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DIVE ― プログレ/フュージョン ライナーノーツ 2025年10月第4週

【お知らせ】
「プログレ/フュージョン ライナーノーツ」は11月以降、毎週投稿から毎月投稿となります。
毎月1日に1ヶ月分の新譜を紹介する形になりますが、内容はこれまでと変わりありませんので、引き続きよろしくお願いいたします。
なお、次回の投稿は11月1日(土)となります。


2025年10月第4週
今週取り上げるのは、この3枚。

  • Psychonaut(サイコノート) ─ 『World Maker』ベルギー発、プログレッシヴ・ポストメタルの新トライアド。

  • Our Oceans(アワー・オーシャンズ) ─ 『Right Here, Right Now』"今"に光を差すプログ:Our Oceansの第3章。

  • Leprous(レプラス) ─ 『An Evening Of Atonement 』声と鼓動。 ティルブルフの013で奏でる二幕。

今週も良い音楽と共に、良い1週間を。

10月24日(金)

Psychonaut『World Maker』

ーーPsychonautとは?

2013年にベルギーで結成されたプログレッシヴ・ポストメタルトリオ。

歪んだギターサウンドとメロディのダイナミクス、ポストメタル的重厚さとクリーン/グロウルの使い分け、さらにサイケデリック・ロックの宗教性・精神性・哲学的世界観が内包されている。

1stアルバム『Unfold the God Man』(2020)では、自己の再構築をテーマにインストゥルメンタルパートを強化したプログレッシブサウンドを展開。前作『Violate Consensus Reality』(2022)では、細分化された社会の破壊と再構築をテーマに、ポストメタル寄りの音像を提示した。

ーー『World Maker』とは?

前作で描かれた再構築された社会。

本作では、それを創出する者=個々それぞれの人間像に焦点を当てている。いわば、前作の続編的位置づけのアルバムだ。

バンドメンバーが経験した個人的な出来事から着想を得て制作されたこのアルバムは、サウンドや世界観にも新たな変化が生まれている。

先行シングル「Endless Currents」は、”固定観念にとらわれず、自分の意志に沿って流れに身を置け。変化を恐れず、自然や宇宙のリズムとともに進め”というメッセージを持つ楽曲。

息を飲むイントロリフ、前向きな歌詞を象徴するエネルギッシュなサウンド、サビで響くキャッチーなハーモニーが印象的だ。

このアルバムは、彼らにとって確実にターニングポイントとなる一枚だ。
ジャンルを超越したPsychonautの新章がここから始まる。


Our Oceans『Right Here, Right Now』


ーーOur Oceansとは?

2014年にオランダで結成されたプログレッシブ・ロックトリオ。

元Exivious/CynicのTymon Kruidenier(ボーカル/ギター)を中心に、フレットレスベースを操るRobin ZielhorstとドラマーのYuma van Eekelenの3人で構成されている。

ボーカルとメロディを重視したモダン・プログサウンドはTymonのボーカルの存在感なしには語れない。

感情を解き放つようなハイトーン、感情を抑制する繊細な声、そして浮遊するような幻想的なトーンで曲の世界観を形成する。

ーー『Right Here, Right Now』とは?

1stアルバム『Our Oceans』(2015)では、悲しみや喪失感をコンセプトにした内省的世界観を描き、2ndアルバム『While Time Disappears』(2020)では感情を外へ吐き出すようなメッセージ性を打ち出した。
そして最新作では、より明るく前向きな空気感を探究している。

先行シングル「Golden Rain」は、アルバムコンセプトを象徴するアップテンポな起点曲。

内省的で個人的な歌詞を浮遊的メロディで包み込む「Lost In Blue」。幼少期のトラウマをテーマにしたダークな「Leave Me Be」など全9曲収録されている。

新たな感情表現を提示した彼らのその先には、さらなる深化が待っている。


Leprous『An Evening Of Atonement 』

ーーLeprousとは?

2001年にノルウェーで結成されたプログレッシヴ・メタルバンド。

フロントマンEinar Solberg(Vo/Key)の声の表現幅、メロディのダイナミクス、細密なリズム設計で楽曲の緊張と解放を描いてみせる。

歌詞の質感と声色を結びつけ、ファルセットからグロウルまで自在に操るEinarのボーカル。
ファルセットとハイトーンの張力、音域の広さを活かした声の切り替え、囁き声の緊張感は、聴き手を圧倒する。

メタルからアートロック/ミニマル・ミュージックへと比重を移しながら、アルバムごとに新しい感覚と新しいアプローチで進化を続ける、 プログレッシヴ・メタル界を牽引するバンドのひとつだ。

ーー『An Evening Of Atonement 』とは?

前作『Melodies of Atonement』(2024)を携えたツアーの模様を収めたライブアルバム。

節目の地、オランダ・ティルブルフのPoppodium 013での15年越しの凱旋公演を収録している。

先行シングル「Atonement / The Sky Is Red (Outro) (Live In Tilburg 2025)」は、スタジオ音源の完成度を保ちながらも、ライブならではの生のエネルギーと圧倒的な説得力が感じられる。

全21曲・約2時間のフォーマットで、ファンはもちろん入門編としても最良の一枚になっている。


Outro

個人的注目作としては、他にも

  • 日本のシンフォニック・メタルバンドLiv Moon『The Land of Spirits』

  • Max Cavalera率いるSoulfly、通算13枚目のアルバム『Chama』

  • System of a Down、Serj Tankianの未発表音源集『Covers, Collaborations & Collages』

  • 結成20周年を迎えるスウェーデンのメタルコアバンド、ADEPT『Blood Covenant』

が、リリース予定。

音楽の奥に、まだ知らない光がある。その微かな明滅を確かめたくて、深く静かに身を置く。

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