現役上場準備会社の経理課長が実践|経理業務を月20時間以上削減した業務改善
経理の仕事をしていると、
「この作業、毎月やっているけど本当に必要なのかな?」
「もっと効率よくできないかな?」
「経理だけじゃなく、申請する側の負担も減らせないかな?」
そんなことを考える機会が少なくありません。
特に上場準備を進めている会社では、日々の経理業務を正確に処理するだけではなく、
* 決算の早期化
* 証憑管理の適正化
* 内部統制の整備
* 監査法人への資料提出
* 業務の属人化解消
* 業務効率化
など、経理部門に求められることがどんどん増えていきます。
私自身、上場準備中の会社で経理業務に携わる中で、こうした課題に向き合ってきました。
そして実際に、複数の業務改善を進めた結果、経理業務全体で月20時間以上の工数削減につながった改善もあります。
今回は、その中でも特に効果が大きかった取り組みについて、実際の経験をもとに紹介します。
⸻
はじめに|業務改善を始めたきっかけ
私が本格的に経理業務の改善を考えるようになったきっかけは、大きく3つありました。
① 証憑の提出率が低かった
経費精算などで発生する領収書・請求書などの証憑。
経理としては、当然ながら必要な証憑を適切に回収・保管しなければなりません。
しかし、実際の現場では、
「領収書の提出をお願いします」
「こちらの証憑がまだ届いていません」
「この申請の領収書はどこにありますか?」
といった確認が発生します。
一つひとつは小さな作業でも、件数が積み重なると経理側の負担はかなり大きくなります。
そして何より、
「提出してください」と人にお願いし続ける運用には限界がある
と感じていました。
⸻
② 決算をもっと早くしたかった
もう一つの大きな課題が、決算早期化です。
経理にとって、決算は毎月必ずやってくる業務です。
だからこそ、毎月の決算で発生するちょっとした確認作業や証憑回収、データの整理などを減らすことができれば、年間ではかなり大きな時間になります。
決算を早期化するためには、単純に経理担当者が頑張って早く処理するだけでは足りません。
決算前後に発生している、
「待ち時間」や「確認作業」そのものを減らす必要があります。
そのためには、経理部門だけでなく、申請者や各部署を含めた業務フローそのものを見直す必要があると考えました。
⸻
③ 証憑の保管・監査法人への提出にも工数がかかっていた
そして、上場準備を進める中で特に気になっていたのが、証憑管理です。
経理では、証憑を回収して終わりではありません。
適切に保管し、必要なときに確認できる状態にしておく必要があります。
さらに、監査法人から証憑の提出を求められれば、
「この取引の証憑はどこにある?」
「この資料はどこに保管した?」
「この取引に関連する証憑をまとめてください」
といった対応も必要になります。
もちろん、監査法人への対応は経理として重要な業務です。
ただ、
「必要な証憑を探す」という作業に時間を使うことが、本当に最適なのか?
という疑問もありました。
本来なら、その時間を決算や会計処理、内部統制、分析など、より付加価値の高い業務に使いたい。
そう考えるようになりました。
⸻
当時のシステム環境
業務改善を考える上で、もう一つ重要だったのが、
すでに複数のシステムを利用していた
ということです。
当時は、
* 勘定奉行
* 商奉行
* 債務奉行
* AI-OCR
などを利用していました。
つまり、
「システムがないから効率化できない」
という状況ではありませんでした。
むしろ、
すでにシステムを導入しているのに、なぜまだ手作業が残っているのか?
というところが課題でした。
これは経理の業務改善を考える上で、かなり重要なポイントだと思っています。
⸻
システムを入れることが目的ではない
業務改善というと、
「新しいシステムを導入する」
ことが目的になってしまうことがあります。
でも、本来は逆です。
まず、
「何を改善したいのか」
を明確にする。
私の場合、目的はかなり明確でした。
改善したかったこと
* 証憑の提出率を上げる
* 証憑回収にかかる経理の工数を減らす
* 証憑保管の手間を減らす
* 監査法人への証憑提出を効率化する
* 決算を早期化する
* 経理担当者の定型業務を減らす
* 経理だけでなく、申請者側の負担も減らす
これらを一つひとつ見ていくと、
経理部門だけを効率化しても意味がない
ことが分かります。
申請する人。
承認する人。
経理。
そして、その後の監査対応。
これらを一つの業務フローとして考える必要がありました。
⸻
そこで検討したのが「バクラク」だった
こうした課題を解決するために導入したのが、
バクラクの申請・経費精算・ビジネスカードです。
ポイントは、単純に経費精算システムを入れ替えたわけではないことです。
「申請」
↓
「承認」
↓
「経費精算」
↓
「証憑」
↓
「カード」
↓
「経理処理」
という一連の流れを見直すことを目的として導入しました。
既存の会計・債務管理システムを残しながら、経費や申請周辺の業務フローを改善する。
そういう考え方です。
⸻
導入決定から約1ヶ月で運用開始
今回の導入で、自分自身でも大きな経験になったのが、
導入決定から約1ヶ月で運用開始まで進めたこと
です。
システムを導入すると聞くと、
「何ヶ月もかけて準備するもの」
というイメージがあるかもしれません。
もちろん会社の規模や状況によって必要な期間は変わります。
ただ、今回の経験を通じて感じたのは、
システム導入のスピードを決めるのは、システムそのものよりも事前の業務整理と運用設計
だということです。
何を変えるのか。
誰が何をするのか。
今までの業務をどこまで残すのか。
新しい運用にしたとき、どこで問題が起きるのか。
これらを事前に整理しておくことで、かなりスムーズに進めることができました。
⸻
実際に何が変わったのか
導入後は、単純に「経費精算が便利になった」というだけではありません。
業務フローそのものを見直したことで、
証憑の提出率は約50%から98%まで改善しました。
また、その他の業務改善も合わせて進めることで、経理業務について月20時間以上の工数削減につながりました。
さらに、RPAを活用した業務では、月10時間以上の工数削減につながったものもあります。
資料作成についても、業務を見直したことで、月4時間程度の削減につながったものがあります。
一つひとつを見ると、
「月4時間」
「月10時間」
という数字かもしれません。
でも、毎月発生する業務なら年間では大きな差になります。
月4時間なら年間48時間。
月10時間なら年間120時間です。
業務改善は、一度の大きな改革だけでなく、小さな改善を積み重ねることでも大きな効果を生み出せる。
これは実際に業務改善を進めてみて強く感じたことです。
⸻
経理の業務改善で一番大切だと思うこと
これまで業務改善をしてきて、個人的に一番重要だと思っているのが、
「人の頑張りで解決しない」
ということです。
例えば、
「領収書をちゃんと提出してください」
と何度も周知する。
「決算なので早くお願いします」
と各部署にお願いする。
「監査法人から依頼された証憑を探してください」
と担当者に依頼する。
もちろん必要な場面もあります。
でも、それを毎月繰り返すのであれば、
そもそも、そうならない仕組みを作れないか?
と考えるべきだと思っています。
人が頑張ることで回っている業務は、担当者が変わったときにも同じように回るとは限りません。
逆に、仕組みとして正しく処理されるようになれば、
* 業務の属人化を防げる
* ミスを減らせる
* 確認作業を減らせる
* 新しい担当者でも運用しやすくなる
* 経理担当者が本来やるべき仕事に時間を使える
といったメリットがあります。
⸻
「効率化」と「内部統制」は両立できる
上場準備をしていると、
「効率化すると内部統制が弱くならない?」
という問題も出てきます。
私自身、業務改善をする際にはここをかなり意識しています。
経理にとって重要なのは、
「早くすること」だけではありません。
正確性を維持する。
必要な証跡を残す。
適切な承認を受ける。
後から確認できる状態にする。
その上で、
できるだけ人の手を介する作業を減らす。
このバランスが重要だと思っています。
だからこそ、業務改善は単なる「時短」ではなく、
「正確性・統制を維持しながら、無駄な作業を減らすこと」
だと考えています。
⸻
まとめ
今回紹介したのは、私が実際に経理業務を改善してきた中の一部です。
特に大きかったのが、
* 証憑提出率の改善
* 決算早期化
* 証憑保管業務の効率化
* 監査法人への証憑提出工数の削減
* 経費精算・申請業務の改善
* バクラクの導入
* ビジネスカードの導入
* RPAによる定型業務の自動化
* 資料作成業務の効率化
です。
その結果、複数の改善を合わせて月20時間以上の工数削減につながりました。
そして、今回の経験を通して改めて感じたのは、
経理DXは「新しいシステムを入れること」ではなく、「今までの業務をどう変えるか」を考えることから始まる。
ということです。
⸻
次回は、バクラク導入についてもう少し具体的に書きます
今回の記事では、なぜ業務改善が必要だったのか、そしてなぜバクラク導入を検討したのかについて紹介しました。
次回はもう少し踏み込んで、
* なぜバクラクを選んだのか
* 導入前にどんな業務フローだったのか
* どこをどう変えたのか
* 導入決定から1ヶ月で運用開始するために何をしたのか
* 社内への展開をどう進めたのか
* 実際に導入してみて大変だったこと
* 導入後、経理業務がどう変わったのか
* 「もっとこうしておけばよかった」と思うこと
まで、実際の導入経験をもとに書いていきたいと思います。
同じように経理業務の効率化や経理DX、決算早期化に取り組んでいる方の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
