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言葉は実在する幻

1/5 月曜日
 姉と一緒に北見神社へ初詣。
 お賽銭を投げ入れ、一心に祈って顔を上げると姉の姿が遠くにあり、私の祈りの長さを少しだけ笑って見ていた。だ、だって挨拶と昨年のお礼とお祈りとか伝えたら結構な長さになるじゃないかよー、と何故か言い訳なぞしてみる。その後、水晶御守が美しくて購入予定ではなかったが入手。受付にいらっしゃる神職の方に「今日はお参りに来ていただきありがとうございます」ともったいない言葉を頂戴した。彼らにとってはそういう言葉が日常なのかも知れない。けれど美しくて清らかな言葉は時に誰かの琴線に触れる。今日の私がそうだったように。

 帰りは携帯電話のショップにて昨年から気になっていた「支払いが反映されない問題」を解決してもらう。心配事がひとつ解消した。その後はランチに行ったりお喋りに花が咲く。姉は今旦那さんがご病気なので日々お薬管理や日常管理を手伝いながら通勤している。毎日が非常に多忙なので、どうか体は壊さないように、と思う。

北見神社のプレートが逆になってしまったが美しい水晶御守。菊の花は北見神社の文様。

1/6 火曜日
 正月も開けて燃やすごみの日。1人になったしそれほどごみも出ないだろう、と高を括って一番小さなサイズに入れて正月を越したため、3袋になってしまった。昨夜は-19℃まで気温が下がったが、今朝は天気が良く陽射しが気持ち良い。ニコニコしながら掃除機をかけ、洗濯機を回す。そして無になる。

1/7 水曜日
 X(旧Twitter)にて映画監督タル・ベーラ氏の訃報を知る。作品のタイトルは知っていて絶対好きになるだろう、と心のどこかで判りつつもなかなか作品を鑑賞していなかった。70歳での死。現代に於いては早過ぎると思ってしまう。病魔は恐ろしい。しかし時間は有限ではないと知らしめられた気がする。
 衝撃を受けつつも現実の私の生活は変わりなく、まだ窓にカーテンもかかっておらず自分に合う椅子もなくこたつも購入しそびれている。けれどこれらは本気で取りかかればなんとかできる問題なので正当な努力をしたい。

1/8 木曜日
 ついこの間、気温が-20℃近くまで下がったというのに昨夜は0℃ほどになり暖かく、ストーブもタイマーにして眠れた。あまりにも寒い日はさすがに消せないのでセーブ運転にして点けておいたので灯油代が心配で心配で。そして、お正月を挟み、静かだった隣人でしたがどうもおひとりの男性が暮らしていてご病気なのだろうか、昼間ヘルパーさんのような方が数時間訪問に来ている。そこまでは「そうかー、色々あるよね」くらいにしか思っていなかったのだけど夕方の静かな時間帯、急に隣から怒号のような男性の声(内容までは聞こえない)が聴こえて大いに驚いて体が硬くなった。数分で色々話したようで途中から静かになったけど……これ、大丈夫なの? 親なの?

 別に私も、よその人の生活をあれこれ詮索したくはないけど突然大声を出されたら身の危険を感じて怖い。でも、もしも言い方がきついだけで二人のやり取りが実は普通だったら? とか考えて、これは生活音として自然の内に入るのかな、と頭の中が埋まってしまう。良くない。良くないぞ。でも一瞬だけ怒号に聞こえた大声が続いた時スマホを握りしめた。結構調べたけど、常識的な範囲の時間帯である上、様子も判らないし証拠もない、となっては管理会社の方に言った所で生活音で処理されるだけだろう。

1/9 金曜日
 朝、ストーブが止まってしまい、エラーコードを調べて色々してみたがダメだったので(忘れていたがメカオンチ)管理会社と連携している住まいのレスキューに連絡。そう言えば1ヶ月しかいなかった仮住まいでもストーブが壊れた。今回荷物も完全に解いていない状態でのストーブ問題。なんで? 
 寒い中で考えていると色んなことが芋づる式に思い出されて行く。そう言えば入居時、鍵を開けていざ入ろうとしたらインターホンに割と大き目な蜘蛛がいて「すいません、虫に強いですか?」とガス屋さんに問いかけ半ば強引に払い除けてもらったな、とか入った2日目に台所の照明切れたな、とか。
 そうこうしている内にすぐレスキューの方が来てくれてストーブが切れたおそらくの理由を説明してくれながらテキパキとストーブを治し、もし点かなくなったら深夜でも連絡をして下さい、と言って連絡先を教えてもらい、帰って行った。ありがたい。私は傍らに座ってただ沢山服を着こんでもこもこになっていただけだ。こういう何かしてもらった時、どこにどうやって感謝を伝えたらいいんだろう。

 夜、全てを終えてからYouTubeにて1月18日まで無料公開しているトークライブ『弁論』を鑑賞。話すのは芸人であり現役弁護士である、こたけ正義感さん。昨年も無料公開していた所を偶然観てこたけさんを知った。それがとても良かったのでチャンネル登録をして観るようになり、今回もまた無料公開して下さっている。いずれもっと大量の文字で書きたいのでここでは割愛するが今回のライブも本当に素晴らしくて、笑うのはもちろんのこと、次々に繰り出される話が観る者の心を捉え、笑いだけではない反応を呼び起こして行く。あまりに心を揺らされたのですぐに『弁論』のグッズを購入した。届くのが楽しみ。

1/10 土曜日
 ずっと手にするのを恐れるかのように近くに置いたままだった本を読み始めた。翻訳家でエッセイスト、村井理子さんの『兄の終い』本だ。すると、するすると流れるように読めてしまい、どんどん自分の内側の感情が沸いて広がって来るのが判った。

 数年前、認知症になり介護をしていた母が施設に入居した時、私はもぬけの殻になり、その後の自分の人生が「晩年のよう」だと思った。そして数年の時を経て実家として暮らした母の夫、つまり私にとっての継父の家を出て自分の荷物を片付けている時、私自身の遺品整理をしているような気がした。けれど晩年になり自分を死なせ、引っ越して来た今ここにいる私は誰なんだろうと思う。

1/11 日曜日
 強風だが気温は高い日。ただ気圧が乱れていて悪夢を見て頭痛でなかなか起きられず。今日がゴミの日じゃなくて本当に良かった。9日、10日と個人的に気持ちが大きく動いたので今日はどこかもぬけの殻状態になった。そんな週もあるよね、と思いながら来週へと向かう。



ほとんど何もしていないのに心だけはしっかり動いていた。来週はかかりつけのクリニックの予定が入っている。天気に恵まれますように。

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