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ごつ盛りアフタヌーン!!!

親友が家に来ることになった。
親友は都民である。都民というのは、駅ビルと地下鉄とおしゃれな店が近所にある民である。
そんな彼女が、そこそこ田舎にある我が家まで、グリーン車に乗ってきてくれるという。

わたしは、出不精である。
親友はそれを骨の髄まで理解している。なので、彼女はただ静かにグリーン車に乗る。

ことの発端は、わたしが某通販サイトで購入した、二段重ねのおしゃれな皿であった。
正式名称は知らないが、アフタヌーンティーでよく見る、上にスコーンとか下にサンドイッチとかが乗っている、あのおしゃれなやつである。
セールで半額だったので、わたしはなぜか二つ買った。
―今思えば、未来のわたしが胃袋から送ってきた予言だったのだと思う。

そんなわけで、お菓子などを作って、アフタヌーンティーのようなことをしたい、と親友に声をかけた。
彼女は、即答した。
「いいね!いつ?」

数日前、親友と電話でメニュー会議をした。
彼女はセンスがいいので、初手でパンナコッタ、くるみのスコーン、紅茶とオレンジピールのパウンドケーキを挙げた。まっとうなメニューである。実にそれらしい。
さらに、きゅうりとクリームチーズのサンドイッチまで提案した。
完璧であった。
完璧だったのだが、わたしはそこで思った。

足りるか?

「カツサンドとかどうよ?」
この一言により、英国庭園に暗雲が立ち込めた。

親友は「いいね!」と言った。
誰も止めなかった。こうして、アフタヌーンティーのメニューに、揚げた豚肉が正式参加することとなった。

当日。

わたしたちは、二人ともそこそこ料理が好きなので、作業そのものは驚くほど順調だった。オーブンの予熱を開始し、一人がパンナコッタを作って冷蔵庫に入れる。もう一人がフードプロセッサーでスコーン生地を作って整形、予熱が終わればすぐに投入。
その横で、パウンドケーキの計量が始まる。

まるで料理番組だった。

ちなみに、親友の手土産は春巻きだった。
わたしたちは、ノンアルコールビールを半分こし、キッチンに立ったまま春巻きを一本ずつ食べた。焼き菓子の甘い香りが漂う中、揚げ物と炭酸を喫する。とんでもなくうまかった。

その後も、作業は順調に進んだ。
サンドイッチのきゅうりを切っていた親友が言った。
「あれ?食パンは?」
わたしは答えた。
「忘れてたわ」
静かな絶望がキッチンに降りた。

パンナコッタは完成し、スコーンは焼かれ、パウンドケーキも焼くのを待っている。きゅうりとクリームチーズも準備した。カツサンドの準備も視野に入っている。

しかし、パンがない。
パンがなければ、サンドイッチは成立しない。

わたしたちは、息抜きという名目で、近所の大好きなパン屋へ向かった。サンドイッチ用の食パンを買いに行ったはずなのに、明日の朝も食べたいからと食パンを二袋買い、ついでに予定にない甘いパンもいくつか買った。

帰宅して、ようやくサンドイッチの準備に入った。
気づけば、十二時ごろだった。
二人はほぼ同時に言った。

「お腹空いたね」

アフタヌーンティーは、おやつである。

おやつである以上、昼飯とは別である。これは、我々の中で、疑う余地のないことであった。前日にスーパーで買っておいたゴマだれ冷やし中華を作ることになった。きゅうりサンドで余ったきゅうりを千切りにし、トマトと作り置きの鶏ハムを雑に切って乗せた。

おいしかった。非常においしかった。
しかし、食べ終わった後、わたしたちは呟いた。
「意外とお腹いっぱいになるね」

しかし、予定通りカツサンドを作り始めた。わざわざ食パンを買いに行ったのだ。サンドイッチをキャンセルすることは許されない、と感じていた。

一人が肉を処理し、もう一人が片付けをしながら、フードプロセッサーでパン粉を生成する。わたしが衣をつけて揚げている間に、親友は使い終わった食器を、次々に食洗機へ収めていた。できる女である。

ここで、親友は、きゅうりとクリームチーズのサンドイッチにカツを挟むのはどうかな、という粋な提案をしてきた。
わたしは即座に「いいね!」と言った。十年以上も一緒にいると、ポジティブさも移るのかもしれない。

切り口は、芸術だった。

肉の厚み、衣の輪郭、白いパン、きゅうり、ソース、クリームチーズ。
美しい断面である。

ただし、二段重ねの皿に盛り付けたとき、首をかしげたくなった。
アフタヌーンティーだろうか、これは。

カツサンドが、あまりにも多い。多いというより、強い。
二段重ねの上段には、スコーンとパウンドケーキがいる。小鳥の飾りも立っているし、ぎりぎりおしゃれと言えなくもない。

下段には、カツサンドがごつ盛りになっていた。
小癪にも向きは揃えられていたが、カツサンドは、とても浮いていた。

せめて、彩りを加えたらそれらしくなるのでは、とカツサンドの要塞の横に、パンナコッタを置いた。パンナコッタには、いちじくとブルーベリーを飾っていたため、茶色が大半を占めている皿の上では、貴重な色彩であった。パンナコッタは、そこだけ急にホテルラウンジのような顔をして頑張っていたが、周囲にはカツと食パンが密集していたため、無駄なあがきであった。カツの圧は、強い。

写真を撮ってみた。

撮影:著者


カメラのレンズを通せば、また印象が違うかもしれない、と思ったのだ。
しかし、カメラロールを開くと、力強く、確かに腹にたまる食べ物の写真があった。

実は、カツサンドは皿に乗り切らないほどたくさんあった。皿を二つ買っていて本当に良かった。その場で食べられるだけ食べ、一部は親友が持って帰り、一部はわたしが翌日の朝に食べた。
結局、アフタヌーンティーの終着点が「明日の朝ごはんが楽しみになった」だったことに、わたしは深く満足した。

春巻き、冷やし中華、ごつ盛りカツサンド、パンナコッタ、スコーン、パウンドケーキ。

英国庭園に中華とカツが殴り込み。

目指していた優雅なアフタヌーンティーではないけれど、パン屋に行き、昼食を別で食べ、カツサンドを積み上げ、パンナコッタにいちじくを飾る。
なんともたのしく、なんとも良い一日であった。


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