私大共通テスト利用のリサーチとは (1)
共通テストリサーチの基本と武蔵大学における判定の実際について書いてみました。
共通テストリサーチとは
大学入試共通テストを受験した後に自己採点結果を業者に提供すると、業者はそのデータをもとに、志望校の合格可能性を出してくれます。これが「共通テストリサーチ」と言われるものです。
2025年度から、河合塾と駿台・ベネッセが一部を共同実施することになりました。共同部分はデータの収集部分であり、1度のデータ提出で、2社からの結果が提供されます。
リサーチ結果が一番重要になるのが国公立大学の入試です。1次試験である共通テストの得点率をもとに、合格の可能性を教えてくれるので、受験生はそれをもとに出願校を確定させます。つまり、国公立大学志望者にとっては重要なデータになるのです。
私立大学にリサーチは役に立つのか?
私立大学で共通テストを使う入試形式は大きく分けて2種類あります。2次試験のある共通テスト併用と共通テストのみで合否が確定する共通テスト利用です。
共通テスト「併用」は国公立と同じく、リサーチ結果次第で出願するかどうかを決めることができます。
一方、共通テスト「利用」は共通テスト実施前に出願〆になるものがほとんどであり、状況を見て出願することはできません。
「共通テスト前にもう出願してしまってるのなら、リサーチの意味はあるのか?」
と言われると…あります、意味はあります。
合格可能性を知り、一般受験の出願数を調整することができる
この役割が大きいです。
リサーチはどのように判定を出しているのか
娘の場合は、共通テスト利用で合格でそうになければ、出願をさらに増やす予定でした。幸い、リサーチ結果は2社ともA判定にプラスが出るくらいの得点率でした。しかし、もともと共通テスト利用で合格できないと思っていたので、一般受験は既に出願してしまっていました。(一緒に出した方がお得だったので💦)そこで、一般受験は受験しに行くのは止めようかと思い立ちました。連続受験でしかも近くもない距離だったのです。しかし、迷いはありました。
「A判定って信じられるの?だって確率は100%じゃないよ。そもそも判定ってなんなの?」
そもそもリサーチはどのように判定しているのでしょうか?今更ながら調べてみました。
データネット(駿台・ベネッセ)の「判定の付け方・考え方」資料(2026年度版)に共通テストリサーチの判定基準がどのように設定されているかが詳しく説明されていました。
https://dn-sundai.benesse.ne.jp/dn/center/hantei/hantei_kijyun/dn2026tukekata.pdf
読むのがめんどーい、という人のために要約してみます。
判定作成の年間スケジュール
入試結果調査(3~4月):受験生の合否情報を収集。
合否ラインの検証(5~6月):前年の判定を検証・修正。
難易変動要素の仮説立て(5~11月):入試制度の変更や社会情勢の影響を分析。
判定値素案作成(10~11月):前年と同レベルの難易度を仮定して判定値を作成。
エリア別チェック(11~12月):地域ごとの入試情報を反映。
判定値素案決定(1月上旬):共通テスト前に素案を決定。
共通テスト後の修正(テスト翌週):平均点や得点分布の変動を反映。
判定会議(テスト翌週):志望動向を確認し、最終的な判定値を決定。
判定の提供(テスト翌週):最終的な判定を公開。
なんと作業は前年の合格発表から始まっているのですね。判定値の設定には、以下のような要素も考慮されています。
入試制度の変更:募集人員や入試科目・配点の変更など。
地区の特性:地元の評価や高校改革による学力変化。
社会情勢の変化:18歳人口の減少や景気・就職状況の変化。
大学の人気:大学の再編・統合、学部の改組、立地条件、マスコミへの露出など。
マスコミへの露出までリサーチされていたとは驚きです。
リサーチ判定の実際
そんな時間と手間をかけて作られているリサーチですが、実際どのくらい正確なのでしょうか?
え?信頼していないの?検証なんて失礼じゃない?
あ、はい、すみません💦しかし、実際にA判定を貰っても判定結果のもつ意味もよく分からず…塾の先生に聞いたくらいです。
それもそのはず私立の共通テスト利用の場合は国公立のボーダー予想とは少し異なります。国公立の場合、ボーダーから上なら2次テスト次第で合格できる可能性が高い、と言えますが、2次のない共通テスト利用の場合はA判定でも合格できない確率が20%。これをどう解釈すればよいのでしょうか。
例えば、駿台・ベネッセの場合の判定基準と合格の可能性は
✅ 判定基準と合格可能性
A判定:合格可能性80%以上。
B判定:合格可能性60%~80%。
C判定:合格可能性40%~60%。
D判定:合格可能性20%~40%。
例えば、A判定は「合格者」と「不合格者」の累積人数比が「8:2」になるラインに設定されています。
んんん?意味分かりました?
A判定の点数を超えていてやっと8割の確率で「合格できるかもよ」という心元ないものなのです。
20%って大きくないですか?20%の人材を解雇します、と言われると、どうでしょうか?20%の確率で手術は失敗します、といわれると怖気づいてしまいませんか?
「私は大丈夫」
と思う人は気にしないかもしれませんが、心配な人はたくさんいるはずです。
ということで実際の合格最低得点率と判定のボーダーを武蔵大学のデータで調べてみました。
各判定において、実際に合格できていれば〇、不合格であれば✕をいれています。
表の下に確率を入れていますが、この確率は武蔵大学において同じ判定で合格できた確率です。つまり
(各判定で合格できた学部学科の数)/(全学部学科の数)×100% です。
■2025年の武蔵大学のリサーチ判定結果

いかがでしょうか?A判定は8割どころか100%合格できています。
2025年度は文系科目の平均点が高かったので、特殊かもしれません。他の年度も見てみましょう。
■2024年の武蔵大学のリサーチ判定結果

2024年度はなんとB判定でも100%合格できていました!もう1年見てみましょうか。
■2023年の武蔵大学のリサーチ判定結果

あれれ、2023年度はA判定でも不合格だった学科が1つ出てきました。まあ、一応80%以上合格できているのでよしとしましょうか。
A判定で不合格になったのは2023年度の「経済・金融学科」です。一体なのがあったのでしょうか?実際の合格最低点は71.0でしたが、A判定のボーダーは70.0で、たった1%の差でした。つまり、予想は合格ラインに近かったようです。よってA判定はほぼほぼ合格できるラインだと考えることができるでしょう。
しかしこれは武蔵大学に限ることかもしれませんし、入試形式等変更があれば変わってくるかもしれません。
"駿台ベネッセVS河合塾"2社間の差はどのくらいか
リサーチは2社それぞれで判定を出しますし、基準値も若干違っています。2025年度 武蔵大学における判定の差を見てみました。

河合塾のB判定、C判定では不合格が多くなっていますが基準点も少し異なります。
河合塾の判定基準は
A判定:合格可能性80%以上。
B判定:合格可能性65%
C判定:合格可能性50%
各判定の刻み幅を比べてみると、
駿台ベネッセ 平均約3.7%
河合塾 平均約2.7%
と1%の違いで差があり、B判定もC判定の得点率は実際にはほとんどの学科で不合格でした。河合塾の判定が甘ったようです。
しかし、この河合が甘いという傾向は全ての大学におけるとは限りません。あくまでもこの大学のこの年に関してのことですので、他大学に関しても調べてみる必要がありそうです。
こちらのデータを使用しました。実際の得点率等はこちらでご確認ください。
入試科目付判定基準一覧 | 2025年度大学入学共通テスト自己採点集計データネット
集計資料・分析ツール | 大学入学共通テスト特集 | Kei-Net Plus(教育関係者の方) | 河合塾 Kei-Net
1つの大学だけでは傾向は断定できません。次回は、成蹊大学における判定について書いていこうと思います。
