プロが見てきた、球速が伸びない理由。コントロールが乱れる原因
野球を頑張っている選手の中には、
「毎日練習しているのに球速が上がらない」
「投げ込みをしているのにコントロールが安定しない」
「フォームを直しているのに、試合になると乱れてしまう」
「練習では良い球がいくのに、試合では思うように投げられない」
そんな悩みを持っている選手も多いと思います。
そして保護者の方も、
「もっと練習させた方がいいのか」
「筋トレを増やした方がいいのか」
「フォームが悪いのか」
「何を直せばいいのか分からない」
と悩むことがあると思います。
我々は、プロ野球選手として、プロの世界、アマチュアの現場、育成年代の選手たちを見てきました。
その中で感じるのは、球速が伸びない選手、コントロールが乱れる選手には、いくつかの共通点があるということです。
もちろん、体格や筋力、経験年数の差はあります。
しかし、それだけが原因ではありません。
球速が伸びない理由も、コントロールが乱れる原因も、多くの場合は、
「体の使い方」
「フォームの再現性」
「力の伝え方」
「練習の目的」
「考え方、組み立て」
にあります。
今回は、プロの目線で見てきた、球速が伸びない理由と、コントロールが乱れる原因について書いていきます。

球速が伸びない理由① 腕だけで投げている
球速が伸びない選手に多いのが、腕だけで投げてしまっていることです。
「もっと強く投げよう」
「腕を速く振ろう」
「思い切り投げよう」
そう考えるほど、腕や肩に力が入りすぎてしまうことがあります。
もちろん、腕の振りは大切です。
でも、球速は腕だけで出すものではありません。
大事なのは、下半身で生まれた力を、体幹、胸、肩、腕、指先へとつなげていくことです。
この流れがうまくつながらないと、どれだけ一生懸命投げても、ボールに力が伝わりにくくなります。
腕だけで投げている選手は、
・肩や肘に負担がかかりやすい
・球速が頭打ちになりやすい
・コントロールも乱れやすい
・疲れるとフォームが崩れやすい
という傾向があります。
球速を上げるためには、まず「腕で投げる」ではなく、「体全体で投げる」という感覚を身につけることが大切です。

球速が伸びない理由② 下半身の力が使えていない
球速アップで大事なのは、下半身です。
よく「下半身を使え」と言われますが、実際には、ただ足を大きく上げればいいわけではありません。
大切なのは、下半身でためた力を、上半身にスムーズに伝えることです。
伸びにくい選手は、
・軸足にしっかり乗れていない
・体重移動が早すぎる
・踏み出した足でブレーキがかからない
・上半身だけが先に開いてしまう
・投げる方向に力が向いていない
ということが多いです。
下半身がうまく使えていないと、体の力が逃げてしまいます。
その結果、腕で無理に投げるしかなくなり、球速もコントロールも安定しにくくなります。
大事なのは、足を大きく使うことではなく、地面からもらった力をボールに伝えることです。

球速が伸びない理由③ 体の開きが早い
球速が伸びない選手、コントロールが乱れる選手にかなり多いのが、体の開きが早いことです。
体が早く開くと、力が投げたい方向に伝わりにくくなります。
また、リリースの位置もズレやすくなります。
体が開くのが早い選手は、
・ボールが高めに抜ける
・シュート回転しやすい
・腕が遅れて出てくる
・肩や肘に負担がかかる
・コントロールが左右に散らばる
ことがあります。
本人は一生懸命投げているのに、力がボールに伝わらない。
これが、体の開きが早い選手によく起こることです。
球速を上げるためにも、コントロールを安定させるためにも、体の開きをコントロールすることはとても大切です。

球速が伸びない理由④ リリースが安定していない
球速もコントロールも、リリースの安定が大きく関係します。
リリースとは、ボールを指先から離す瞬間です。
この位置やタイミングが毎回バラバラだと、どれだけ良いフォームに見えても、球速やコントロールは安定しません。
リリースが安定していない選手は、
・高めに抜ける
・引っかける
・指にかからない
・回転が悪くなる
・球速が出たり出なかったりする
ということが起こりやすいです。
特にコントロールで悩んでいる選手は、フォーム全体だけでなく、最後にボールが離れる瞬間を見直す必要があります。
良い投球は、最後の指先まで力が伝わっています。

コントロールが乱れる原因① フォームの再現性が低い
コントロールが安定しない一番の原因は、フォームの再現性が低いことです。
再現性とは、同じ動きを何度も繰り返せる力です。
一球だけ良いボールを投げることはできても、それを何度も続けられなければ、試合では使えません。
コントロールが乱れる選手は、
・足の上げ方が毎回違う
・踏み出す位置がズレる
・体の開くタイミングが違う
・リリース位置が毎回違う
・力の入れ方が一定ではない
ということがあります。
つまり、狙ったところに投げられないのではなく、毎回違う動きになっているから、結果としてボールが散らばるのです。
コントロールを良くするためには、ただ的当てをするだけではなく、同じフォームで投げられる力を高める必要があります。


コントロールが乱れる原因② 力みすぎている
コントロールが乱れる選手ほど、力んでいることが多いです。
「ストライクを入れたい」
「打たれたくない」
「強い球を投げたい」
「四球を出したくない」
そう思うほど、体に力が入りすぎてしまいます。
力みが出ると、
・腕の振りが硬くなる
・リリースがズレる
・下半身が使えなくなる
・呼吸が浅くなる
・フォームが小さくなる
ことがあります。
コントロールは、力で押さえ込むものではありません。
むしろ、余計な力を抜いた方が、体はスムーズに動きます。
良い投手ほど、全力で投げているように見えても、必要なところ以外は力が抜けています。
力を入れることと、力むことは違います。
ここを理解することが大切です。

コントロールが乱れる原因③ 目標が曖昧なまま投げている
コントロールを良くしたいなら、どこに投げたいのかを明確にすることが大切です。
ただ「ストライクを投げたい」と思っているだけでは、コントロールは安定しにくいです。
伸びる投手は、
・外角低めに投げる
・捕手のミットのどこを見る
・高めに外す
・低めに集める
・次の球につながるコースに投げる
というように、目的を持って投げています。
一方で、コントロールが乱れる選手は、目標が曖昧なまま投げていることがあります。
「とりあえずストライク」
「なんとなくミットに向かって投げる」
「入ればいい」
この意識だと、試合でプレッシャーがかかった時に乱れやすくなります。
コントロールとは、ただストライクを取ることではありません。
狙った意図に近いボールを投げることです。
そのためには、普段の練習から「どこに、なぜ投げるのか」を意識する必要があります。

コントロールが乱れる原因④ 試合で考えすぎている
練習では良いのに、試合になるとコントロールが乱れる選手もいます。
この原因のひとつが、試合中に考えすぎてしまうことです。
「四球を出したらどうしよう」
「打たれたらどうしよう」
「監督に怒られるかもしれない」
「親が見ている」
「チームに迷惑をかけたくない」
こうした考えが増えると、体は固まりやすくなります。
試合では、考えることも大切です。
でも、投げる瞬間に考えすぎると、体の動きが鈍くなります。
だからこそ、練習の段階で、考えなくてもできるレベルまで反復しておくことが大切です。
試合で自信を持って投げられる選手は、普段の練習で自分の形を作っています。

球速とコントロールは別物ではない
球速とコントロールは、別々のもののように思われがちです。
でも、実際にはつながっています。
体の使い方が良くなれば、球速が上がるだけでなく、コントロールも安定しやすくなります。
再現性が上がれば、コントロールが良くなるだけでなく、球速も出しやすくなります。
つまり、
球速を上げたい選手も、コントロールを良くしたい選手も、見るべき本質は近い
ということです。
大切なのは、
・下半身から力を伝えること
・体の開きをコントロールすること
・リリースを安定させること
・フォームの再現性を高めること
・力みを減らすこと
です。
球速アップとコントロールアップは、同時に目指すことができます。

まず見直すべきこと
球速が伸びない。
コントロールが乱れる。
そう感じている選手は、まず練習量を増やす前に、今の投げ方を見直してみてください。
見直すポイントは、
・腕だけで投げていないか
・下半身の力が使えているか
・体の開きが早くないか
・リリース位置が安定しているか
・毎回同じフォームで投げられているか
・力みすぎていないか
・どこを狙うか明確にしているか
です。
これらをひとつずつ確認するだけでも、練習の質は変わります。
大事なのは、ただ頑張ることではありません。
正しい方向に努力することです。
まとめ
球速が伸びない理由、コントロールが乱れる原因は、才能だけではありません。
多くの場合、
・腕だけで投げている
・下半身の力が使えていない
・体の開きが早い
・リリースが安定していない
・フォームの再現性が低い
・力みすぎている
・目標が曖昧なまま投げている
・試合で考えすぎている
というところに原因があります。
もちろん、すぐにすべてを直す必要はありません。
大切なのは、自分にとって一番大きな原因を見つけることです。
原因が分かれば、やるべき練習が変わります。
やるべき練習が変われば、成長のスピードも変わります。
球速を上げるためにも、コントロールを安定させるためにも、まずは自分の投球を正しく知ること。
「そして、一人一人練習方法はみんな違います。」
当たり前のことです。
同じ身体つき、思考、能力はみんな違うからです。
自分にあった、自分だけの練習方法を探す。
そこが一番の近道です。
そこまで皆さんを招待します。
そこから成長は始まります。
次回は、
「野球少年の親がやってはいけないNGサポート」
について書いていきます。
球速を上げたい選手、コントロールを良くしたい選手、そして子どもの成長を支えたい保護者の方は、ぜひ次の記事も読んでみてください。
