7つの習慣 第二の習慣 目的を持って始める(1)
自己リーダーシップの原則
自分の葬儀を客観的に見ている自分。葬儀では自分の親しい人たちが弔事を述べている。集まってくれた人たちから自分の人生についてなんと言ってほしいんだろう。彼らの言葉からどういう親だった、どういう兄弟だった、どういう友達だったと言ってほしいのだろう。私は、みんなに自分の人格のどういうところを見てほしかったのだろう。どういう貢献や業績を覚えていてほしかったんだろう。その場に集まっている人たちの人生に私はどういう影響を及ぼしたのだろうか?このことを真剣に想像し自分自身に問いかけてみたら、自分自身の心の奥底にある基礎的な価値観と内的な方向づけが見えると思う。自分の価値観と方向性を明確にすることは、自分の影響の輪の中心にあり、人生を根本的に変えることになる。
目的を持って始めるとは、目的地をはっきりさせてから旅立つこと。目的地を知ることで現在地もさらによく分かるようになるし、いつも正しい方向に向かって歩み続けることができるようになる。
日々の生活の忙しさに追われ、やっていることに意味があるかどうかを考えない中で、自分自身を見失い、成功のハシゴを昇りつめて頂上に達した時、はじめてそのハシゴはかけ違いだったと気がつくことがある。成功だと思っていたことを達成したにもかかわらず、それよりもはるかに大事なことを犠牲にしてしまったと突然思い知らされる。自分自身にとって何が本当に大切なのかが分かっていて、そのイメージを常に頭の中に植え付け、毎日その最も大切な事柄を優先する形で自己管理をすれば、人生はなんと大きく変わってくることだろう。忙しいかもしれない、能率よく働くかもしれない、しかし目的を持った上で始めない限り効果的ではないのだ。
リーダーシップとマネジメントの違い。マネジメントは、手段に集中しており、いかにすれば目標を達成できるかというもの。リーダーシップとは、望む結果を定義しており、何を達成したいのかというもの。子育て中の親もこのマネジメントのパラダイムに陥ってしまいやすい。コントロールや能率、ルールばかりを考えて、家族の方向性や目的意識の共有化、家庭の文化や雰囲気づくりが二の次になってしまいがち。個々人の生活におけるリーダーシップの欠如も深刻。多くの人は、自分自身の価値観や人生の目的を明確にすることなく、能率的な自己管理や目標達成ばかり気にして生活している。
人生の新しい脚本
主体性は自覚という人間独特の性質に基づく。主体性を向上させ、自己リーダーシップを可能にするのが想像力と良心だ。想像力により、自分の中に秘められた潜在的な可能性を発見し、将来について考えることができる。良心によって、普遍の原則や自然の法則を理解し、自分自身の独自の才能や貢献する能力を意識することができる。自覚と想像力と良心を合わせて自らの脚本を書き直す力を与えてくれる。自分自身の内面を見つめ、自覚を育成するにつれて、非効果的な脚本をもっていることに気がつく。これらの脚本が根強い習慣の源となる。例えば、自分の子どもに対していつも過剰反応してしまう。子どもたちがいけないことをやり始めると、私の中に緊張が高まり、無意識のうちに闘う用意を始める。子どもの長期的な成長や彼らとの良好な関係ではなく、目前の子どもの行動なのである。その場限りの争いに勝とうとしているのだ。あらゆる武器を持ち出す。身体の大きさ、腕力、権力など。怒鳴ったり、脅したり、罰を下したり。そして勝つ。そどもは上辺では服従するかもしれないが、内心は反抗的な気持ちが募る。
葬儀の場面では、親として誰よりも子どもの成長を願い、愛していたと覚えてほしいと思っていた。なのに現実は、そうとは限らない。どうでもいい些細なことに目が眩むこともある。生活の差し迫った問題や子どもの表面的な悪い行動に気を取られ過ぎて本当に重要なことを見失ってしまうこともある。そのために、反応的になり、日頃の子どもに対する接し方も私の気持ちを反映しないものとなってしまう。
しかし、私には自覚と想像力と良心があるので、自分の奥底の価値観を見つめることができるのだ。すると、自分のやっていることが、意識的に選択したことではなく、周りの状況や人に委ねた結果であることに気づく。私たちは変わることができる。自覚と想像力と良心の力によって、自分で創造することができる。
目的を持って始めるとは、生活の中で様々な役割を果たすときに明確な価値観に基づいて行動することである。また、自分の行動や態度を左右するパラダイムが、自分の最も深い価値観や正しい原則に合ったものとなるように自分自身の脚本を書き直すということ。それを踏まえた上で、毎日その価値観をしっかり頭に置いて1日を始めるのだ。そうすれば、さまざまな出来事や試練にあったとき、その価値観に基づき反応を選択することができる。その時折りの感情や状況に反応する必要はなくなり、真の意味で主体的な人になることができる。
個人的なミッションステートメント
目的を持って始める最も簡単で大きな効果をもたらす方法は、ミッションステートメント(個人的憲法)を書くこと。自分はどうなりたいのか、何をしたいのか、自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにする。
人は変わることのない中心がなければ変化に耐えることはできない。変化に対応する能力を高める鍵は、自分は誰なのか、何を大切にしているのかを明確に意識すること。だからこそミッションステートメントを持つことにより、周りの変化に対応する能力が高まることになる。偏見や既成概念などは不要になり、人を分類したり、知ったかぶりをする必要もなくなる。
私たちの直面する環境は、常に変化しており、その変化の速さに圧倒されてしまい、変化に耐えられず人生の辛さに挫折してしまう。反応的になり、全てを諦め、自分の身に起こることが良い方向に変わってくれることを祈るしかないと考える。しかし、そう簡単に諦める必要はない。ミッションを持っていれば、主体性を発揮する土台ができていると言える。自分の人生に方向性を与えてくれるビジョンと価値観を持つことになり、目標を設定する基本的な方向づけが出来上がる。正しい原則に基づいた憲法を持つ人は確固たる中心を持ち、すべての決断をそれに合わせて自分の時間、才能、エネルギーを効果的に使うことができる。
中心から変わる
自分のビジョンと価値観を考えることは、影響の輪の中心に働きかけること。そのために自覚を使い、自分の持っているパラダイムを見つめ、それが正しい原則にあっているかどうかを確認することが大切。また、自分の良心をコンパスとして使いながら、独自の才能や貢献の可能性を発見する。そして想像力を使い、自分の望む最終的な姿を描き、自分の努力に方向性と目的を与え、自分の憲法を明文化することができる。その目的の達成に向けて努力を集中することにより、影響の輪は拡大する。
あなたの生活の中心は何?
自分の中心を見分ける最も良い方法は、自分の安定性、方向性、知恵、力を見つめること。家族中心や仕事中心、自分中心など。おそらくほとんどの人の中心はいくつかの中心の複合で構成されている。一貫した方向性がなく、継続的に頼れる知恵もなく、力の根源は不安定であり、内的な安定、自尊心、一定した自分というものがない。もちろん、高い安定性、方向性、知恵、力をもたらしてくれるひとつの明確な中心を持つことが理想的。そうすれば、生活のあらゆる場面で一貫性が保たれ、主体性を発揮することができる。
それが原則中心の生活。原則中心の場合、ころころと変わる人や物に頼るようなほかの中心とは違い、安定性は原則の不変性に基づくものになる。原則は深い基礎的な真理であり、全人類共通のもの。人生の生地そのものに一貫して深く、美しく、力強く織り込まれている。当然のことだが、私たちは何もかもすべて知っている訳ではない。私たちの人格は未熟なため周りの世界に対する理解が欠如することがある。しかし、私たちの理解は限られているとはいえ、その理解の境界線を広げることができる。人間の成長を司る原則を理解することによって、さらに正しい原則を探し求めて学ぶことができる。そして学べば学ぶほど、世界を見るレンズは正確なものになってくる。それは、原則そのものが変わるのではなく、原則に対する私たちの理解の度合いが変わるから。
原則を生活の中心に位置づけることによって生まれる知恵と方向性は、物事の現在のあるがまま、過去のあったがまま、将来にあるがままの現実についての正確な地図を持つことによってしか得られないもの。正しい地図を持つとき、目的地とそこに辿り着くための道がはっきりと見えるようになる。正しいデータを生かし、有意義かつ実行可能な計画を作ることができる。原則中心の生活から生まれる個人的な力は、自覚と知識を持ち、他人の行動、態度や環境、状況の影響に制限されない主体的な人間の力。原則中心の人の力に対する唯一の制限は原則がもたらす自然の結果。自分の行動を自由に選択することはできるがその結果を選択することはできない。正しい原則に関する知識が増えるにつれ、知識のある行動をとる自由が拡大する。原則を生活の中心におくことにより、周りのすべての事柄がバランスよく見えるようになる。
原則中心の人は、自分の直面している状況や時折の感情から一歩身を引いて選択肢を考えることができる。つまり、他人や状況にコントロールされてない。最も良いと思う道を自分で主体的に選択することができる。この結論は自分の意識的な選択によって行われたものであり、さまざまな要因の検討に基づいたもの。また、この決定が最も効果的なものであると自分で確信している。自分の目から見て長期に渡り最良の結果を生み出すと思われる原則に基づいて出した決定。こうして自分で行った選択は自分の人生の最も深い価値観に貢献することとなる。この決定を実行するプロセスは質の高いものであり、自分の人生全体において有意義な経験になる。また、強い相互依存関係の土台に立ち、互いにコミュニケーションができる。最後は自分の結論に対する自信を持っている。どう選ぼうとその活動に集中しそれを楽しむことができる。
