慰謝料請求は、思っていたものと全然違った
慰謝料請求をすると決めた時、
正直、何も分かっていなかった。
頭の中では、
慰謝料請求=裁判
みたいなイメージだった。
訴えて、法廷で争って、
白黒つけるものだと思っていた。
でも、実際は全然違った。
弁護士と話していく中で、
最初に言われたのは、
「不倫の慰謝料請求は、ほとんど訴訟までいきません」
ということだった。
九割くらいは、
裁判にならずに和解で終わるらしい。
正直、意外だった。
もっとみんな、
徹底的に争うものだと思っていた。
でも現実は、
お互いに条件を出して、
落としどころを探していく。
思っていたより、
ずっと静かな世界だった。
そしてもう一つ、
驚いたことがある。
不倫の慰謝料って、
思ったより安い。
もちろん、
人によって感じ方は違うと思う。
でも、自分の感覚では
あまりにも軽かった。
家庭が壊れて、
信頼がなくなって、
普通だった日常が全部変わる。
その対価として提示される金額が、
そんなものなのかと思った。
ネットを見ると、
「自分で動いて何百万取れた」
みたいな話はたくさん出てくる。
でも、弁護士ははっきり言った。
ああいう話の多くは、
かなり話を盛っているか、
特殊なケースだと思った方がいい、と。
少し安心して、
少しがっかりした。
結局、現実は
派手じゃない。
淡々と、
条件を詰めていくしかない。
基本的には、
弁護士同士のやり取りになる。
慰謝料の金額だけじゃない。
今後接触しないこと。
守秘義務。
職場への影響。
細かいようで、
そういう取り決めの方が
むしろ大事だったりする。
ちゃんと形に残すこと。
感情じゃなく、
記録として残すこと。
それが必要だった。
とりあえず、
和解までの目安は半年くらい。
思ったより長い。
でも、それが普通らしい。
請求金額は、
三百五十万円に設定した。
正直、
それでも少ないと思った。
三百五十万で
何が戻るわけでもない。
失ったものに比べたら、
安すぎるくらいだった。
でも、相場で見れば
かなり高い金額らしい。
弁護士と何度も話した。
悪質性はある。
期間も長い。
減額交渉をされる前提で、
最初はここからいきましょう。
そう言われた。
たぶん、
慰謝料請求って
お金を取るためだけのものじゃない。
ちゃんと、
これは終わっていないと
相手に伝えるためのものだった。
少なくとも、
あの時の自分にとっては。
