仕事の流れと生産性
先日、仕事で初めて行った場所からの帰り道、急いでいるのに、高速道路の入口でうっかり反対方面に入ってしまい、ゴールからどんどん遠ざかる羽目に。
さらに戻る途中で大渋滞に巻き込まれるという、散々な目にあった北本です。
「流れ」というのは、道路だけでなく、血管の流れやトイレの流れもそうですが、滞るとロクなことが起きません。
仕事の流れも同じです。流れが悪くなるとアウトプットが出ず、目標達成にも時間がかかってしまいます。
用地買収と仕事の「時間感覚」
先日、昔住んでいた街を約10年振りに訪れました。
以前は、用地買収を途中まで終えた事業地が長年フェンスに囲まれ、道路事業が止まっていたのですが、その街並みは一変していました。
「おー、あれから10年くらい経つけど、もう完成したんだ!」
と思った私ですが、用地買収を経験したことのない人なら、
「もうじゃなくて、やっとでしょ!」
とツッコミたくなる時間感覚かもしれません。
しかし、20年越しの事業の用地買収を担当していた私からすると、
「10年でここまで進んだのは早い!」
とすら思ってしまいます。
用地買収を伴う道路事業ほど、タッチタイム(実際に価値を生んでいる時間)の割合が低い仕事は、世の中にほとんどないかもしれません。
なぜ、用地買収は時間がかかるのか?
用地買収は行政が強制的に行うわけではありません。
一軒一軒、丁寧に交渉を重ね、任意で売買契約を結ぶ必要があります。
• 100軒、200軒の個人にハンコをもらう
• 引っ越し・立ち退きに応じてもらう
親族間での財産の問題まで絡んできたりするので、これには、どうしても時間がかかるのです。
土地収用という強制力のある制度もありますが、簡単には使わず、任意契約で進めるのが一般的です。
結果として、最初に立ち退いた人から最後の人まで、10年〜20年かかることもあります。
早く立ち退いた人からすると、
「そんなに時間がかかるなら、もっと長く住んでいたかった…」
最後まで残った人からすると、
「周りがフェンスで囲まれ、近所がどんどん減っていくのは辛い…」
行政としても、フェンスで囲った土地の管理が必要で、事業完成による効果(便益)が出ないまま税金を使い続けることになります。
仕事の流れを変える発想
もし、用地買収を工事直前に一斉に集中して行うことができればどうでしょうか?
• 住民の精神的負担を減らせる
• 行政の無駄な作業時間を減らせる
• 事業完成までの時間を大幅に短縮できる
もしかすると「用地買収には時間がかかる」「事業を着実に進めるために、協力的な人から順番に立ち退いてもらう」というのは、思い込みかもしれません。
事業を早く着実に進めるためには、合意が難しい人に早く納得してもらうことに集中することの方が、重要なことではないでしょうか。
無駄な時間を減らせば生産性は上がる
用地買収に限らず、あらゆる仕事にも当てはまることですが、多くの業界で、仕事のタッチタイムは総時間の1割以下と言われてもいます。
ここで、タッチタイムとは、待ち時間や手戻りの時間を除いた仕事の本質的な部分で、価値を生んでいる時間のことです。
仕事を効率化してタッチタイムを短縮することは難しいですが、待ち時間や手戻りの削減は比較的簡単でなので、無駄な時間を減らすことで、タッチタイムの割合を大幅に増やすことは可能です。
特に行政は、360度全方向のステークホルダーと調整が必要です。
そのため、そもそもタッチタイムの割合が少ない構造になっているのです。
ということは──
無駄な待ち時間さえ減らせば、
タッチタイムの割合を増やし、生産性を大幅に上げることができるということです。
鍵は「交渉の事前準備」
用地買収のように、交渉期間がプロジェクトの期間、つまり制約になる仕事では、交渉を如何に短期間で済ませられるかどうかが鍵となります。
そのために重要なことは、
• 相手の立場になりきって気持ちを理解する
• その上で、何をどう伝えれば納得してもらえるかを考える
ということであり、徹底した事前準備を行う必要があると言えます。
交渉力を磨いて、生産性を高めよう
交渉の事前準備として、相手の立場になりきって相手の気持ちを考えろと言われても、難しいかと思います。そんな時は、以下の図ように、提案に合意する(変わる)ことのメリットとデメリット、提案に合意しない(変わらない)ことのメリット、デメリットを考えることで、相手の要望、懸念を事前に考えることができます。
まずは、合意形成が必要な重要な人物を設定し、相手の立場になって、4象限を使って考えてみるのはいかがでしょうか?

