裁判傍聴
初めて裁判を傍聴した。
初めて訪れる裁判所。
そこには、普段の生活では感じることのない、独特の緊張感と静けさがあった。
まず最初に整理券を取りに行く。人気のある裁判は抽選になるそうだ。今回が初めての裁判傍聴だったが、運よく抽選に当たり、傍聴することができた。
裁判所に入ると、まず荷物検査がある。持ち込めるものは財布、ノート、筆記用具などに限られていた。
そして、法廷に入る前にもう一度荷物検査。
中に入ると、傍聴席は静まり返っていた。
警備の方、複数の記者の方、そして裁判関係者と思われる方々。普段テレビやニュースでしか見たことのない裁判というものが、目の前で行われようとしていた。
裁判長はすでに席についていた。
開廷前には、傍聴人に向けて注意事項が伝えられる。そして、開廷。
その日は判決公判だったため、手続きが進み、すぐに判決が言い渡された。
「主文……」
その言葉を聞いた瞬間、空気が一段と重くなったように感じた。あまりにも残虐だった事件
裁判の内容は、あまりにも残虐だった。
自分がこれまで生きてきた世界とは、まったく違う世界を見ているような感覚だった。
まるで異世界に入り込んだような、現実感のない感覚。
しかし、そこで語られていることは、紛れもなく現実に起きたことだ。
特に印象に残ったのは、裁判長が被告人の特性や生育歴などを考慮しながらも、それでも許されるものではないとして、無期懲役の判決を言い渡したことだ。
一つの事件、真実の裏側には、本当にたくさんのものが存在している。
その人がどのような環境で育ったのか。
どのような経験をしてきたのか。
どのような人間関係の中で生きてきたのか。
何がその人に影響を与えたのか。
そうした一つひとつのものが複雑に絡み合いながら、人は生きている。
だからといって、起こってしまった過去が変わるわけではない。
その人が犯した罪であることも変わらない。
この二つを同時に考えることの難しさを、今回の裁判傍聴を通して強く感じた。
そして、裁判を傍聴しながら、あるドラマの台詞を思い出した。
-九重世人「大人が馬鹿なんですよ。若い人が何も考えてないと思ってる。そういう意味では、相手が未成年でも厳しく処罰するべきだと思います。減刑も必要ない。等しく罪の責任をとらせるべきです。」
-桔梗ゆづる「もちろん相手が未成年だとしても取り返しのつかない犯罪はあって、それ相応の罰は受けてもらう。だけど救うべきところは救おうというのが少年法。」
-九重世人「その少年自身が未成年を重ね着て好き放題していてもですか?」
-桔梗ゆづる「私はそれを、彼らが教育を受ける機会を損失した結果だと考えてる。社会全体でそういう子どもたちをどれだけ掬い上げられるか。5年後、10年後の治安は、そこにかかってる。」
この台詞から社会問題と大きく関わっているとも感じた。裁判傍聴から社会問題へと、少し話が飛躍しているように思うかもしれない。
今回の経験を通して、社会には、今向き合わなければならない問題がたくさんある。
少子高齢化、教育の格差、物価上昇と生活費の負担、AI・デジタル化の影響、メンタルヘルスの問題など。
これらは、一つひとつ独立した問題ではない。
貧困が教育格差につながる。
教育格差が将来の選択肢を狭める。
孤立が心の問題につながる。
そして、社会から取り残される経験が、時には犯罪につながることだってある。
今、社会で起きている問題から目を背けてはいけない。
光や希望を求めて生きていける人は、これから増えていくのだろうか。
それとも、私たち自身が増やしていくのだろうか。
どう生きていくのか。その答えは、きっと私たち一人ひとりの考えと行動にかかっている。
