自立のすすめ
中学生の息子が読書感想文を書くために、私の本棚をごそごそと探していました。
しばらくして手に取った一冊を見て、私は思わず息をのみました。
『学問のすゝめ』。
学生時代の私が何度も読み返し、線を引き、ページを折りながら読んだ本でした。
「他にも最近話題になった本もあるよ。
もう読んだことあるんじゃない? 一部分は音読していたし。」
そう言って机に数冊並べると、息子は首を振りました。
「話題にはするけど、まだちゃんと読んだことないから。」
その一言を聞いて、私は口を閉じました。
これまでは、先生や親、本の紹介者、誰かの感想や解説を通して本に触れることも多かったと思います。
でも今回は違う。
人のフィルターを通さず、自分の目で読み、自分で考え、自分の言葉で感想を書く。
そんな一歩を踏み出そうとしている気がしたから。
親としては、つい「この本はこういうところが面白いよ」「ここが大事」「私はこう思ったの」と伝えたくなります。
でも、それでは私の読み方を渡してしまうことになるのかもしれません。
本を読むことは、知識を増やすだけじゃない。
自分の考えを育てる時間でもある。
私とは違う受け取り方でもいい。
むしろ、その違いこそが、その子だけの読み方なのだと思います。
親から少し離れ、自分の目線で世界を見る。
そんな小さな自立。
私は少し離れたところから応援していたいと思いました。
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