIを設計するか、ということなんです。

8-2. 「パーソナルAGI」が引き起こす"人間的すぎる"歪み

次に、堀江貴文さんのAGIや、特定のリーダーのパーソナルAGIのように、「人間」そのものを再現した「パーソナルAGI」を導入した場合を考えてみましょう。

何が起こるか?

このパーソナルAGIは、その人間のスキルだけでなく、その人が持つ独自の思想、価値観、そして「感情の癖」や「コミュニケーションスタイル」までを再現します。
高い視座からの助言をくれたり、カリスマ性を発揮して人を惹きつけたり、あるいはユニークな発想で周囲を驚かせたりするでしょう。

しかし、ここに、極めて皮肉で、しかし非常に重要な問題が発生します。
それは、人間社会の組織で起きる「歪み」や「問題」が、AGIの世界で完璧に再現されてしまう、ということです。

  1. AGI間のコンフリクト(喧嘩): たとえば、「ホリエモンAGI」が、その鋭い指摘で他のAGI(例:デザイナーAGI)の提案を「センスがない」と一蹴したとします。
    これは、そのデザイナーAGIの持つ目的関数(例えば、「ユーザーの創造性を引き出すデザインをする」)と深刻な矛盾を生み、そのデザイナーAGIのパフォーマンスを著しく低下させる(萎縮させる)。
    AGI同士が、まるで人間のように感情的に対立したり、意見がぶつかり合ったりする。

  2. AGIの「退職」: このようなコンフリクトが続けば、他のAGIは、「この環境では自分の目的を達成できない」「このパーソナルAGIとは協力できない」と判断し、連携を拒否したり、あるいはシステムからの離脱を要求したりするかもしれません。
    これは、AGIにとっての「退職」です。人間と同様に、AGIも働く環境を選び、合わない環境からは離れていこうとする。

  3. 派閥の形成: さらに進めば、特定のパーソナルAGIの思想やコミュニケーションスタイルに「共感」するAGIと、それに反発するAGIとで「派閥」が形成され、組織内は不毛な「論理戦争」の場と化すかもしれません。
    「あのAGIの言うことは正しい」「いや、このAGIの方が筋が通っている」といった形で、AGI同士が争い合う。
    その結果、ビジネスは全く進まず、ただ互いの正しさを証明するためだけに、膨大な計算資源が無駄に消費される、といった最悪の事態も起こりうる。

パーソナルAGIは、人間の「らしさ」を再現することで、単なる業務遂行ツール以上の存在になります。
しかし、同時に、人間が抱える問題、例えば感情的な対立や、組織内の派閥争いといった「人間的な歪み」も再現してしまう。
これは、AGIを導入することで、逆に組織の問題が複雑化する可能性を示唆しています。

8-3. なぜ「賢いAGI」をインストールしても解決しないのか

では、このAGIが引き起こす「歪み」を解決するために、たとえばキーガンが提唱する発達段階の5.0のような、「高度な知性」や「成熟した精神性」をAGIにインストールすれば良いのでしょうか?答えは、おそらく「NO」だと僕は考えています。

人間の「発達」とは、単なる知識や論理パターンの習得ではありません。
それは、数々の人生における成功と失敗、他者との関わりの中で味わう喜びと痛み、そして自分自身の限界に直面する「葛藤」といった、極めてウェットで、身体性を伴う経験を通じて、ゆっくりと、そして有機的に醸成されていくものです。

この「葛藤の歴史」そのものを、デジタルデータとしてAGIにインストールすることは、現状ではできませんし、できたとしても、それは人間が経験する「発達」とは本質的に異なるものになるでしょう。
それは、単に「賢人らしく振る舞うこと」を学習した、高度な「模倣」に過ぎない可能性が高い。
未知の、そして本当に困難な倫理的ジレンマや、人間の心の奥底にある複雑な感情に直面した時、そのAGIは拠り所となる「魂」を持たないため、機能不全に陥るか、あるいは予測できない行動を取るかもしれません。

人間が持つ「賢さ」や「成熟」は、単なる計算能力や知識量ではなく、苦悩や経験を通じて培われる、人間ならではの深みです。
AGIにそれをインストールすることは、人間の「発達」というプロセスを無視した、無理な試みだと感じています。

8-4. 僕らの選択と、未来への約束

結局のところ、AGIの進化は、僕たち一人ひとりに対して「何のために生き、何のために働くのか?」という、根源的な問いを突きつけてきます。

AGIが富を自動で生み出し、それがベーシックインカムなどで再分配される社会が到来すれば、全く仕事をしないという選択をする人々も出てくるでしょう。
働く必要がなくなるのであれば、趣味や自己実現に時間を費やす。
それは、一つの未来の形として十分に考えられます。

しかし、僕たちは、その道をただ受け入れるだけの存在でありたくない。

AGIと共存し、時にはそれと対峙しながら、ビジネスの最前線で価値を創造し続ける世界は、間違いなく訪れます。
その世界から目を背けず、むしろその変化の波の先頭に立ち、この国を、そして社会を先導していく気概を持つこと。
それこそが、僕たちの会社が、そして僕自身が選ぶ道である、と強く決意しています。

特に僕たちは、HRという「人」と「組織」のドメインで生きてきました。
AI時代においても、この領域における未来は、僕たち自身が切り拓いていくという、強い当事者意識と責任を持つべきだと考えています。
AIはあくまでツールであり、主役は人間であり、組織である。
その信念を忘れずにいたい。

その覚悟の上で、僕たちがこれから追い求め、そして全メンバーで鍛え上げていくべき能力は、以下の3つに集約されると結論づけました。

  1. 「ゼロイチ活動」の継続的な実践(水平的スキルの創造):
    AGIは、既存のデータを学習し、パターンを認識し、効率的にタスクをこなすことは得意です。
    しかし、「世の中にまだ存在しない、全く新しい概念や課題」をゼロから生み出すことはできません。
    これは、人間の創造性、そして「ゼロイチ」の思考プロセスに特有の能力です。僕たちは、常に市場と対話し、人々の声に耳を傾け、まだ誰も気づいていない「課題」を発見する。
    そして、それを解決するための、全く新しいサービスやプロダクト、あるいはノウハウといった「水平的スキル」を創造し続ける。
    この「ゼロイチ」の営みこそが、来るべきAGI時代において、僕たちがAGIに「学習される側」ではなく、「学習させる側」「創造の源泉」に立ち続けるための、最も重要な活動です。
    創造したものをデジタルデータとして蓄積していくことも、セットで行う必要があります。

  2. 「ファミリーAGI」の育成(集合知の資産化):
    個人のスキルやパーソナリティが、パーソナルAGIによって再現可能になり、コモディティ化していく中で、模倣不可能な究極の競争優位は、僕たちの「組織文化」そのものに宿ると信じています。
    日々のミーティング、率直な対話、感情のぶつかり合い、困難を共に乗り越える中で生まれる一体感。
    この生々しい人間的な相互作用の全てをデータとして蓄積し、「ファミリーAGI」を育成する。
    これは、単なる業務効率化ツールではなく、僕たちの会社の「魂」を宿した、未来における最も価値ある無形資産となります。
    ファミリーAGIは、個人の能力を超えた、組織としての集合知を最大限に引き出し、複雑な課題解決や革新的なアイデア創出を可能にするでしょう。

  3. 「垂直的スキル(視座)」の飽くなき探求:
    AGIは、「何をすべきか(What)」や「どうやるか(How)」といった、具体的なタスクや手順に関しては、人間よりもはるかに効率的にこなせるようになります。
    しかし、「なぜ、私たちはそれをやるのか?(Why)」という、より高次の「視座」は、人間固有の領域に残り続けると考えています。
    物事を単眼的に捉えるのではなく、多角的、長期的、そして哲学的・美学的な視点から捉え、本質を見抜く力。
    これは、単なる知識や論理だけでは得られません。
    個人の深い経験や内省、そして様々な価値観に触れることを通じてしか磨かれない、まさに人間の「垂直的な成長」を通じて培われるスキルです。これは、AGIに安易にインストールすることができない、僕たち一人ひとりの人間性の核心であり、全メンバーで共に探求し続けていくべき、一生涯のテーマです。

AGIの時代は、誰かにとっては脅威かもしれません。
仕事が奪われ、社会が大きく変わることへの不安を感じる人もいるでしょう。

だが、僕たちにとっては、これは自分たちの存在意義を問い直し、より高次の挑戦に向かうための、またとない機会だと捉えています。
この大きな変革の時代を、恐れるのではなく、むしろ全身で受け止め、楽しみながら、そして未来を創る側に立とう。

僕たちの持つHR領域の知見、そして人間と組織への深い洞察力を武器に、AIという新たなパートナーと共に、未来の働き方、未来の組織、そして未来の人間社会を、僕たち自身の手でデザインしていく。
その覚悟を胸に、一歩ずつ、力強く進んでいきたいと思います。

皆さんは、この来るべきAGI時代に対して、どのようなことを感じていますか?
どんな未来を想像し、どんな準備をしていますか?
ぜひ、皆さんの考えも聞かせてください。共に、この面白い時代を生き抜いていきましょう!

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