妻は本当に反省しているのだろうか
妻は本当に反省しているのだろうか。
そんなことを、ふと思う時がある。
日常はそれなりに戻っている。
もちろん、不倫発覚前だって夫婦喧嘩はあったし、険悪な空気になることもあった。
今もそれはある。
ただ、以前ほど長引かない。
以前ほど引きずらない。
それは時間が解決してくれたからなのか。
それとも、俺が妻を諦めたからなのか。
期待をしなくなったからなのか。
正直、自分でもよく分からない。
妻はこの春、仕事を辞めた。
精神的な余裕ができた部分もあると思う。
以前より穏やかに見える日もある。
ただ、人間だから当然だが、機嫌が悪い日もある。
イライラする日もある。
俺にもあるし、妻にもある。
俺に非がある時は、もちろん悪いと思う。
でも最近、どうしても引っ掛かることがある。
妻はよく言う。
「気分の浮き沈みが激しい」
「テンションの上げ下げがある」
昔は、その指摘も分からなくはなかった。
だから気を付けようと思ったこともある。
でも今は違う。
気分で態度が変わるのは、むしろ妻の方じゃないかと思う。
機嫌が悪い。
空気が悪くなる。
言葉が強くなる。
でも俺はなるべく飲み込む。
穏やかに過ごそうとする。
衝突しても意味がないからだ。
ただ、そのたびに思う。
なんで、お前が不機嫌になれるんだろう。
なんで、お前がそんな態度を取れるんだろう。
反省している人間なら。
後悔している人間なら。
もう少し違うんじゃないか。
そんなことを考えてしまう。
もちろん、これは俺の勝手な理想なのかもしれない。
一生申し訳なさそうに生きろと言いたいわけじゃない。
一生償い続けろと言いたいわけでもない。
でも、俺はまだ終わっていない。
だから温度差を感じる。
妻はもう終わった話だと思っているのかもしれない。
過去のことだと思っているのかもしれない。
でも俺は違う。
あの日からずっと止まっている部分がある。
そして何より。
俺は妻の本心を知ってしまった。
軽いノリだった。
出来心だった。
深い意味なんてなかった。
そう言っていた。
でも、後から知った本音は違った。
不倫相手との思い出は、
『大切な思い出』
だった。
あの言葉は大きかった。
今でも忘れられない。
怒りというより。
絶望に近かった。
それまで信じようとしていたものが、一気に崩れた感覚だった。
だから今でも分からない。
妻は本当に反省しているのだろうか。
それとも、反省しているフリをしていただけなのだろうか。
答えは聞かない。
たぶん本当のことなんて言わないから。
だから俺は考えるのをやめた。
信じることもやめた。
その代わり、自分のやるべきことだけを進めることにした。
反省しているかどうか。
今となっては、それよりも大切なことがあると思っている。
