家計は人と比べないほうがうまくいく理由
先日、家計に関する相談を受けました。相談者は、日本の平均的な家計支出額と比較して、ご自身の支出額が「多すぎるのではないか」と悩んでいました。
平均と比べたがる家計管理について、今日は考えてみます。
家計の「平均値」という罠
具体的には、日本の4人家族の月平均支出額が31万円〜34万円(年間約400万円)と言われる中で、「わが家は月に50万円も使っている。これは見直すべきではないか」という懸念です。
この手の家計相談で私がまずお伝えしたいのは、「平均値」という数字に過度に囚われることの危険性です。
日本の平均値は、あくまで統計上の数字であり、各家庭の収入、住居環境、教育費、人生設計など、あらゆる要素を均して導き出されたものです。
この平均値と比べて多いか少ないかを論じることは、家計の健全性とは直接関係がありません。多くの場合、無用な不安や節約への強迫観念を生み出します。
人は人、自分は自分。平均を基準にすることは、家計を考える上で非常に非生産的なアプローチだと思っています。
家計は黒字か赤字か
では、家計の健全性はどのように測るべきか。私が考えている家計の健全性を測るたった一つ。それは、「収入 ー 支出 = 黒字か赤字か」という極めてシンプルな原則です。
家計が赤字であるならば、それは緊急事態であり、早急に支出を見直す必要があります。収入に見合った支出に抑える努力をすぐに始めるべきでしょう。
しかし、私が家計相談を受ける多くの方は、実は毎月黒字を計上しています。
この「黒字」であるという事実こそが、家計の健全性を示す最も重要な指標です。収入が月20万円の人は支出を20万円以下に、収入が月100万円の人は支出を100万円以下に抑えられていれば、少なくとも家計の財政破綻はありません。
「月に80万円も使っている。これは多すぎると思う」という発言は、その人の月収が100万円以上あり、毎月黒字を確保しているならば、ナンセンスです。大切なのは金額の絶対値ではなく、家計が自立し、毎月継続可能であるかどうかなのです。
お金はあくまで「手段」
なぜ家計を見直したいと思うのかな? その根本的な目的は、「人生における楽しみ、充実、満足を追求すること」のはず。私はそうです。多くの人もそうだと思うんです。そして、お金はそれを実現するための「手段」ですよね。
しかし、多くの人が近視眼的に「お金を貯めること」や「支出を減らすこと」を目的化してしまいがちです。
手段を目的化すると、絶対値を気にする人や、相対的な比較をする人になってしまいます。
絶対値を気にする人は、 「月50万円は多すぎる」と、金額の数字に過度に注目し、生活の質を下げる無理な節約を始めたりします。
相対的な比較をする人は、 「日本の平均より多いからダメだ」と、他人との比較で自分の幸福度を測ろうとしたりします。
これらは、人生の充実という本来の目的から逸脱したアプローチです。黒字をキープできているならば、あとは何にどれだけお金を使うことが、自分の人生の満足度を最大化するかという自分軸で判断すればいいんですよ。
質の維持と積極的な支出
と、ここまで書いてきて、実は我が家もそうだったんです。
我が家は、過去に人より収入が多かった時期があり、それに伴って支出もかなり多い家計でした。家計を見直す際、平均値や周りの友人と比べて「減らさなければ」と何度も取り組みました。
絶対値も気にしましたし、相対値も気にしていた過去があります。
そんな経験の中から、生活の質が目に見えて落ちるほどの節約はしないと決めました。その基準は、黒字をキープできる範囲で、生活の質を下げないことでした。
節約は、無駄遣いの排除という観点でのチェックは必要ですが、満足度が高い支出を削る必要はありません。
現在、私は会社員を辞め、債券利金のみの収入なので、会社員のような多くの給与はありません。足りない生活費は、資産を取り崩す形で生活しています。
一見すると、生活を切り詰める生活を想像されるかもしれません。しかし、妻と相談して、セカンドライフは意図的に「交際費と娯楽費」を積極的に使うと決めています。
大学を卒業した2人分の学費や食費が浮いた分は、この意図的な判断で、生活の満足度を上げる「交際費と娯楽費」の比率を大きく上げています。
これは、人生の満足度を高める支出は惜しまないという明確な軸があるからです。
何気ない買い物ひとつを例にとると、家に安物のイヤホンがあるにも関わらず、最新のAirPods4を購入しました。
10月から音楽教室に通い始めました。娯楽の最たる使い方だと満足しています。
これらは無駄遣いではありません。人から、無駄遣いと思われたって関係ありません。
欲しかった、使ってみたい、という感情を満たし、日々の生活に小さな喜びと快適さをもたらすならば、それは生活の質の向上と精神的な自己投資などと、適当な言い訳で自分を納得させて購入してしまいます。
家計は人生を豊かにするツール
家計は、他人との比較や絶対的な数字で評価するものではありません。毎月黒字を維持できているならば、まずは安心していいのです。単純で簡単でしょ。
次に考えるべきは、その黒字を維持した上で、支出を自分の価値観と人生の満足度に合わせて配分できているかという点です。
家計管理とは、お金という手段を、最大限に人生の充実という目的に奉仕させることです。
平均値という呪縛から解放され、「自分にとって何が大切か」という軸を持って、堂々と、楽しくお金を使いましょう。
多くの人がお金を貯めこんだまま死んでしまっていることがわかっています。統計によると、人は死ぬ時が最大の貯蓄額なんですよ。高齢になってベッドから動けないのに、そんな大金必要ないでしょ。
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