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「心のタイムマシン」で人類は地球の支配者になった! : 『「未来」を発明したサル』が解き明かす、記憶と予測の壮大な物語

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翔平 : 奈美さん、最近『「未来」を発明したサル — 記憶と予測の人類史』という本を読んだんだけど、すごく面白かったんだ。人間がどうやってこの地球の支配者になったのか、その最大の要因が「先見性」にあるっていうのがテーマなんだよ。

奈美 : 「先見性」ですか? 動物にも未来を予測する能力は少しはあるんじゃないですか?

翔平 : 良い質問だね。この本によると、太古の昔、サルとヒトを分けた最大の要因こそが、この「先見性」なんだ。人間は、過去を回顧し、未来を予測する能力、つまり「心のタイムトラベル」を身につけたんだ。他の動物にも予測能力はごく限られた範囲であるんだけど、人間のように何十年、何百年、何千年といった長いスパンで過去や未来に思いを馳せられるのは、人間だけが持つ能力だとされているんだ。

奈美 : 心のタイムトラベル! 面白い表現ですね。それがどうして私たちを地球の支配者にしたんですか?

翔平 : 例えば、5000年以上前の「エッツィ」というアイスマンの例が紹介されているんだけど、彼の持ち物を見れば、未来のチャンスやピンチに備えて入念な準備をしていたことがわかるんだ。彼は様々な動物の皮で服や靴を作り、火打石や薬になるキノコ、研ぎ澄まされた短剣まで持っていた。この未来の出来事を予測して備える能力こそが、私たちが自由に使える最強のツールなんだ。

奈美 : なるほど。でも、人間も未来を正確に予測できるわけじゃないですよね? 予言とか占いとか、当たるものばかりじゃないし……。

翔平 : まさにその通り! その点の議論もこの本の面白いところなんだ。著者たちは、人間が未来を想像できるからといって、それが正確に起こるとは限らないことを強調しているよ。株式仲買人や気象学者の予測でさえ四苦八苦しているし、楽観的な見通しが外れることも多い。私たち人間は目先の利益に目がくらんだり、不幸な出来事が起こる確率を実際より低く見積もりがちだったりするんだ。でも、この「心のタイムマシン」の力の大部分は、私たちがその限界をはっきり認識していることに由来しているという、一見矛盾するような洞察も提示されている。

奈美 : 予測の限界を認識することが力になるんですね。それがどういうことなのか、もう少し聞きたいです!

翔平 : 例えば、人類は古くから未来を「垣間見る」ために占いを考案してきたけど、それは不確かな未来に立ち向かい、最善の道を模索しようとする探究心の産物なんだ。また、古代ギリシア人は「アンティキティラ島の機械」のような革新的な未来予測ツールまで編み出していたんだよ。こうした暦や文字、時計といった道具は、人間の先見性を補い、高めるために発明されてきたんだ。

奈美 : そう聞くと、私たちの生活って、先見性によって築かれてきたものばかりなんですね。

翔平 : そうだね。この本は、進化人類学、認知心理学、神経科学、考古学、歴史学といった様々な分野の最新の知見を縦横無尽に活用して、「心のタイムトラベル」の起源や仕組み、それが人類の進化にどう寄与してきたかを一般読者にもわかりやすく解説しているんだ。未来のシナリオを頭の中で作り出し、その実現に向けて行動することが、私たちの文化進化を教育とイノベーションという二つの方法で加速させてきたんだ。奈美さんも言っていたけど、過去を振り返る時と未来に思いを馳せる時って、脳の同じ領域が活性化するらしいよ。この「心のタイムマシン」は、私たちが自分自身を作り上げ、世界を形作る原動力になってきたんだ。

奈美 : すごい! 未来を考えることは、環境問題や倫理的な責任にもつながっていくんでしょうね。

翔平 : その通り! 人類が地球の運命を握る生物へと変貌した経緯だけでなく、その結果として生じた環境問題など、先見性がもたらす課題と、それに対して私たちがどう対処すべきかも深く掘り下げられているんだ。著者たちは、人間が持つこの素晴らしい能力を、より良い未来のためにどう活かすべきか、警鐘を鳴らしつつも希望を語っているよ。

奈美 : それはぜひ読んでみたいです! 読んだ後、きっと自分の「心のタイムマシン」で色々なことを考えさせられそうですね。

翔平 : きっとそうだよ。著者はトーマス・スーデンドルフ、ジョナサン・レッドショウ、アダム・ブリーの三人の学者で、波多野理彩子さんが翻訳しているんだ。早川書房から出ているから、興味があったら手にとってみて。きっと新しい発見があるはずだよ。

奈美 : ありがとうございます! 読むのが楽しみです!

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