なんで、あんなに良い親から、不倫をする人間が生まれたんだろう
今でも、たまに考える。
なんでなんだろう。
妻の両親は、本当に良い人たちだ。
俺は、義両親には感謝しかない。
このお盆休みも、少し前に誕生日を迎えた息子のために、旅行に連れて行ってくれた。
義両親と息子の3人で。
これだけじゃない。
今まで何度も、俺たち家族を気にかけてくれた。
子どもたちにも、本当によくしてくれる。
俺自身も、たくさんお世話になってきた。
今でも、お世話になりっぱなしだと思っている。
だからこそ、不思議で仕方がない。
なんで、こんなに良い人たちの娘が、不倫をしたんだろう。
不倫について調べたり、いろんな人の話を読んだりすると、
「不倫する人は家庭環境に問題がある」
という話を見かけることがある。
もちろん、育った環境が人格形成に影響することはあると思う。
愛情を受けられなかった。
親から否定され続けた。
家庭が荒れていた。
子どもの頃に経験したことが、その後の人間関係や愛情の形成に影響する。
それは、俺にもなんとなく理解できる。
自分が経験したことのないような過酷な家庭環境で育った人なら、心が歪んでしまうことだってあるのかもしれない。
だから、
「不倫する人間は、必ず家庭環境が悪い」
なんてことを俺は言うつもりはない。
むしろ、俺の妻を見ていると、それだけでは説明できないと思う。
妻の両親は再婚している。
妻の母親は実の母親。
父親は、妻が小学校高学年くらいの頃に一緒になった人だと聞いている。
だから、一般的な意味で「ずっと同じ両親に育てられた家庭」とは違う。
そこに何かがあったのかもしれない。
俺には分からない。
妻にしか分からないこともあるだろう。
でも、少なくとも俺が知っている義両親は、決して「不倫する人間を育てるような親」には見えない。
今でも二人は、毎週のように一緒に出掛けている。
二人の関係がどうなのか、俺にはすべて分かるわけじゃない。
それでも、孫を大切にしてくれる。
困った時には助けてくれる。
俺にも優しくしてくれる。
俺は、この人たちに何かを恨む気持ちはない。
むしろ感謝しかない。
「あなたたちの育て方のおかげで、あなたの娘さんは不倫しました」
なんてことは、絶対に思わない。
そんなことを言えるわけがない。
だって、違うと思うから。
人間は、親だけでは完成しない
ここが、俺にはいまだによく分からない。
人間って、どうやって出来上がるんだろう。
親の育て方。
家庭環境。
学校。
友人。
恋愛。
仕事。
本人の性格。
その時々の感情。
いろんなものが積み重なって、一人の人間になる。
だから、「親が良かったから、子どもも良い人間になる」とは限らない。
逆もそうだと思う。
どれだけ酷い家庭で育っても、誰かを傷つけないように生きる人はいる。
親に恵まれなくても、人を大切にする人はいる。
結局、最後にどんな選択をするかは、その人自身の問題なんだと思う。
だから俺は、妻の不倫を義両親のせいにはしたくない。
妻が不倫をした。
それは妻自身が選んだことだ。
どんな事情があったとしても、最後にその一線を越えたのは妻自身。
俺はそこを切り分けて考えている。
そして、それが逆に悲しい。
もし義両親が酷い人たちだったなら、
「そういう環境で育ったからなのかもしれない」
と、自分の中で何かを説明できたのかもしれない。
でも、そうじゃない。
俺が知っている義両親は、俺にとって良い人たちだ。
子どもたちを大切にしてくれる。
俺にも良くしてくれる。
そんな人たちを見て育ってきた妻が、なぜ人を裏切る選択をしたのか。
俺には分からない。
そして、たぶんこれからも完全には分からない。
だからこそ、不倫は苦しい
不倫された側って、相手を憎むだけでは終われないことがある。
俺の場合は、妻だけじゃなかった。
妻の親も知っている。
家族ぐるみで付き合ってきた。
子どもたちもいる。
これまでの思い出もある。
だから、「妻は不倫した。以上」で簡単に切り離せない。
妻の不倫によって、俺の中ではいろんなものが同時に揺れた。
妻への怒り。
自分への失望。
家庭への喪失感。
子どもたちへの申し訳なさ。
そして、義両親への複雑な感情。
でも、義両親に対して怒りを向けることはできなかった。
むしろ、
「本当にありがとうございます」
という気持ちの方が強い。
だから、余計に思う。
なんでなんだろう。
これだけ愛情を注いでもらって。
これだけ大切にしてもらって。
それでも、人は誰かを裏切ることがある。
そう考えると、人間って本当に難しい。
俺はもう、妻がなぜ不倫したのかを考え続けることに、あまり意味はないと思っている。
理由を100個並べたところで、不倫という事実は消えない。
家庭環境がどうだった。
寂しかった。
刺激が欲しかった。
恋愛体質だった。
夫婦関係に不満があった。
いろんな理由はあるのかもしれない。
でも、
「だから不倫しても仕方なかった」にはならない。
理由と正当化は別だからだ。
そこだけは、俺は今でもはっきりしている。
そして、妻の両親にも責任はない。
俺はそう思っている。
むしろ俺は、これからも子どもたちを大切にしてくれる義両親には感謝していくと思う。
妻が何を選んだとしても。
それとこれとは別の話だから。
ただ、それでも悲しい。
本当に悲しい。
あんなに良い人たちの娘が、俺の人生にこれほど大きな傷を残すことを選んだ。
そして、その傷は妻だけではなく、俺にも、子どもたちにも、家族全体に残った。
それを思うと、
「なんで、こんなことになったんだろう」
という言葉しか出てこない。
答えは、たぶんない。
少なくとも俺には、まだ分からない。
でも一つだけ分かっている。
人は、どんな環境で育ったかだけで決まらない。
最後に何を選ぶのか。
誰を傷つけるのか。
何を守るのか。
その選択には、その人自身の責任がある。
妻の両親がどれだけ良い人たちだったとしても、妻の選択までは決められない。
そして俺も、もう妻の選択を背負うつもりはない。
妻は妻の人生を生きればいい。
俺は俺の人生を生きる。
ただ、これだけは今でも思う。
「なんで、あんなに良い親から、こんなことをする人間が生まれたんだろう」
たぶん、この疑問だけは、これからも完全には消えないと思う。
