妻は悪人だったのか
妻は悪人だったのか。
この答えを、今でも俺は持っていない。
不倫が発覚した日から今日まで。
何度も考えた。
怒りながら。
憎みながら。
それでも答えは出ない。
だから少しだけ、
妻という人間について書いてみようと思う。
妻との出会いは高校生の頃だった。
一度も同じクラスにはならなかった。
声をかけてきたのは妻の方だった。
そこから付き合い、
別れ、
また付き合い、
気付けば結婚していた。
もちろん順風満帆ではなかった。
別れていた時期もある。
その原因は妻の浮気だった。
ただ、それについて今さら何か思うことはない。
高校生や若い頃の恋愛なんて、
そんなこともある。
今となってはどうでもいい話だ。
ただ、
今振り返れば、
あれも一つの伏線だったのかもしれない。
23歳の時、
娘が生まれた。
いわゆる授かり婚だった。
当時の俺たちは、
付き合っているのか、
付き合っていないのか、
曖昧な時期だったと思う。
それでも、
家庭を作るならこの人なんだろうな。
そう思っていた。
だから結婚した。
結婚してからも、
幸せだったと思う。
生活は楽ではなかった。
若くして結婚し、
若くして子供を育てた。
お金もなかった。
でも楽しかった。
娘がいて、
大好きな妻がいて、
それだけで十分だった。
三年後には息子も生まれた。
家も建てた。
今思えば、
あの頃が人生で一番未来を信じていた時期だったのかもしれない。
妻は母親としてもよくやっていた。
子供が大きくなれば仕事にも復帰し、
家事も育児もこなしていた。
特に習い事には熱心だった。
送り迎えも、
予定管理も、
仕事をしながら続けてきた。
子育てに正解はない。
だからこそ思う。
少なくとも母親としての妻を、
俺は尊敬していた。
今でもそこは否定できない。
家族で出かけるのも好きだった。
旅行も好きだった。
イベントごとも好きだった。
子供たちの笑顔のために動ける人だった。
だから余計に分からない。
本当に悪人だったのか。
嫌な部分がなかったわけじゃない。
感情的になることもあった。
ヒステリックになることもあった。
友達は多かった。
俺はどちらかと言えば狭く深く。
妻は広く付き合うタイプだった。
違いはあった。
でも、
それはどこの夫婦にもある話だと思っていた。
価値観も似ていると思っていた。
生活感も似ていると思っていた。
ただ今回のことがあって、
本当は違ったのかもしれないと思うようになった。
俺が合わせていただけだったのかもしれない。
本当の妻を見ていなかったのかもしれない。
今でも分からない。
妻は悪人だったのか。
それとも、
どこにでもいる普通の妻だったのか。
正直、
今でも答えは出ていない。
ただ一つ言えるのは、
不倫が発覚する前から、
今振り返ると違和感はいくつかあった。
その時は気付かなかった。
気付こうともしなかった。
