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Cloud100から読み解くクラウド業界の最新のトレンド

学生のGeorge(めでたく4月から修士課程!)にCloud100についてリサーチ&レポートしてもらいました。


本記事では、アメリカの経済誌Forbesが毎年発表するCloud100をもとに、クラウド業界の最新のトレンドを考察している。また、日本のクラウド業界のトレンドを考察できるような「日本版Cloud100」となるランキングは存在するのかを調査した。


Cloud100って何?


Cloud100とは、アメリカの経済紙Forbesが毎年発表している、
クラウドサービスを提供する未上場企業の世界ランキングである。

アメリカのベンチャーキャピタルBessemer Venture PartnersSalesforce Venturesによる財務データや市場分析を指標としてランク付けされ、GoogleやAmazonなどの上場企業は対象外となる。

ランクとともにそれぞれの企業の従業員数、評価額、そして資金調達額が示され、市場での影響力の大きさを表しているため、このランキングから昨今のデジタル社会のトレンドを知ることが出来る。
また、現時点のトレンドだけでなく将来性も加味されていことから、投資家などから注目されているリストとなっている。

今年のトレンドは? ランクインしている企業のサービスを分類してみた


クラウド業界のトレンドや将来性を知るために、Cloud100にランクインした企業の特徴を細分化して見てみよう。

4つの傾向


まず、ソリューションを元に100社を以下の4つの領域に分けた(画像1)。

  • 領域①:業務を効率化/自動化するアプリやサービスを提供する企業

  • 領域②:セキュリティや安全性を向上させるアプリやサービスを提供する企業

  • 領域③:セキュリティや安全性を向上させるための基盤を提供する企業

  • 領域④:業務を効率化/自動化させる基盤を提供する企業

画像1

画像1を見て分かるように「業務効率化/自動化のアプリ・サービスを提供する企業」が圧倒的に多い。これはAI技術の発展と普及が原因だろう。
日々の生活でもスマートフォンに話しかけるだけで天気が知れる、ネットを見ていても興味のある話題が優先的に取り上げられるなどがある。
これらはAIによる効率化、自動化である。

最近では、技術の発展によって、企業における高度で複雑な業務もAIによる効率化/自動化が可能になった。よって業務改善や生産性向上を目指す企業側の需要が高まったと考えられる。

Vertical vs. Horizontal 業種特化か、業種横断、強いのは?

次に、この領域(業務効率化・自動化のアプリ・サービスを提供する企業)をさらに細分化して、クラウド業界のトレンドを深堀してみよう。

まず、各企業のサービスの特徴からVertical(バーティカル)とHorizontal(ホリゾンタル)の2つに分類した。

Vertical(バーティカル)は特定の業界(医療業界や営業部など)を対象ユーザーとする業務特化型のサービス
Horizontal(ホリゾンタル)は幅広い業界や用途によって対応可能(データのバックアップやAIによる画像、映像生成など)な業界横断型のサービス
である。

結果、Verticalの企業が23社、Horizontalの企業が49社。
つまり、CLOU100にランクインしている約7割が「業務を効率化/自動化するアプリ・サービス」を提供していて、その中でも多くの企業がHorizontalなサービスを展開していた。

さらに、Valuation(評価額)について、VerticalとHorizontalの切り口から調べてみた。

画像2、画像3はVertical, Horizontalの企業をそれぞれValuationごとに分けたものである。赤い線はValuationの平均値を表し、緑の線よりも右側がValuationの特に高い企業群である。

画像2(Vertical)
画像3(Horizontal)

Valuationが特に高い企業(緑の線より右側)のCloud100における順位を見てみよう。

Vertical(4社)
8位(Deel)、10位(Navan)、16位(Talkdesk)、22位(Rippling)
Horizontal(12社)
1位(OpenAI)、2位(Databricks)、3位(Stripe)、4位(Canva)、5位(Anthropic)、7位(Scale AI)、8位(DeepL)、11位(Miro)、13位(Celonis)、14位(Grammarly)、33位(Plaid)、55位(Checkout.com)

上記のとおり、Horizontalなサービスを提供する企業群の中にCloud100のトップ5がすべて含まれていることがわかる。一方で、Verticalの企業も8位、10位と比較的上位に位置していた。

以上のことから
クラウド業界のトレンドは「業務を効率化/自動化するアプリ・サービスを提供すること」である。そしてその中でも幅広い業界を対象としたHorizontalなサービスを提供する企業が、より市場を代表している。
といえる。

日本版Cloud100はある?


日本の企業を対象にしたCloud100のようなリストはあるのかを調べてみると、Forbes JAPANが2022年まで「Japan's CLOUD 20」を発表していたが、現在は存在していない。そこで、いくつか似たようなリストを紹介する。

バフェットコード/クラウド業界売上高ランキング
https://www.buffett-code.com/industries/225

コレック/SaaS企業売上高ランキング
https://www.correc.co.jp/careerhigh/entry/saas-ranking

バフェットコードはクラウド業界全体における売上高のランキングである。
一方で、コレックはクラウド業界の中でもアプリケーションソフトを提供するSaaS業界に絞った、売上高のランキングになっている。

バフェットコードの1位はKDDI
コレックの1位はエス・エム・エスである。
KDDIはクラウド上でのデータ管理やセキュリティ強化などのサービスを提供している。
エス・エム・エスは介護・福祉事業者向けにクラウド上での労働管理や求人マッチングサービスを提供している。

つまり、エス・エム・エスはVerticalなクラウドサービス、KDDIはHorizontalなクラウドサービスを提供している。しかしこれらは売上高のランキングであって上場企業も含まれてしまっている。

Cloud100の特徴の一つとして「未上場の企業」を対象にしている点がある。バフェットコード、コレックでは上場企業が含まれてしまうため

STARTUP JOURNAL/国内スタートアップ資金調達ランキングレポート2024.1-12
https://journal.startup-db.com/articles/funding-ranking-202412

に注目してみたい。
これは国内の主に未上場のスタートアップ企業を中心に資金調達額をランキングにしたものである。ここではSakana AIというAI開発企業が1位で、クラウド企業も何社かランクインしている。
クラウド企業に限定したランキングではないが日本のスタートアップ企業の将来性を反映している点においてはCloud100と類似するリストといえる。

日本にCloud100のような企業がなぜ無いのかを考えることで日本のクラウド業界についてより知ることが出来るかもしれない。

日本版のランキングが存在しないことへの疑問


本記事を通してCloud100にランクインする企業の特徴について分析し、クラウド業界の最新のトレンドを考察した。その結果、業務の効率化/自動化を目的としたHorizontalなサービスを提供する企業がトレンドであることが明らかになった。

また、日本にはCloud100のような未上場クラウド企業を対象としたランキングが存在しなかった。Cloud100について調べるほど日本版のランキングを見たいという気持ちが強まるとともに、なぜ存在しないのかという疑問も大きくなった。存在しない理由については今後深く考察していこうと思う。

クラウド市場は今後もAI技術を活用しながら拡大を続け、新たなテクノロジーやビジネスモデルが誕生していくことが予想される。来年以降も発表される最新のCloud100をはじめ、クラウド市場の動向には注目を続けたい。


George、ありがとうございました!


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