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埼玉県川口市のケアマネ殺害事件について

 1日午後3時ごろ、埼玉県川口市の民家に住む60代の男性から「ケアマネジャーを切りつけた」などと110番通報があった。埼玉県警川口署員が駆けつけ、敷地内で血を流している男女2人を発見。川口署や川口市消防局によると、2人とも首に傷があり、病院に搬送されたが、その後に死亡が確認されたという。

2026年6月2日朝日新聞より抜粋

まずは、亡くなられたケアマネジャーさんのご冥福をお祈りします。

僕自身、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターを合わせて10年勤務してきましたが、命の危険を感じたことはありません。
もちろん、「あんたがお金を盗ったじゃろ!」「私を騙して入院させてから!覚えときんさいよ!」などと言われた被害妄想は数知れずありましたが。

今回の事件についてネットニュースのコメント欄を見ると、殺害した60代男性への非難とともに、
「訪問系の仕事は危ない」
「1人ではなく、複数で訪問すべき」
「給料を高くしないと担い手がいなくなる」
というコメントも目立ちます。

現に事件の起きた埼玉県の大野知事は、ケアマネが複数で訪問できるよう、制度として可能にすることが必要だ、と会見で述べておられました。

今回の事件について、僕の意見は次の3点です。

1 ケアマネは決して危険な仕事ではない
僕の経験談にもあったように、利用者から被害妄想の対象になることは珍しくありません。
利用者と介護する家族の意向が一致せず、板挟みになって悩むことも日常茶飯時です。
けど、訪問中に命の危険を感じた経験を持つケアマネはほとんどいないのではないでしょうか?

ケアマネは、利用者さんがどんな生活をしたいか?何を大切に生きていきたいかを聴き、そのために必要な資源・サービスを調整する役割です。
利用者1人ひとり、生活歴や考え方、価値観は違うため、例えば「脳梗塞後遺症による右片麻痺、要介護1、女性」であっても、支援策は千差万別です。
上手く利用者・家族の意向を汲み取れず、関係に悩むことも多々あります。
それでも、ケアマネと家族は敵対関係ではなく、利用者さんをともに支えるチームだと思います。

2 ケアマネと利用者家族は敵対関係ではない
自治体によっては、生活保護課の職員に「特殊勤務手当」を支給しているようです。生活保護課職員も、日ごろ受給者からいろいろ言われ大きなストレスがかかる部署であることは否定しません。

では、もしケアマネに「特殊家族対応加算」が創設されたらどうでしょうか。
介護する家族が精神疾患を持つなど、関わりが難しいと思われる一定条件を満たせば、2人体制での訪問が認められ、かつ加算が算定できるようになれば。

労力に対して評価されることは喜ばしいですが、現場での対応は困りそうです。
近所付き合いのある方であれば、「隣の家はケアマネ1人で来るのに、なぜうちは2人出来るの?」と思うでしょう。気になった家族が「算定要件」を調べてしまうと…トラブルのタネとなりそうな気がします。

3 今後の対策について
亡くなられたケアマネジャーさんには申し訳ないのですが、利用者家族が被害妄想を持ち、玄関先で刃物で襲ってきたら、はっきり言って避けようがないと思います。
これはケアマネに限らず、往診の医師、ヘルパー、宅配業者、近所の人などなど。はっきり殺害する意思を持って玄関先で待っていたら、どの職種であれ、防ぐことはできないでしょう。
不謹慎な想像ですが、もし今回のケースでケアマネ2人が訪問していたら、2人とも殺害されていた可能性もあると思います。

令和6年度の介護報酬改定により、利用者の同意を得ることなど一定の条件を満たせば、利用者の自宅に毎月訪問せずオンラインでモニタリングも可能とされています。
今回の事件を受け、もしかしたらオンラインによるモニタリングの条件が緩和されるかもしれませんが…。
あくまで僕の経験ですが、関わりが難しい方って電話だけでは解決せず、結局自宅に訪問せざるを得ないことが多いんですよね。

最後にケアマネの報酬を増やすという件について。
令和9年度の介護報酬改定により、ケアマネ報酬も増加するかもしれません。とは言え、要介護の利用者1人あたりの報酬が一気に数万円増えることは考えにくいです。
報酬が微増したくらいでは、「よし!ケアマネを目指そう!」と思う人が増えるとも思いません。

結局のところ、ケアマネができることは基本に立ち返り、利用者さんとその家族の生活支援のため、適切なケアマネジメントに励むしかないのかなと思います。

居宅介護支援事業所は1人のケアマネでも開設・運営できますが、3人以上のケアマネ在籍でそのうち1人は主任ケアマネであるなど、一定の条件を満たせば事業所への加算が上乗せされます。
厚生労働省としても、相談・支援体制が充実している事業所を評価しているということなのでしょう。

もし1人ケアマネの事業所であっても、地域包括支援センターなど関係機関との関わりを深めて、ケアマネが孤立することのないようなネットワーク構築が求められます。

思いや信念を持ってケアマネとなり、日々ケアマネジメントに奔走している人が傷つき、心が折れることがない世の中であってほしいと願います。

長くてまとまりのない文章に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



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