ステージ4がん長期生存者の共通点
近年、ステージ4がん患者の生存期間にロングテールが見られる。添付したグラフは、胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝臓がん、すい臓がんの生存率と生存期間の関係を表す概念図である。それぞれのがんの中央値は点線で表されている。胃がんや肺がんがわかりやすいが、これらのがん患者のうち、半数が亡くなり、半数が生存している値の中央値は1年数か月であるが、そのあとは傾斜がなだらかになり、5年生存率が10%程度であることがわかる。中央値より先が長いことをロングテール(長い尻尾)という。
このロングテールに含まれる患者は、予後良好群といえる層で、治療が奏功していることを表している。中央値になる前に亡くなる患者は予後不良群である。患者の50%が亡くなる期間は1年数か月しかないのに、予後良好群は、そこから3〜4年経っても40%程度しか亡くなっていない。
予後良好群と予後不良群の違いはどこにあるのかが気になったので、予後良好群の患者に共通している治療への向き合い方、社会性、食事、運動などを調べてみた。
最も共通性が高いのは、標準治療を継続できたことがあげられる。長期生存者では、治療開始が比較的早い、副作用を管理できている、途中で自己判断で治療を中止しない、増悪時には適切な二次治療・三次治療へ移行している、という傾向がある。
近年では遠隔転移のあるHER2陽性胃がんでも、トラスツズマブ、ペムブロリズマブ、抗HER2薬の継続、新しい抗HER2薬への切り替え、などによって長期間病勢が制御される患者が増えてきている。私も現在のところ、このような予後良好群に近い経過をたどっている。1年近く治療をしてきて、予後良好群に入りかけているのは、標準治療を信じて、現在までに15サイクルの治療を継続してきたことによる。
次に共通しているのは、栄養状態が良いことがあげられる。これは非常に多くの研究で一致していて、長期生存者は、栄養状態を反映する代表的な血液指標であるアルブミン値が保たれている、体重減少が少ない、筋肉量が保たれている、加齢や栄養不足、運動不足によって筋肉の量や力が大きく減ってしまう状態のサルコペニアが少ない、ことが多い。ESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism)のガイドラインでも、十分なエネルギー、十分なタンパク質、必要なら栄養補助食品を推奨している。
これも私に当てはまる。胃噴門部が原発巣であるが、食事は支障なくできている。愛犬のおかげで適度な運動もできていて、血液検査の結果も良好だ。
その次に共通していると考えられるのは、自分の病名、治療内容、副作用、検査結果をある程度理解している患者が長期生存していることが多い、ということ。さらに、希望は持つが現実も受け入れている、という現実的楽観主義的な考え方をしているか、というのも長期生存者に共通していることが多い。これまでに、ここに書いた記事でもわかるように、これらも私に当てはまる。
私が現在まで良好な経過をたどれている理由は一つではないと思う。しかし、長期生存者に共通するとされる行動を意識してきたことは、少なくとも治療を支える一因にはなったのではないかと考えている。どうして、そのような行動が取れたのかと言えば、仕事でデータ検索とその分析をしてきたことによって、玉石混交のがん関係データが大量にあるインターネットから有益な情報を引き出すことができたからだ。これも先日書いた「準備」のひとつかな。

(各がん種の生存曲線を模式化した図)
