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night_contrail
妻の不倫で、初めて自分のことを考えた
俺は、穏やかな人間だ。
感情の波は少ない。
怒鳴らない。騒がない。静かに、ただそこにいる。
それが自分だと思っていた。
不倫が分かってから、頭が止まらなかった。
ポジティブなことなら良かった。
でも違った。
怒りと、疑問と、情けなさが、ずっと頭の中をぐるぐると回り続けた。
眠れない夜が続いて、ようやく気づいた。
俺は、相当疲れていたんだと。
落ち着いてから、自分のことを考えた。
妻のこと、相手のこと、家族のこと。
それだけじゃなかった。
一番考えていたのは、たぶん、自分自身のことだった。
俺という人間は、協調性がある。
人に合わせることができる。
波風を立てない。
誰かが傷つかないように、静かに場を整える。
それが自分の良いところだと思っていた。
でも今は、少し違う見方をしている。
協調性と、芯のなさは、紙一重だ。
妻に合わせた。
妻の考えに、少し違和感を覚えても、流した。
喧嘩を避けた。
表に立たなかった。
それを積み重ねてきた13年だったのかもしれない。
「優しいけど、どこかつまらない」
そう言われたことがある。
その時は、傷ついた。
でも今は、少しだけ意味が分かる気がする。
穏やかな人間は、安心される。
でも、安心と退屈は、思っているより近い場所にある。
自分に自信があるわけじゃない。
でも、なんでも人並みにはこなせると思っている。
悪い人間でもないと思っている。
ただ、それだけだった。
それだけで、13年を生きてきた。
不倫は、妻がしたことだ。
それは変わらない。
でも、この出来事は、俺自身に何かを突きつけた。
穏やかなままでいることが、正解なのか。
流し続けることが、優しさなのか。
まだ、答えは出ていない。
ただ、もう少しだけ、自分の芯というものを考えていこうと思っている。
静かに、でも、確かに。
