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15yennyan
「本当にごめんなさい」の正体
不倫が発覚した瞬間。
ほぼ全員が同じ言葉を口にする。
「本当にごめんなさい」
泣きながら。
震えながら。
床に額をこすりつけるように。
俺も聞いた。
あの言葉を。
信じそうになった。
いや、信じたかった。
でも今はわかる。
あの言葉の正体が。
あれは謝罪じゃない。
保身だ。
「この修羅場を早く終わらせてくれ」
そういう叫びだ。
責められるのが痛い。
この空気を終わらせたい。
ただ、それだけだ。
反省と保身は、似て非なるものだ。
反省は内側へ向かう。
自分が何をしたか。
相手に何を与えたか。
それを静かに引き受けようとする動きだ。
保身は外側へ向かう。
怒りを鎮めること。
その場をやり過ごすこと。
自分の痛みを最小化すること。
それだけが目的だ。
発覚直後に、内側へ向かう力はない。
裏切った側の頭の中は、混乱と恐怖でいっぱいだ。
自分がしたことの重さを、本当に受け止める余裕なんてない。
だから出てくる言葉は、反射的な自己防衛でしかない。
本当の謝罪は、言葉では証明できない。
態度でしか示せない。
翌日も。一週間後も。一ヶ月後も。
聞かれなくても話す。
責められなくても変わらない。
そういう日々の積み重ねでしか、示せない。
俺には、その時間がなかった。
積み重なる前に、心が折れた。
妻のスマホの中に、本音を見つけてしまったから。
「ごめんなさい」は保身だった。
俺はそう結論づけた。
違うかもしれない。
でも、もうどちらでもいい。
俺は再構築できなかった。
それだけが、今の事実だ。
