離婚する勇気がなかった
不倫された夫婦が、その後どうなるのか。
離婚するのか。
再構築するのか。
調べてみると、統計にはかなり幅があるけれど、
不倫発覚後も離婚せず関係を続ける夫婦は、半数前後いるらしい。
正直、もっと少ないと思っていた。
そんなもの、絶対に無理だろう、と。
でも実際に自分がその立場になって分かった。
離婚するか、再構築するかなんて、
そんな綺麗に決められるものじゃない。
相手との慰謝料請求のやり取りをしていた頃、
自分の精神はかなり削られていた。
怒りもあった。
憎しみもあった。
でも、それ以上に疲れていた。
だから、妻と今後どうするかなんて、
正直そこまで考える余裕はなかった。
離婚する勇気もなかった。
結局、ズルズル一緒にいた。
たぶん、それが一番正しい。
時間は、人を慣れさせる。
良くも悪くも。
そして、少しずつ麻痺させる。
不倫を突きつけたあの日、
「絶対に許さない」と言っていた自分の勢いも、
いつの間にか消えていた。
もちろん、許したわけじゃない。
ただ、ずっと同じ熱量で怒り続けることも、
人間にはできないんだと思う。
離婚できない理由はいくらでもあった。
世間体。
子どもたちのこと。
家のこと。
親や兄弟を含めた家族のこと。
そして、お金。
我が家は共働きで、
妻の収入がある前提で生活が回っていた。
家計管理も、ほとんど任せきりだった。
今さら一人で全部やるなんて、
本当にできるんだろうか。
そんな不安もあった。
並べてみると、
どれも情けない理由に見える。
もっと強い人間なら、
もっと綺麗に決断できたのかもしれない。
そう思うこともあった。
だから余計に、
自分がダサく感じた。
自己肯定感なんて、
とっくに底の方だった。
でもたぶん、
再構築って、そんな立派なものじゃない。
少なくとも自分の場合は。
前向きに選んだというより、
壊れたまま生活を続けていただけだった。
第2章は、
そんな話になると思う。
