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「AIx現代アート」がすごいことになっている!!! 森美術館の「マシン・ラブ」の鑑賞レポ!!

こんにちは。

先日、森美術館で6月8日まで開催していた「マシン・ラブ」という展覧会に会期ぎりぎりに行ってきました。この「マシン・ラブ」展は副題が「ビデオゲーム、AIと現代アート」と表されているように、AIを使ったアート作品となります。
我々がよく議論するAIはビジネスへの活用ですが、なんと美術、アートにもAIを使った作品がでてくるとは本当に驚きました。

まずは公式サイトから「マシン・ラブ」展の趣旨を載せておきます。

仮想空間と現実世界が接続し、人工知能(AI)が飛躍的に発展するなか、新しいテクノロジーは私たちの日常生活に急速に浸透し、とりわけコロナ禍は仮想空間における活動を加速させました。また、顧みればテクノロジーとアートは、コンピューター・アート、ビデオ・アートなどの歴史のなかで常に併走してきました。近年のビデオゲームやAIの発展がアーティストの創造活動に全く新しい可能性をもたらす一方で、生成AIの登場は、人類の創造力にとっての脅威ともなっています。こうした動向は、現代アートの文脈においても大きく注目されています。
本展では、ゲームエンジン(※1)、AI、仮想現実(VR)、さらには人間の創造性を超え得る生成AIなどのテクノロジーを採用した現代アート約50点を紹介します。そこではデジタル空間上のさまざまなデータが素材となった全く新しい美学やイメージメイキング(図像や画像を作ること)の手法、アバターやキャラクターなどジェンダーや人種という現実社会のアイデンティティからの解放、超現実的な風景の可視化、といった特性が見られます。ただ、これら新しい方法を採用しながら、アーティストの表現の根幹では普遍的な死生観や生命、倫理の問題、現代世界が抱える環境問題、歴史解釈、多様性といった課題が掘り下げられています。
「マシン」とアーティストが協働する作品や没入型の空間体験は、「ラブ(愛情)」、共感、高揚感、恐れ、不安など私たちの感情をおおいに揺さぶるでしょう。現実と仮想空間が入り混じる本展は、人類とテクノロジーの関係を考えるプラットフォームとして、不確実な未来をより良く生きる方法をともに想像する機会となるでしょう。

なかなか面白そうなテーマだと思いませんか。それでは早速、中身を見ていきましょう。

<ヒューマンワン/ビープル(米国)>

まず展覧会場に入って、すぐに目につくのが、人間ほどの高さのパネルが4枚ついた四角錐です。それぞれのパネルいっぱいにディスプレイがあり、そこでは「メタバース」で生まれた「最初の人間」の姿が現れて、動いています。
そして、このメタバース世界は、なんと自動的にアップデートされ、更新され続けているのです。


<アウトレット/佐藤瞭太郎(日本)>

続いて入った部屋には壁いっぱいにスクリーンがあり、その中ではAIで生成された、ありそうな街に不思議なアニメキャラクターたちが高速で動いています。
キャラクターの動きはAIによって生み出されているため、予測できないような不思議な動きを見せてくれます。
この作品は、アニメーションやインターネット上に流通するデータ「アセット」を素材に、ゲームエンジンを使って映像作品を作ったとのことです。


<エリスの林檎/ディムート(ドイツ)>

その次の部屋も同じような巨大な横長のスクリーン上で左側のアバターと右側のアバターが議論をしています。その議論の内容がテキストで表示されるのですが、どうも他のアバターが言った内容を理解した上で、それに対して反論をするような生成AIのロジックが組み込まれているようです。
巨大な2人の議論はそれぞれ反論に反論を重ね永遠に議論しているようです。

この作品に登場する2人のAIキャラクターですが、なんと大規模言語モデル(LLM)を使って生成AIの機能で互いに会話しているようです。生成AIの仕組みは人間とコンピュータの会話と思っていたら、なんとコンピュータとコンピュータの間でも会話ができるということなのでしょうか。


<インディー・ゲームセンター>

次のスペースではディスプレイとコントローラーがあり、我々一般人がビデオゲームを楽しめるようになっています。ここにあるゲームは個人や少人数によって制作されたインディーゲームの中から「私と他者」という2人の関係性にフォーカスしたゲームを集めたということです。
以下のようなゲームです。
プラグアンドプレイ
最後のゲーム
見つけた
ハグゲーム


<デリバリー・ダンサーズ/キム・アヨン(韓国)>

こちらは「デリバリー・ダンサーズ」というモチーフで、映像やゲーム、そしてキャラクターマネキンの実物という3種類の表現方法が楽しめます。
特に「デリバリー・ダンサー・シミュレーション」と題した12分の映像が秀悦でした。都市をバイクで駆け巡る女性配達員のストーリーですが、最短の配達時間を追求するあまり、時空間の隙間に入り込み、不可視になって、迷宮のような異次元をバイクで走り回るというもので、ショートストーリーとしても面白かったです。
この映像はソウル市街の中で撮影された高速の実写映像とスキャンデータやCGを組み合わせて、不思議なビジュアルを作り出しています。
ちなみにその横にあるゲームとマネキンは、この映像作品に登場するシーンを実際に見えるように、遊べるようにしたもののようです。


<独生独死シリーズなど/ルー・ヤン(中国)>

続いての部屋では、かなり広いスペースを映像鑑賞用にとっており、私が見た時には、AIアバター同士が戦う戦闘ゲームような映像が流れていました。
こちらの作品は、結構、時間が長そうでしたので、全部は見なかったのですが、後でこちらのアーティストであるルー・ヤンについて調べたところ、次のようでした。

ルー・ヤンはSFやアニメ、ビデオゲームなどに見られるイメージや物語の要素を用いながら、スピリチュアルで哲学的な世界を描き出す映像インスタレーションを制作しているようです。
本映像に出演するアバターもルー・ヤン自身の精神世界にまつわる考えと知識を世界中の人たちと共有するための依代だそうです。


<メッター・プレイヤー/ジャコルビー・サッターホワイト(米国)>

こちらもデジタル映像作品です。内容は全部見ていませんが、仏教や舞踏のコンセプトで、CGがうまくミックスされているとのことです。


<シリコン・セレナーデ/シュウ・ジャウェイ(台湾)>

この作品は、さすが台湾出身のアーティストだけあり、AI専用チップを研究する工業技術研究院(ITRI)の映像が生成AIによる音楽と共に編集、構成されています。現代のIT装置に不可欠な半導体ウェハー用シリコンの99%が砂浜から採取できることに着想を得た作品です。
映像の前にある、海に浮かぶように揺れている部屋にあるVRゴーグルの動きと海の映像シーンがリンクしています。


<インパクト・トラッカー/藤倉麻子(日本)>

青森県下北半島でのリサーチをもとに制作された13分の映像作品です。3DCGの映像では架空の空間を巨大な工業製品が生き物のように動き回ります。


<エフェメラル・レイク/ヤコブ・クスク・ステンセン(デンマーク)>

こちらはアメリカ・カリフォルニア州のデスバレーなどでフィールドワークを行い、その際に集めた風景の写真、録音データ、3Dスキャン、標本から仮想空間に湖とその生態系を創り出しました


<エイリアン・オーシャンなど/アニカ・イ(韓国)>

アルゴリズムを用いた近年の絵画シリーズでは、彼女が長年の研究を通して蓄積した画像と彼女の初期作のデータを融合させ、これらを生成ネットワークによって処理し、絵画の構図や物質感を形作っているとのことです。
ここで目を引くのが「ラディアル・センセーション」と呼ばれる、テクノロジーでゆっくりと動き続ける「放散虫」の立体作品で、とにかく生物のようにリアルでした。


<想像力の終焉/アドリアン・ビシャル・ロハス(アルゼンチン)>

こちらは一転、リアルな物としての彫刻作品です。ところが、この作品の素材はソフトウェアで数時間から数万年という時間の流れをシミュレーションして創り出した劣化や腐食という物理的な影響を視覚的に彫刻として生み出した作品のようです。


<帝国の計算:テクノロジーと権力の系譜/ケイト・クロフォード、ヴラダン・ヨレル(豪)>

この2人は、なんと世界的に有名な人工知能の研究者であり、またアーティストでもあるということです。2人が創り出した作品は全長24メートルの地図として、西暦1500年から現代に至るまでにテクノロジーと権力がどのように絡み合ってきたのかを描いたものになります。部屋一面の壁に地図が描かれており、圧倒されます。


このように、この「マシン・ラブ」展は今までに見たことのない作品群でした。
最新のデジタル技術や生成AIなどのテクノロジーを活用して、アーティストが思う世界を表現したものであり、デジタルやITの新たな活用方法として、ものすごく衝撃を受けました。
さすがアートの最先端をいっている森美術館ならではのものと思いました。

そして、今回の作品群はいずれも単純にAIが制作したものというではなく、アーティスト、すなわち人間の頭の中にあるアイデアや様々な思いをAIなどのテクノロジーを使って表現する点で賛同できました。

それでは。

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