【妄想学校】第八弾 野球応援部、台風を越えて広島へ きつね耳でつかんだ、交流戦初勝利の日
妄想学校野球応援部、初めての広島遠征。
広島駅からカープロードを歩き、
赤いローソンに寄り、
むさしのお弁当を買い、

マツダスタジアムへ向かう。
この日のカープは、交流戦で6連敗中でした。
もうこれ以上は負けたくない。
なんとか7連敗だけは阻止したい。
そんな気持ちをそれぞれ胸に抱えながら、妄想学校野球応援部の5人、ちびたぬき先生、タツたぬき顧問、snowちゃん、はっちゃん、刹那先生は、マツダスタジアムへ向かいました。

タツたぬき顧問は、静かに言いました。
「今日の一球でええんよ。今日の一点でええ。まずは、今日を勝つんよ」
snowちゃんは、Snow Cafe のノートをぎゅっと抱えます。
「祈る気持ち、98%です」
はっちゃんは観察ノートに書きました。
「応援部の遠征は、天気と勝敗と祈りによって成り立っている」
赤いきつね耳、配布される
ただ、この日は少しだけ様子が違いました。
マツダスタジアムで配られていたのが、赤いきつね耳のカチューシャだったのです。

それを見たタツたぬき顧問は、少し固まりました。
「…今日は、きつねなんか?」
ちびたぬき先生も、一瞬だけ考え込みます。

たぬきの顧問が連れて来た応援部が、
赤いきつね耳をつけて、
カープを応援する。
もう、何の部活動なのか、だんだん分からなくなってきます。
今日は、祈るきつねです
けれど、snowちゃんはそのカチューシャを手に取ると、ぱっと顔を明るくして言いました。
「かわいいです。今日は、祈るきつねです」

はっちゃんも、すぐに観察ノートを開きます。
「たぬきがきつね耳をつけると、応援の分類がむずかしくなる」
さすが、着眼点が少しだけ独特です。
タツたぬき顧問は、赤いカープ帽の上からどうやってきつね耳をつけるか、しばらく真剣に悩んでいました。
そして結局、少し斜めに装着しました。
「まあ、勝つためなら、きつねにもなるんよ」

その言葉に、みんな少し笑って、でも気持ちはちゃんとひとつになりました。
刹那先生は、そんな様子を見ながら、
静かにひと言。
「今日は胃薬より、縁起物が効きそうですね。」
初回から、空気が変わる
たしかに、この日は最初から少し流れが違いました。
初回、名原選手の二塁打でチャンスをつくると、坂倉選手のタイムリーで先制。
さらに、持丸選手の2点タイムリー二塁打で、いきなり3点。
「え、今日いけるかもしれん」
「いや、まだ早い」
「でも、いつもより空気がいい」
「きつね耳、効いとるんやない?」
応援部の声も、自然と大きくなっていきます。
床田投手、粘る
先発の床田投手は、台風でスライド登板になった中、6回1失点。
走者を背負っても崩れず、要所を締めていく投球に、応援席の祈りもどんどん濃くなっていきました。
タツたぬき顧問は、手を組みながら言います。
「信じたい気持ちと、祈る気持ちが半分ずつなんよ」

まさに、その通りでした
リードは3対1。
たった2点差です。
安心するには、まだ早い。
救援陣が守り切る
7回は遠藤投手。
8回はハーン投手。
9回は森浦投手。
一人ずつつないでいくたびに、応援にも力が入ります。
snowちゃんは、きつね耳を押さえながら、じっとグラウンドを見つめていました。
はっちゃんは観察ノートの端に、小さくこう書き足していたかもしれません。
「勝ってほしい気持ちは、耳の形を越える」

駅に近いから新幹線が通るのも見れますよ
そして、最後のアウト。
カープ、3対1で勝利。
交流戦初勝利。
連敗は6で止まりました。
つまり、7連敗阻止です。
勝利の耳
その瞬間、妄想学校野球応援部は、ちょっと大げさなくらい喜びました。

全敗するんじゃないかと思ってた
「やったー!」
「止まったー!」
「よかった、ほんまによかった」
「今日は、祈るきつね、大成功です」
ちびたぬき先生は、赤いきつね耳をつけたまま、ほっとしたように笑っていました。
タツたぬき顧問も、斜めにつけたきつね耳を直しながら、満足そうにうなずきます。
「これはもう、勝利の耳やな」
刹那先生は、いつもの落ち着いた口調で言いました。
「たぬきでも、きつねでも、勝てば全部よしですね」
たしかに、その通りです。
台風を越えた遠征
昨日は台風。
交流戦6連敗中で、重たい空気もあった。
しかも配られたのは、まさかの赤いきつね耳。
でも、そんな少しおかしな出来事も全部ひっくるめて、この日の勝利はなんだか特別でした。
たぬきがきつね耳をつけて、
カープ帽の上からなんとか装着して、
祈るように試合を見守って、
最後にはみんなで笑う。
それもまた、妄想学校野球応援部らしい一日だった気がします。
帰り道まで赤く見えた日
交流戦の苦しい流れを止めた、水曜のマツダスタジアム。
あの日の赤いきつね耳は、きっとただの来場プレゼントではなく、
「今日は大丈夫かもしれない」
と少しだけ信じさせてくれる、小さな縁起物だったのだと思います。
勝った日の帰り道は、少し足取りが軽い。
赤いユニフォームも、
赤いカチューシャも、
赤いローソンも、
いつもより少し誇らしげに見えました。
妄想学校野球応援部、初めての広島遠征。

台風を越えて、
きつね耳をつけて、
交流戦初勝利を見届けました。
記念すべき一日でした。
ハイライトを貼っておきます。

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