暑い。厚い。油揚げ。

8月と言ったら暑い。
もう、朝から暑い。
外へ出れば暑い。
エアコンを止めれば暑い。
「暑い」しか語彙がなくなる季節である。
そんなことを考えていたら、ふと思った。
暑い……厚い……油揚げ。
うん。
夏で脳みそも少し溶けている。
でも、私の地元では、
この連想は意外と間違っていない。
地元の豆腐屋さんの油揚げ。
これが、とにかく厚い。
スーパーで売っている、
ペラッとした油揚げとは別物。
表面はカリッ。
中はふわっ。
「これ、本当に油揚げ?」
と思うくらい存在感がある。
焼いて、鰹節を山ほどかける。
醤油を少したらす。
たった、それだけ。
なのに……
ご飯が止まらない。
1杯。
いや2杯。
下手をすると、
おかずが油揚げだけで夕飯が終わる。
恐るべし、豆腐屋の本気である。
最近、都会へ来て思う。
そういえば、豆腐屋さんって見かけない。
昔はラッパを鳴らしながら売りに来たり、
町に一軒くらいはあった気がする。
でも今は、ほとんどスーパー。
便利になった。
それは間違いない。
でも、あの「今日は揚げたてあるよ。」
なんて会話は、少し懐かしい。
しかも豆腐屋さんへ行くと、
ちょっと嬉しいことがある。
「おから、持ってく?」
この一言。
ありがたくいただいて帰る。
そして、おからハンバーグ。
健康的。
財布にも優しい。
栄養もある。
完璧である。
これなら夏バテなんて怖くない。
……そう思っていた。
外へ出る。
ムワッ。
35℃。
いや。
やっぱり暑い。
油揚げが厚くても、夏の暑さには勝てなかった。
結局、8月はエアコンの前で、
「暑い……厚い……油揚げ……」
と、くだらないダジャレを考えながら、
ご飯をおかわりするのである。
