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コミュニケーションが苦手なPTが8年生き残れた理由【前編】

こんにちは、プロPTです。今回もAIと一緒に自分の考えを整理しながら書いています。

今回のテーマは「患者さんとのコミュニケーション」です。

PTという職業柄、コミュニケーションが得意に見られることが多いと感じます。でも実は私、自分から話しかけることや相手を楽しませる会話をすることに、どこかプレッシャーを感じてしまうタイプです。連絡もどちらかといえば用件だけで済ませたい。気心の知れた相手以外とは、正直あまり積極的に話せません。

もともとエンジニア出身ということもあるのか、どちらかといえば自分の世界で黙々と作業する方が性に合っています。体育会系のノリや盛り上がりを求めるコミュニケーションは、少し苦手です。

そんな自分でも8年間、患者さんと向き合い続けてきました。
今回は2部構成でお届けします。前編では「PTにとってのコミュニケーションの必要性」と、「私が意識している5つのこと」のうち2つを紹介します。後編では残りの3つを紹介します。患者と何を話したらいいか、どのようなことを意識すればいいか、皆さんの臨床現場で使えるヒントになれば嬉しいです。

そもそも、なぜPTにコミュニケーションが必要なのか

コミュニケーションと聞くと「仲良くなるため」「場を和ませるため」というイメージを持つ方もいるかもしれません。それ自体は間違いではありません。患者さんとの信頼関係を築くうえで、その雰囲気作りは確かに大切です。

ただ私がPTとして特に重きを置いているのは、情報収集の手段としてのコミュニケーションです。

経験を積めば多くのPTが、患者さんのバックグラウンドの重要性に気づきます。でも新人PTや実習生は患者の疾患に目が向きがちで、退院後の生活を見据えたリハビリが提供できていないと感じます。病棟から生活期に移ったPTが途端に戸惑うケースがあるのも、同じ理由だと思います。

PTが患者さんに合ったリハビリを提供するためには、患者のバックグラウンドを知る必要があります。例えばこんな情報です。

・家の段差の場所や手すりの有無
・独り暮らしか、助けてくれる人がいるか
・外出頻度や移動手段
・起床・就寝時間、日中の過ごし方
・寝ている場所は布団かベッドか

疾患に関することも同様です。

・どんな動作のときに痛いのか
・今何が一番困っているのか
・退院後にどんな生活を送りたいのか
・患者さん自身が描く「理想の回復像」は何か

挙げればきりがありません。これらの情報を引き出す手段が、コミュニケーションです。PTに求められるコミュニケーションとはうまく話せるかより、必要な情報を集められるかの方がずっと大事だと思います。

苦手な自分が心がけてきた5つのこと【前編】

①挨拶・丁寧な接遇

挨拶や丁寧な接遇は、日本人にとって当たり前のことかもしれません。だからこそ、意識して書いておきます。

私はどんな患者さんに対しても、リハビリを必ず挨拶から始めます。認知症であっても、失語症であっても、意識が混濁していても関係ありません。自分が何者で、何を目的に来たのかを必ず伝えています。例えばこんな具合です。

「初めまして、理学療法士のプロPTです。リハビリに伺いました。体調はいかがですか?」
「今日からリハビリを担当させていただきます、プロPTと申します。早く自宅に帰れるように一緒に頑張りましょう。」

人の第一印象は3〜7秒で決まると言われています。この最初の挨拶を疎かにすると、「この人は信頼できない」というレッテルを貼られてしまう可能性があります。2回目以降の訪室でも「〇〇さん、理学療法士のプロPTです。リハビリの時間です。」と一言添えるだけで、相手への印象は変わると感じています。

接遇も同様です。相手の目を見て話すこと、丁寧な言葉遣い、患者さんと同じ目線になることを意識しています。医療現場はどこで誰に見られているかわかりません。だからこそ常に意識する必要があると思っています。これができないだけですぐに意見箱に名前付きでクレームが飛んできます。(恥ずかしながら、過去に身をもって経験したことがあります・・・)

私が教えられてきたのは「自分や家族がやられて嫌な気持ちになるリハビリはしない」という言葉です。自分の家族や自分自身がリハビリを受ける立場になったとき、雑なリハビリを受けたときに、そのセラピストを信頼できますか?その病院を信頼できますか?

私はおそらくできません。

当たり前のことを当たり前に続ける。それだけで患者さんからの信頼は積み上がっていくと思います。

②自己開示——まず自分のことを話す

心理学に「自己開示」という概念があります。自己開示とは、自分のことを相手に開示することで信頼関係が築かれ、相手も自然と話してくれるようになるというものです。さらに自己開示には「返報性」という効果があり、こちらが話した分だけ相手も話してくれやすくなると言われています。

私はこれを意識的に使っています。特に患者さんの生活背景を聞きたいときに効果的です。

ただし聞き方には注意が必要です。「料理はお好きですか?」と聞くだけではYes/Noで返ってきて会話が終わります。そこで私は、質問の前にまず自分の話をします。ここが自己開示のポイントです。

「私も家で料理をするんですよ(自己開示)。あまり慣れてないから1時間くらいかかることもありますね(自己開示)。〇〇さんは普段から料理されるんですか?どれくらいの時間で作るんですか?」

こう聞くと患者さんは具体的な言葉を返してくれます。

「料理はあまり時間かからないわね。30分くらいかしら。」
「出来合いのものを食べているわ。外に買いに行くことが多いよ。」

そこから私はさらに掘り下げます。「30分で作れるんですね!ずっと立ったままですか?休憩しながらですか?」——こんな具合に、患者さんの言葉を起点に生活の具体的な場面へと繋げていきます。

こういった会話の中に、退院後に必要な情報が散りばめられています。それは患者さん自身から提示してもらえるリアルな目標です。料理に限らず、趣味や日課など、どんな雑談の中にも「その人が退院後に必要な動作や体力の情報」が隠れています。自己開示はそのきっかけを作るための手段です。まず自分のことを話すという小さな一歩が、患者さんの生活を知る入口になります。

後編では残り3つを紹介します。コミュニケーションが苦手な私がどう乗り越えてきたか、引き続き読んでもらえると嬉しいです。

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