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AIが正解を出す時代、新人に必要なのは「良し悪しを見抜く力」評価的判断(Evaluative Judgement)を育てる7つの研修設計

生成AIに依頼すると、数秒で「それらしい答え」が返ってきます。

お客様へのメール。

上司への報告文。

企画書のたたき台。

問い合わせへの回答案。

マニュアルの要約。

以前なら、新人が時間をかけて作っていたものも、AIが短時間で形にできるようになりました。

ではこれから、新人に必要な能力は減っていくのでしょうか。

私は、むしろ別の能力の重要性が大きくなると考えています。

例えば、AIが次のような回答を作ったとします。

文章は自然。

敬語も正しい。

構成もきれい。

一読すると、とても良い回答に見える。

しかし、

「会社のルールと本当に一致しているか」

「このお客様の条件にも当てはまるか」

「重要な情報が一つ抜けていないか」

「もっと優先すべきリスクはないか」

まで、新人自身が判断できるでしょうか。

AIが答えを作ってくれる時代に、人間へ残る重要な仕事の一つは、

出てきた答えの質を判断すること

です。

教育研究には、この力を考えるうえで非常に興味深い概念があります。

それが、

評価的判断(Evaluative Judgement)

です。

Taiらは評価的判断を、

自分や他者の仕事の質について判断できる能力

として整理しています。単なる自己評価ではなく、「何が良い仕事なのか」を理解し、その理解を実際の成果物や行動へ適用する力です。  

これは、企業の新人育成にもかなり重要な考え方だと思います。

新人を、

「上司に正解を教えてもらえる人」

から、

「上司がいなくても、自分で仕事の質を判断できる人」

へ変えていく。

今回は、評価的判断という研究上の考え方を、企業研修で実践できる形へ置き換えて考えてみます。


「仕事ができる」と「良い仕事を見分けられる」は違う

例えば、新人へ案内メールを書いてもらいます。

完成したメールを見て、上司が修正します。

「結論を先にしてください」

「この情報はいりません」

「期限をもっと目立たせてください」

「最後に次の行動を書いてください」

新人は指示どおり直します。

成果物は良くなりました。

しかし、このとき新人自身は、

なぜ修正が必要だったのか

まで理解できているでしょうか。

次のメールでも、

「どこを直せばよいですか?」

と聞くかもしれません。

つまり、

良い成果物を作れたことと、良い成果物を判断できることは別です。

Taiらは、教師や他者から一方向に評価を受け続けるだけでは、学習者が自分で基準を選び、仕事の質を判断する能力を十分に育てられない可能性を指摘しています。  

企業研修へ置き換えれば、

上司が毎回答えを持っている育成から、

本人自身も評価者になる育成へ移す必要があります。


AI時代には、さらに重要になる

生成AIとの関係を考えると、この問題はさらに分かりやすくなります。

Bearmanらは2024年、生成AI時代の評価的判断について、

* AIが作った成果物の質を判断する
* AIを使ったプロセスそのものを判断する
* AIも利用しながら、自分自身の判断を検証する

という三つの方向を提示しています。  

つまり、

「AIを使えるか」

だけでは不十分です。

いつ使うのか。

何を任せるのか。

どの回答を採用するのか。

どこを疑うのか。

どこは人間が確認しなければならないのか。

ここまで判断する必要があります。

AIが高品質な文章を大量に作れるほど、

「きれいだから良い」

「詳しいから良い」

「AIがそう言っているから正しい」

では仕事にならなくなります。

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